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クロマチン免疫沈降(ChIP)は、タンパク質-DNA の相互作用をスナップショットで取得するための、エピジェネティクス研究で用いられる手法です。適切な抗体の選択は不可欠ですが、優れた結果を得るためには ChIP プロセスのすべてのステップが重要です。この手法はさまざまな分子生物学およびプロテオミクスの手法を活用しています。
ChIP 試験に適した抗体を見つけることは不可欠です。すべての抗体がすべてのアプリケーションで機能するわけではありません。使用する抗体が ChIP で機能すること、また目的のターゲットに対し特異的であることを確認する必要があります。いくつか検討すべき事項があります。
抗体が ChIP 用に検証済みである場合は、製造元のガイドラインやその他の参考文献を実験の手引きとして使用できます。しかし、目的のターゲットが ChIP でまだ検証されていない場合があります。
抗体が免疫沈降(IP)で検証済みである場合は、ChIP でも機能する確率が高いでしょう。抗体が未変性状態のターゲットを認識する必要のある他の手法、たとえば免疫蛍光法(IF)、免疫細胞化学(ICC)、および免疫組織化学(IHC)もまた、有効な指標です。
抗体が ChIP で検証されていない場合、ChIP-ウェスタンを行うことが優れた指標になります。ChIP-ウェスタンは、その抗体が目的のタンパク質を沈降させることを確証するだけでなく、特異性についての情報も提供します。ChIP-ウェスタンは、そのワークフローが ChIP の IP ステップまでと同じであるため非常に手間がかかりますが、IP の一部のフラクションを ChIP ウェスタンに使用して、残りを ChIP 用に取っておくことで、ChIP と並行して ChIP ウェスタンを実施できます。タンパク質を沈降させたら、DNA を溶出する代わりに、タンパク質を煮沸によりビーズから溶出させ、ウェスタンブロットを実施します。同じターゲットに対する異なる抗体でブロットをプローブすることにより、選択した抗体が目的のタンパク質のエピトープを認識し免疫沈降させることを実証します。さらに、ブロッキングペプチドをお持ちの場合は、特異性を確認できます。ペプチドの存在下では IP は機能しないか、効率が大幅に低下するはずためです。
抗体の特異性は、特に ChIP-seq において、当然のことながらますます大きな課題です。Invitrogen の抗体は、二つのアプローチ:アプリケーションにおける機能性の検証とターゲットに対する特異性の検証からなるテストを受けています。アプリケーションにおける機能性の検証は、抗体が ChIP で機能するかの情報を提供します。ターゲットに対する特異性の検証は、抗体が目的のタンパク質を認識することを確認します。これは、ノックアウト/ノックダウン細胞株の使用、ターゲットの発現レベルを変化させる細胞処理、目的のターゲットの相対発現(発現に差がある場合)、および免疫沈降-質量分析法(IP-MS)などの複数の手法で実施できます。これらの手法のいずれかにより特異性が検証された Invitrogen 抗体には、当社のウェブサイトで Advanced Verification マークが付いています。
クロマチンのせん断はクロマチンを可溶化させ、実験の解像度に影響します。理想的な断片サイズは 200 ~ 800 bp です。しかし、クロマチンのせん断はコントロールが難しく、細胞の密度、架橋の程度、および細胞のタイプにより左右されます。そのため、実験間で一貫性を保つことが不可欠で、断片化条件を細胞のタイプごとに最適化する必要があります。
ミクロコッカスヌクレアーゼ(MNase)は未結合の DNA を分解し、従来、ヌクレオソームのマッピングに使用されてきました。酵素によるクロマチンのせん断は専用の機器を必要とせず、一般的に再現可能(ただし、細胞のタイプに合わせた最適化は必要)で、作業時間は最小限です。MNase の大きな欠点は、DNA の分解がランダムではなく、配列の選択性があることです。また、酵素は効率的に細胞に入り込むことができないため、酵素によるせん断は、溶解の困難な細胞では良い選択肢ではありません。
超音波処理はランダムな断片を調整するため、クロマチンのせん断に広く使用されています。超音波処理はエネルギーによるクロマチン破壊のため、溶解の難しい細胞には最適な選択です。機械的なせん断は、酵素によるせん断のように細胞のタイプに合わせた最適化が必要ですが、超音波処理には長時間の作業を必要する点で酵素によるせん断と異なります。
ChIP 実験が成功したかどうかの判断は非常に困難です。理想的には、ChIP で濃縮したい領域(目的のタンパク質が結合する DNA 領域)と、ChIP で除去したい領域(目的のタンパク質が存在しない DNA 領域)を特定することです。これらの領域を特定したら、その領域のプライマーを特定し、テストする必要があります。プライマーは領域を 100 ~ 200 bp に増幅し、90%~ 105%の効率を有する必要があります。
目的のタンパク質がどこで結合するかが分からないことがあり、その場合はそのタンパク質についてさらに知るために ChIP-seq を実施します。ChIP が機能したという確証を得るために、抗体がある場合とない場合で沈降させた DNA 量を比較することができ、抗体の存在下では顕著に多くの DNA が沈降します。また、ChIP-ウェスタン(上記を参照)では、抗体が目的のターゲットのエピトープを沈降させるという確証を得ることができます。
有意義な結果の取得に役立つ、実証済みの 5 ステップを検討してください。
この最初のステップは時間の影響を受けやすく、最適化が必要です。In vivo での共有結合性架橋は、タンパク質-DNA 相互作用を安定させ、それを特定の時点で解析できるようにします。一般的にはホルムアルデヒドが架橋に使用され、反応を停止するためにグリシンが添加されます。架橋剤はインタクトな細胞内に浸透し、タンパク質-DNA 複合体を固定して解析を可能にします。架橋剤は全手順で複合体を安定に保ちますが、ChIP に使用するためには可逆性でなければなりません。タンパク質-DNA 相互作用が非常に安定している場合は、架橋は不要です。
次に、細胞膜を溶解液で透過処理し、細胞成分を分離して、タンパク質細胞膜をDNA 複合体を可溶化します。バックグラウンドシグナルを低減し感度を上げるために、サイトゾルタンパク質を除去します。
注釈:このステップで ChIP アッセイを中断することが可能です。架橋して反応を停止させ、細胞ペレットを洗浄した後、ライセートを -80℃ で保存できます。
核は断片化しなければならず、この断片化は良好な ChiP 解像度への鍵となります。理想的なフラグメントサイズは 200 ~ 800 塩基対です。せん断はコントロールするのがもっとも難しいステップの一つです。せん断は、超音波処理および/またはヌクレアーゼ/酵素による消化により行いますが、それぞれに制限と利点があります。超音波処理は長い作業時間を必要としますが、溶解の難しい細胞には最適です。一方、酵素による消化は比較的作業時間が短く、複数のサンプル処理に対応しますが、ランダムなせん断ではありません。どちらの手法も各細胞株に応じた最適化が必要です。
注釈:このステップで ChIP を中断することが可能です。クロマチンのせん断/消化の後、ライセートを -80℃ で保存できます。凍結融解の繰り返しは避けてください。
タンパク質-DNA 複合体中の目的タンパク質の捕捉には抗体が使用されます。抗体は実験の成功に重要な要素です。抗体は核成分からタンパク質を免疫沈降させて分離し、関係のない細胞物質を排除します。
ポリクローナル抗体は複数のエピトープを認識できるという利点がありますが、ロット間の差が大きく、限定的な手段です。当社の組み換えモノクローナル抗体は実質的にロット間の差がないため、限定的な手段ではありませんが、認識できるタンパク質構造は限られています。当社の組み換えオリゴクローナル抗体は組み換えモノクローナル抗体のプールであるため、複数のエピトープの認識ができ、ロット間の差も小さく、再生可能な手段です。そのため、これは両者の最良点を組み合わせていると言えるかもしません。
特定のターゲットに対する抗体がない場合は、アフィニティータグ(HA、Myc、His など)を融合させたタンパク質をサンプルに発現させ、そのアフィニティータグに対する抗体を使用して免疫沈降できます。
作成された抗体-タンパク質-DNA 複合体は、抗体結合ビーズを使用して精製できます。ビーズ-抗体-タンパク質-DNA 複合体をインキュベーション後、十分に洗浄して精製し、タンパク質-DNA 複合体を溶出します。
目的のタンパク質を含有するクロマチン分画が分離されたら、脱架橋し、DNA を精製する必要があります。脱架橋は一般的に、高温インキュベーションおよび/またはタンパク質成分の消化により行います。
より純粋な DNA サンプルを得るには、RNase A での処理が推奨されます。残留タンパク質から DNA を精製するには、フェノール:クロロホルム抽出または DNA 精製用のスピンカラムを使用する必要があります。
注釈:このステップでChIP を中断することが可能です。脱架橋および/または DNA 精製の後、サンプルを -20℃ で保存できます。
このステップでは、精製した DNA産物を qPCR により定量します。 NanoDrop 分光光度計、Qubit Fluorometer、またはその他の分光光度法を使用して行います。qPCR を使用すると、目的のタンパク質が特定の遺伝子座に存在するかどうかを判定できます。SYBR Green 蛍光色素は、もっとも広く使用されている DNA ベースの qPCR 用試薬です。SYBR Green は、二本鎖 DNA(dsDNA)と結合した場合のみ蛍光を発し、その蛍光量は dsDNA の量に比例します。これにより、特定の DNA 領域におけるターゲットの濃縮度を定量することが可能です。正確な定量を実現するためには、このステップでプライマーセットを最適化する必要があります。
NanoDrop 超微量分光光度計は、DNA の定量や、260/230 吸光比を利用した溶剤のコンタミ評価を行うためのシンプルな手段を提供します。
Qubit Fluorometer は少量の精製 DNA を正確に定量でき、qPCR 前のサンプルの標準化やシーケンシングアプリケーションで使用されます。
DNA 定量用の推奨製品:
この最初のステップは時間の影響を受けやすく、最適化が必要です。In vivo での共有結合性架橋は、タンパク質-DNA 相互作用を安定させ、それを特定の時点で解析できるようにします。一般的にはホルムアルデヒドが架橋に使用され、反応を停止するためにグリシンが添加されます。架橋剤はインタクトな細胞内に浸透し、タンパク質-DNA 複合体を固定して解析を可能にします。架橋剤は全手順で複合体を安定に保ちますが、ChIP に使用するためには可逆性でなければなりません。タンパク質-DNA 相互作用が非常に安定している場合は、架橋は不要です。
次に、細胞膜を溶解液で透過処理し、細胞成分を分離して、タンパク質細胞膜をDNA 複合体を可溶化します。バックグラウンドシグナルを低減し感度を上げるために、サイトゾルタンパク質を除去します。
注釈:このステップで ChIP アッセイを中断することが可能です。架橋して反応を停止させ、細胞ペレットを洗浄した後、ライセートを -80℃ で保存できます。
核は断片化しなければならず、この断片化は良好な ChiP 解像度への鍵となります。理想的なフラグメントサイズは 200 ~ 800 塩基対です。せん断はコントロールするのがもっとも難しいステップの一つです。せん断は、超音波処理および/またはヌクレアーゼ/酵素による消化により行いますが、それぞれに制限と利点があります。超音波処理は長い作業時間を必要としますが、溶解の難しい細胞には最適です。一方、酵素による消化は比較的作業時間が短く、複数のサンプル処理に対応しますが、ランダムなせん断ではありません。どちらの手法も各細胞株に応じた最適化が必要です。
注釈:このステップで ChIP を中断することが可能です。クロマチンのせん断/消化の後、ライセートを -80℃ で保存できます。凍結融解の繰り返しは避けてください。
タンパク質-DNA 複合体中の目的タンパク質の捕捉には抗体が使用されます。抗体は実験の成功に重要な要素です。抗体は核成分からタンパク質を免疫沈降させて分離し、関係のない細胞物質を排除します。
ポリクローナル抗体は複数のエピトープを認識できるという利点がありますが、ロット間の差が大きく、限定的な手段です。当社の組み換えモノクローナル抗体は実質的にロット間の差がないため、限定的な手段ではありませんが、認識できるタンパク質構造は限られています。当社の組み換えオリゴクローナル抗体は組み換えモノクローナル抗体のプールであるため、複数のエピトープの認識ができ、ロット間の差も小さく、再生可能な手段です。そのため、これは両者の最良点を組み合わせていると言えるかもしません。
特定のターゲットに対する抗体がない場合は、アフィニティータグ(HA、Myc、His など)を融合させたタンパク質をサンプルに発現させ、そのアフィニティータグに対する抗体を使用して免疫沈降できます。
作成された抗体-タンパク質-DNA 複合体は、抗体結合ビーズを使用して精製できます。ビーズ-抗体-タンパク質-DNA 複合体をインキュベーション後、十分に洗浄して精製し、タンパク質-DNA 複合体を溶出します。
目的のタンパク質を含有するクロマチン分画が分離されたら、脱架橋し、DNA を精製する必要があります。脱架橋は一般的に、高温インキュベーションおよび/またはタンパク質成分の消化により行います。
より純粋な DNA サンプルを得るには、RNase A での処理が推奨されます。残留タンパク質から DNA を精製するには、フェノール:クロロホルム抽出または DNA 精製用のスピンカラムを使用する必要があります。
注釈:このステップでChIP を中断することが可能です。脱架橋および/または DNA 精製の後、サンプルを -20℃ で保存できます。
このステップでは、精製した DNA産物を qPCR により定量します。 NanoDrop 分光光度計、Qubit Fluorometer、またはその他の分光光度法を使用して行います。qPCR を使用すると、目的のタンパク質が特定の遺伝子座に存在するかどうかを判定できます。SYBR Green 蛍光色素は、もっとも広く使用されている DNA ベースの qPCR 用試薬です。SYBR Green は、二本鎖 DNA(dsDNA)と結合した場合のみ蛍光を発し、その蛍光量は dsDNA の量に比例します。これにより、特定の DNA 領域におけるターゲットの濃縮度を定量することが可能です。正確な定量を実現するためには、このステップでプライマーセットを最適化する必要があります。
NanoDrop 超微量分光光度計は、DNA の定量や、260/230 吸光比を利用した溶剤のコンタミ評価を行うためのシンプルな手段を提供します。
Qubit Fluorometer は少量の精製 DNA を正確に定量でき、qPCR 前のサンプルの標準化やシーケンシングアプリケーションで使用されます。
DNA 定量用の推奨製品:
* 検証という用語の使用、またはその変化形は、d抗体が指定された研究技術で使用可能であることを確認するために、機能試験が課された研究用抗体にのみ適用されます。その製品が臨床用または診断用として検証されたことを保証するものではありません。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.