どちらのケミストリを使用しますか?

TaqMan® Chemistry

TaqMan® Gene Expression Assay

適切でない TaqMan® Assay を選択した可能性がある場合

Applied Biosystems では、100 万種類以上の TaqMan® Gene Expression Assays を提供しています。 すべてのアッセイは Applied Biosystems の検証済みバイオインフォマティクスパイプラインを使用して設計されていて同じ PCR 条件下で実施できますので、プライマー設計や PCR 条件の最適化が必要ありません。 しかしながら、転写産物や RNA ソースに最適なアッセイを選択することは重要です。 Online Ordering Guide および Online Selection Guide は、Applied Biosystems ホームページ上のすべての有益な情報の理解を支援し、目的の研究に最適なアッセイの選択をサポートする文書です。

TaqMan® Gene Expression Assay による増幅の失敗を確実に回避するためには、下記の情報について確認する必要があると考えられます:

逆転写反応が最適でなかった場合

逆転写 (RT) のプロセスにおいて、RNA は cDNA を合成するためのテンプレートとして使用されます。 一本鎖 cDNA 分子は、リアルタイム PCR 用テンプレートとして機能します。  逆転写法の違いはリアルタイム結果に大きく影響し得ます。 RT 反応は、CT 値が大きい場合(>35)や増幅が見られない場合のトラブル解決の際の原因として見落とされがちです。 使用する RT 反応のタイプ (1 ステップまたは 2 ステップ)、RT 反応のリニアリティ、および適切な RNA インプット量の範囲(キャパシティ)について考慮の上、実施する必要があります。

RNA サンプルの品質が悪い場合

以下の場合、RNA サンプルの品質が悪いと考えられます:

PCR 阻害物質が含まれるサンプル

RNA に阻害物質(サンプル調製試薬、過剰なタンパク質など)が含まれている場合、ダウンストリームの PCR が部分的あるいは全体的に阻害されることがあります。 出発材料由来の PCR 阻害物質には、ヘパリン(> 0.15 mg/mL)、ヘモグロビンなどのタンパク質(> 1 mg/mL)、多糖、 クロロフィル、メラニン、フミン酸などがあります。 核酸抽出段階で発生する夾雑物には、SDS(> 0.01% w/v)、フェノール (> 0.2% w/v)、エタノール(> 1%)、プロテイナーゼ K、グアニジン、および酢酸ナトリウム(> 5 mM)などがあります。

PCR 阻害物質の同定方法

紫外分光光度計、バイオアナライザー、あるいは NanoDrop(超微量分光光度計)を用いて RNA サンプルを解析し、量および質を評価します。 高品質の RNA サンプルは、紫外分光光度計による A260/A280 の値が 2 に近い値になるはずです。 A260/A280 の値が 1.8 の場合、サンプル中に約 70~80% のタンパク質が存在する、つまり PCR および逆転写の両方を阻害するタンパク質が多く含まれていることが示唆されます。

阻害プロット: 検量線プロットからのリアルタイム PCR データを用いて、誤った結果を引き起こすような阻害が発生しているかを判断することが可能です。 阻害の特性を判断するのに使用される場合、こうした片対数の検量線は阻害プロットと呼ばれます。 「Guide to Performing Relative Quantitation of Gene Expression Using Real-Time Quantitative PCR」の RNA Preparation and Reverse Transcription の項目をご参照ください。

ソリューション

  • 新しい精製法を用いてサンプルの RNA 精製を実施 -mdash;サンプルの種類に合わせて RNA 抽出キットを選択します。 適切な試薬/キットの選択をサポートする RNA Isolation Decision Tree をご参照ください。
  • サンプルをさらに精製 — 大幅に低い A260/A280 比を示す RNA は、フェノール・クロロホルム抽出、LiCl 沈殿、あるいは残留塩を除去するために洗浄することでさらに精製します。
  • PCR 阻害物質がリアルタイム PCR の結果に影響しないことがわかっている、より低いテンプレート濃度を用いてサンプルをテストします。

 

Custom TaqMan® Gene Expression Assay

Custom TaqMan Gene Expression Assays を使用した場合の増幅しない理由として考えられるのは:

  • バイオインフォマティクスに基づく配列の検証を実施していない可能性があります
  • バイオインフォマティクスに基づく検証を正しく実施して設計している場合は、逆転写に問題があると考えられます
  • 適切な逆転写法/キットを使用していた場合は、以下の可能性が考えられます

テンプレートの量が十分でない場合

扱っているサンプルの種類において目的遺伝子の発現量が低い、あるいはサンプルの種類によって抽出できる核酸の収量が低い可能性があります(セルソーティングによって回収したサンプルや LCM で分離したサンプル、FFPE など)。

リアルタイム PCR 研究において必要な RNA インプット量を判断する指針については、「Guide to Performing Relative Quantitation of Gene Expression Using Real-Time Quantitative PCR」の 25 ページをご参照ください。

ソリューション:

  • リアルタイム PCR 反応で使用するテンプレートを増量します
  • 収量を最大化するために、サンプルの種類に合わせて RNA アイソレーションキットを選択します
  • ターゲット配列の前増幅: TaqMan® PreAmp Master Mix Kit は、非常に少量の cDNA を用いた解析が行えるよう設計されています。 最大 100 ターゲットを 1 回のマルチプレックス反応で同時に前増幅することができます。 限られた量のサンプルで前増幅を行う前に、すべてのアンプリコンがバイアスなく均一に増幅されていることを確認します。 詳細は TaqMan® PreAmp Master Mix Kit プロトコルをご参照ください。

文献: Noutsias, M. et al. (2008) Preamplification techniques for real-time RT-PCR analyses of endomyocardial biopsies. BMC Mol Biol 9(1):3

サンプルの品質と量に問題がない場合

  • リアルタイム PCR 装置における反応条件の設定に問題がある可能性があります
  • そうでない場合はサポートにお問い合わせください

TaqMan® Gene Expression Assay を設計する領域

  1. mRNA 配列中のコード配列に位置するアッセイを選択します。
  2. アッセイの検索後、結果ページ上の Assay ID(例:Hs01075862_m1, 下図参照)をクリックします:

     


  3. 次のウィンドウで Assay Details が表示されます。 アッセイが 5′-UTR 領域に設計された場合、その情報が Additional Information に表示されます(下図参照):

 

目的遺伝子の転写バリアントの存在

RNA 抽出に用いられる特定の組織/細胞において発現しているのは、目的遺伝子のどの領域の転写バリアントでしょうか?

バリアントに関する詳細情報を得るためには、以下を行います:


Assay Search 結果ページ上に TaqMan® Gene Expression Assay 検索結果が得られたら、Alignment Map リンクを用いて、目的遺伝子のすべての既知の転写産物の概要を表示させます。 アッセイ詳細ページからは、NCBI へ直接ハイパーリンクしており、mRNA 配列情報、遺伝子オントロジー、および GEO(遺伝子発現オムニバス)プロファイルなどの目的遺伝子に関する詳細情報にアクセスすることができます。 アッセイにおいてすべての転写バリアントの検出を行いたい場合、すべてまたはほぼすべてのバリアントを検出するアッセイを確実に選択します。

GeneAssist™ siRNA Workflow Builder を使用すると、最適なアッセイを簡単に検索できます。 この 350 を超えるインタラクティブな細胞シグナル伝達パスウェイのコレクションは遺伝子および疾患情報への簡単なアクセスを提供し、対応する TaqMan® Gene Expression Assays、Ambion® Silencer® および Silencer® Select siRNAs のオーダーを可能とします。 GeneAssist™ Pathway Atlas は、350 を超えるインタラクティブなパスウェイマップが掲載されたオンラインツールで、特定のパスウェイ(BRCA1 経路など)に関連する遺伝子、タンパク質および製品のリストを提供します。 エクスポートした遺伝子リストによる TaqMan® Array や TaqMan® Express Plate のオーダーは、それぞれのオーダーツールにアクセスしてください。

マイクロアレイ実験の検証へのリアルタイム PCR の使用

  • マイクロアレイの検証実験を実施する場合、アレイプローブ・ターゲットにマッチする転写産物を確実に検出します。
  • UMapIt Microarray-to-TaqMan® Assays Mapping Tool を用いると、マイクロアレイ結果の検証実験に最も適切な TaqMan® Gene Expression Assays を素早く選定しオーダーすることができます。 UMapIt ツールは、あらゆる主要なマイクロアレイプラットフォームからの全ゲノムアレイデータに対応しています。

For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.