トランスフェクションを成功させるための第一歩は、アプリケーションに最適なトランスフェクション試薬を選択することです。さらに最適化する必要があるかもしれません。良好なトランスフェクション結果が簡単に得られるよう、これらの重要な要素のいくつかに対処する際に、下表が役立ちます。

思いどおりの結果を出すためのトランスフェクション技術

留意点
備考
血清存在下でのトランスフェクション
  • かつて血清が存在するとトランスフェクション効率が下がると考えられていましたが、DNA-カチオン性脂質試薬複合体が血清の非在下で形成される限り、トランスフェクション中に血清が存在しても構いません。一部の血清タンパク質が複合体の形成を阻害します。
  • カチオン性脂質試薬と DNA の最適量が、血清存在下で変化する可能性があります。したがって、トランスフェクション培地に血清を添加する場合は、血清を加えた状態で最適化します。
  • ほとんどの細胞は、無血清培地中で数時間健康な状態を維持します。
培地中の抗生物質
  • カチオン性脂質試薬は細胞透過性を高めます。これにより、細胞内に到達する抗生物質の量が増えて細胞毒性を引き起こします。トランスフェクション効率が低下する可能性もあります。そのため、トランスフェクション培地に抗生物質を使用しないでください。
  • トランスフェクションのために細胞を培地に播種する際にも抗生物質の使用を避けてください。そうすることで、トランスフェクション前の細胞の洗浄が不要となります。
  • 安定したトランスフェクションを行うために、選択培地でペニシリンとストレプトマイシンを使用しないでください。これらの抗生物質は Geneticin 選択用抗生物質の拮抗阻害剤であるためです。
  • 安定した細胞株を作製する場合、選択用抗生物質を添加する前に細胞が耐性遺伝子を発現するまで少なくとも 72 時間お待ちください。
  • 無血清培地を使用する場合、血清含有培地に加える量よりも少量の抗生物質を使用して細胞を健全な状態に保ちます。
細胞の維持と培養物の進化
  • 最適なトランスフェクション結果を得るために、通常の継代培養手順に従います。
  • 次回の継代までにほぼコンフルエントになるように希釈して週 1 ~ 2 回継代培養します。
  • 細胞がコンフルエントな状態のまま 24 時間を超えないでください。
  • 細胞培養物は年月と共にラボ内で進化します。その結果、トランスフェクションに関する細胞の挙動も変化します。新しい細胞のアンプルを解凍して用いることでトランスフェクション活性が回復します。
細胞播種密度
  • トランスフェクションに最適な細胞密度は、細胞の種類やアプリケーションによって異なります。接着細胞では、通常、トランスフェクション時に 70%~ 90%コンフルエンス、または 5 × 105 ~ 2 × 106 浮遊細胞/mL とすることで良好な結果が得られます。
  • トランスフェクション時に細胞が集密状態(コンフルエンス)になっていないか、定常期に入っていないか確認してください。
  • トランスフェクション効率は培養密度の影響を受けやすいため、実験ごとに標準的な播種プロトコルを遵守する必要があります。
  • 場合によっては、播種する細胞数を増やすとトランスフェクション活性が上がることがあります。
DNA の品質
  • 高効率のトランスフェクションを達成するに、高品質で完全なプラスミド DNA が重要です。
  • 当社では、トランスフェクションに適した高品質の DNA を得るための PureLink™ HiPure Purification Kit(Mini、Midi、Maxi、Mega、Giga)という核酸精製キット製品を取りそろえております。
    PureLink™ プラスミド精製キットの全製品をご覧ください。
  • 塩化セシウム密度勾配遠心法でも DNA を高度に精製できますが、時間と労力がかかります。

For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.