細胞培養の基本的なシステムには、細胞を人工基質上で単層に成長させるシステム(すなわち接着培養)と、細胞を培地中で自由に浮遊させて成長させるシステム(すなわち浮遊培養)の 2 種類が存在します。

各培養タイプの特徴

脊椎動物に由来する細胞は、造血細胞株およびその他少数の細胞株を除き、その大部分が足場依存性であり、細胞の接着と拡散が可能となるような特別な処理(すなわち組織培養処理)が施された、適切な基質上で培養される必要があります。  しかし、多くの細胞株は浮遊培養にも適応することが可能です。  同様に、市販の昆虫細胞株の大部分は、単層培養においても浮遊培養においても十分に成長します。  

浮遊培養されている細胞は、組織培養処理していない培養フラスコ中で維持ですることが可能です。しかし、表面積あたりの培養量が十分なガス交換が妨げられる程度(通常、0.2 ~ 0.5 mL/cm2 )を超えて増加すると、培地を撹拌することが必要となります。  撹拌には、通常マグネチックスターラーまたはスピナーフラスコが使用されます。


接着細胞培養
浮遊細胞培養
初代培養を含むほとんどの細胞タイプに適しています。
浮遊培養に適応化させた細胞および他のいくつかの非接着性の細胞株(例:造血細胞)に適しています。
定期的な継代が必要ですが、倒立顕微鏡下で容易に目視観察することが可能です。継代は容易ですが、成長パターンの追跡には毎日の細胞カウントと生存率の測定が必要です。増殖を促進するために、培養物を希釈することは可能です。
細胞は酵素的(例:Gibco™ TrypLE™ Express、トリプシン)または機械的に剥離する必要があります。
酵素的または機械的剥離の必要はありません。
増殖は表面積により制限され、そのため収量が制限されることがあります。
増殖は、培地中の細胞濃度により制限され、容易にスケールアップすることが可能です。
組織培養処理した容器が必要です。組織培養処理していない容器中でも培養が可能ですが、十分なガス交換のために撹拌(振とうまたは撹拌)が必要です。
細胞学、継続的な培養産物の回収およびその他多くの研究に利用されています。タンパク質のバルク生産、バッチ回収およびその他多くの研究に利用されています。

動画:細胞の継代

動画 3:細胞の継代

この動画では、接着培養および浮遊培養の両方で増殖させた細胞をなぜ、いつ、どのようにして継代するかを説明します。これには細胞剥離、細胞カウント、最適な播種密度の決定、継代した培養細胞用の新しい培養容器の準備が含まれます。

動画:継代 この動画では、接着培養および浮遊培養の両方で増殖させた細胞をなぜ、いつ、どのようにして継代するかを説明します。  これには細胞剥離、細胞カウント、最適な播種密度の決定、継代した細胞用の新しい培養容器の準備が含まれます。

For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.