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本ページでは、主に、タンパク質間相互作用を解析するためのクロスリンカー使用法について解説いたします。 クロスリンカーやタンパク質クロスリンクの詳細については、クロスリンクとタンパク質修飾の概要やその他関連ページをご覧ください。
クロスリンク試薬は、相互作用性のタンパク質、ドメインまたはペプチドを互いに共有結合させます。この共有結合は、複数分子上の特異的アミノ酸官能基間の化学結合(クロスリンク試薬の相互作用により近接して起きる)の形成によって発生します。以下のように、市販の各クロスリンク試薬の特性は多種多様です:
細胞懸濁液または細胞溶解物へホモバイファンクショナルやヘテロバイファンクショナルのクロスリンカーを添加するだけで、標的タンパク質間相互作用に直接関与する複合体だけでなく、多数のタンパク質複合体が形成されます。このショットガン・シークエンシング法を利用して、様々な細胞表面タンパク質相互作用の研究が行われてきました。ただし、この技法では複合体単離後のデータ解析に困難が伴います。
こうした問題を解決するために、光反応性基を組み込んだクロスリンカーが製作されました。このクロスリンカーは、紫外光の照射に応答して反応するため目的のタイミングでクロスリンクすることが可能です。各末端に化学架橋基と光反応性基をそれぞれ有したヘテロバイファンクショナルクロスリンカーは、下記のように二段階プロセスを介して標的タンパク質へ選択的に反応させることができます:
また、アミノ酸の光反応性誘導体、具体的にはロイシン(L-フォトロイシン)やメチオニン(L-フォトメチオニン)でタンパク質を代謝標識することも可能です。生体内でタンパク質合成時に光反応性アミノ酸を取り込ませ、適当なタイミングでサンプルに紫外光を照射することで、生細胞中の天然環境におけるタンパク質間相互作用のクロスリンクが行えます。この有力な手法を利用して、細胞内における安定した一過性のタンパク質相互作用の研究と特徴づけが行えます。研究対象の細胞生物学の見地から、悪影響を与えかねない相互作用の実験の際に、異質な化学クロスリンカーや関連試薬溶剤を使用する必要は一切ありません。
This 45-page guide is of value to the novice as well as those who have previous experience with crosslinking reagents. It begins with a basic discussion on crosslinking and the reagents that are used. The guide also contains a discussion on various applications where crosslinking has been applied, including the powerful label transfer technique for identifying or confirming protein interactions. Crosslinking chemistry is addressed in an easy-to-follow format designed to convey the important information you need without getting lost in details. Each Thermo Scientific Pierce crosslinking reagent is shown along with its structure, molecular weight, spacer arm length and chemical reactivity. The handbook concludes with a list of excellent references on crosslinker use and a glossary of common crosslinking terms.
タンパク質間相互作用の多くは、一過性というだけでなく、、場合によってはこれらの複合体は、pH・温度・浸透圧の変化といった、さまざまな刺激に応答したり、特定のタンパク質や補因子が欠如している場合などでも、構造変化をおこすことがあります。
In vivo架橋はタンパク質間相互作用を天然環境で捕捉できる利点があるため、細胞溶解時において偽陽性相互作用が起きるリスクが抑えられ、複合体の安定性が維持されます。In vivo架橋では、標的タンパク質が細胞膜内や細胞膜全体に存在する場合、疎水性・脂溶性のクロスリンカーを使用することが推奨されます。一方、親水性・水溶性のクロスリンカーは、受容体-リガンド複合体などの細胞表面タンパク質の架橋に使用することができます。
細胞中のタンパク質が高濃度であるため、短いスペーサーアームを有するクロスリンカーは、通常in vivo架橋法に推奨されます。これにより、クロスリンカーとのインキュベーション中に偶然近接し合うタンパク質とは異なり、実際の相互作用タンパク質への結合特異性が上がります。
In vivo架橋では、生理学的に適切で安定に架橋された複合体を作成できます。しかし、反応条件を厳密に制御できず、多種多様なタンパク質に対してクロスリンカーが反応することから、In vivo架橋法の最適化が困難な場合があります。
In vitro架橋は、pH・温度・反応物の濃度・標的タンパク質の純度など、より多くの反応条件を厳密に制御できるため、適正に特異的架橋現象を標的できます。結合実験におけるあらゆる側面を制御できるため、タンパク質間相互作用の分解能が向上し、優れた解析が行えます。また、ポリエチレングリコール基の添加(PEG化)、スルフヒドリル基のブロッキング、アミンのスルフヒドリル基への転換といった相互作用タンパク質の修飾が、in vitro結合法によって研究者自身で実行できるようになります。また、in vitroアプリケーションには、疎水性および親水性の多種多様なクロスリンカーが利用できます。
タンパク質の結合にin vitro法を適用した場合、当然、生理的条件の欠如というデメリットがあります。また、膜を破裂または可溶化させると、タンパク質同士やタンパク質-膜間の相互作用が切断される可能性があります。
多種多様なアプリケーション用に膨大な数のクロスリンカーが市販されています。そこで、主に標的タンパク質の以下の点に基づいて、in vivo架橋またはin vitro架橋いずれかの使用を決定してください:
タンパク質間相互作用を適正に同定するためには、最適なクロスリンカーを選択することが極めて重要です。種々のクロスリンカーと反応し得るアミノ酸官能基は、複数に存在します。そのため標的タンパク質複合体を同定する際は、最初に、数種類のクロスリンカーをスクリーニングする予備実験が効果的です。検証した各クロスリンカーは、以下の点に関してそれぞれ異なる場合があります:
標的相互作用が下記いずれかの手法で検出された後、クロスリンカーの濃度・pH・その他の反応条件を調整することでプロトコルを微調整して検出を最適化できます。
タンパク質間相互作用を適正に同定するためには、最適なクロスリンカーを選択することが極めて重要です。種々のクロスリンカーと反応し得るアミノ酸官能基は、複数に存在します。そのため標的タンパク質複合体を同定する際は、最初に、数種類のクロスリンカーをスクリーニングする予備実験が効果的です。検証した各クロスリンカーは、以下の点に関してそれぞれ異なる場合があります:
標的相互作用が下記いずれかの手法で検出された後、クロスリンカーの濃度・pH・その他の反応条件を調整することでプロトコルを微調整して検出を最適化できます。
タンパク質濃縮に着手するにはin vitro架橋プロトコルで、また細胞数カウントに着手するにはin vivo架橋プロトコルで、それぞれ実験的に測定する必要があります。In vitro架橋では、特異的クロスリンカーに適切なpHを有した、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)などの非反応性バッファー中で、タンパク質溶液を調製する必要があります。In vivo架橋アプリケーションでは、細胞は、架橋手順中において対数増殖期かつサブコンフルエント密度で処理する必要があります。培養液がクロスリンカーと反応する可能性を防ぐために、細胞の一連の洗浄によって培養液をPBSに交換できます。
クロスリンカーは製造元の指示に従って調製します;最初に疎水性クロスリンカーをメタノールやアセトンなどの適正な溶媒に溶解させます。また、最適な試薬添加量はクロスリンカーによって異なりますが、通例は(溶解物のタンパク質濃度に対して)20〜500倍モル過剰が妥当です。反応バッファーのpHがクロスリンカーに適していることを確認してください。一般的なアミン反応性クロスリンカーは、アルカリ性pHで活性化されます。
また実験や使用クロスリンカーによっては架橋反応時間も重要な要素となります。インキュベーション時間は30分間がさしあたり適当ですが、並行して多重実験を行い他のインキュベーション時間をテストすることによって、特定クロスリンカーの最適なインキュベーション時間を決定できます。長期間のインキュベーションを行うと大きな架橋タンパク質凝集体が形成されるうえに、クロスリンカーの安定性が損なわれる可能性があるため、一般に長期間のインキュベーションは避けるべきです。とはいえインキュベーション期間を拡張する必要がある場合には、全手順の特定時点においてフレッシュなクロスリンカーを添加することによって試薬の適切なモル比が維持でき、標的生成物を最大限に形成させることができます。ともあれ、最適な反応時間を決定する際には、大規模な架橋により形成される凝集体に関しても考慮しなければなりません。
タンパク質相互作用の解析に用いられるアミン反応性クロスリンカーの大半は、トリスやグリシンといった求核試薬を過剰量添加すれば、所望の時点で反応を停止させることができます。それから、沈殿、クロマトグラフィー、透析、限外濾過など様々な手法で架橋生成物を精製できます。
ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)バッファー(トリスおよびβメルカプトエタノールを含有)を添加した後、溶液を5分間沸騰する方法を利用すれば、反応定しとタンパク質変性を迅速に行うことができます。その後、ゲル電気泳動でサンプルを直接解析することができます。
一般に架橋は、一過性または不安定な相互作用を捕捉および安定化させるために行われます。架橋によって相互作用複合体が単離しやすくなり、電気泳動、染色、ウェスタンブロット、共免疫沈降、質量分析といった下流の解析が可能になります。
二つのタンパク質が共有結合架橋されている場合、両タンパク質によるゲル移動パターンは未架橋タンパク質とは異なります。そのため各標的タンパク質を検出する抗体が利用できる場合であれば、分子量変化から、SDS-PAGEやウェスタンブロッティングによって、タンパク質の相互作用を確認することができます。
免疫沈降法(IP)は、抗体を利用してタンパク質の存在を確認する手法です。また共免疫沈降法(co-IP)では、抗体を利用してタンパク質複合体を確認する手法です。IPおよびco-IPの両アプリケーションにおいてもクロスリンクが利用されます。アフィニティー結合や固定化反応で抗体をビーズ支持体に固定化し、免疫複合体の抽出中にサンプルが損失されるのを抑えます。またco-IPプロトコル前に、一過性またはアフィニティーの弱いタンパク質間相互作用を安定化させる目的でクロスリンクが行われることもあります。その後、通常SDS-PAGEによってサンプルを解析します。
質量分析(MS)が実行できる場合、結合したクロスリンカー分子の質量変化によって、相互作用タンパク質間で架橋されたペプチド断片を同定できます。例えば次のような使い方があります。一方の細胞ライセートに重水素化(重い)クロスリンカーを反応させて複合体を架橋し、もう一方の細胞ライセートに非重水素化(軽い)クロスリンカーを反応させて複合体を架橋することで、同じ複合体を異なる重さのクロスリンカーで架橋させます。その後、架橋された各タンパク質を混合してMS解析することによって、複合体の同定とともに、軽いクロスリンカーを用いたライセートと重いクロスリンカーを用いたライセート間での量的変化を定量化することができます。通常、、SDS-PAGEにより複合体を分離してから酵素消化し、その後MS解析が行われます。
Our 72-page Protein Interactions Technical Handbook provides protocols and technical and product information to help maximize results for protein interaction studies. The handbook provides background, helpful hints and troubleshooting advice for immunoprecipitation and co-immunoprecipitation assays, pull-down assays, far-western blotting and crosslinking. The handbook also features an expanded section on methods to study protein–nucleic acid interactions, including ChIP, EMSA and RNA EMSA. The handbook is an essential resource for any laboratory studying protein interactions.
Contents include: Introduction to protein interactions, Co-immunoprecipitation assays, Pull-down assays, Far-western blotting, Protein interaction mapping, Yeast two-hybrid reporter assays, Electrophoretic mobility shift assays (EMSA), Chromatin immunoprecipitation assays (ChIP), Protein–nucleic acid conjugates, and more.
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.