以下のプロトコルは、
培養中の接着性哺乳類細胞の継代培養に関する一般的な手順を説明します。 昆虫細胞の継代手順はいくつかの重要なステップが哺乳類細胞の手順とは異なることに注意してください。 詳細については、
昆虫細胞の継代培養に関する注意を参照してください。
ご自身の細胞株を継代するためには、実験に使用している各製品に提供されている指示に厳密に従うことをお薦めします。 特定の細胞の種類に必要な培養条件からの逸脱は、異常な表現型の発現や細胞培養の完全な失敗というさまざまな結果を招きます。
- 接着細胞を含む培養容器
- 組織培養処理済みフラスコ、プレートまたは培養皿
- あらかじめ37 °C に温めておいた完全増殖培地
- 使い捨ての滅菌済み 15 mL チューブ
- 37 °C 加湿5% CO2インキュベーター
- ダルベッコ リン酸緩衝生理食塩液(DPBS)など、カルシウム、マグネシウム、フェノールレッドを含まない平衡塩溶液
- フェノールレッド不含トリプシンまたは Gibco TrypLE Express などの解離試薬
- Countess II FL自動セルカウンター、トリパンブルー、血球計算盤、Coulter Counter (Beckman Coulter)などの生細胞数および総細胞数を測定するための試薬および機器
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この動画では、接着培養および浮遊培養で増殖させた細胞を継代する理由、時期、方法について説明します。 これには、細胞の剥離、細胞のカウント、最適な播種密度の決定、継代した細胞用の新しい培養容器の準備が含まれます。
細胞と接触するすべての溶液および機器は無菌でなければなりません。必ず適切な無菌操作を実行し、層流フード内で作業してください。
- 使用済みの細胞培養培地を培養容器から取り除き、廃棄します。
- カルシウムおよびマグネシウムを含まない平衡塩溶液(培養面積 10 cm2あたり約 2 mL)を用いて細胞を洗浄します。 細胞層を乱さないように洗浄液を接着した細胞層の反対側の容器の側面に静かに加え、容器を前後に数回揺り動かします。
注: 洗浄ステップで、解離試薬の作用を阻害する可能性がある微量の血清、カルシウムおよびマグネシウムを除去します。
- 培養容器から洗浄溶液を取り除いて廃棄します。
- トリプシンまたは TrypLE などのあらかじめ温めておいた解離試薬をフラスコの側面に加えます。細胞層を覆うのに十分な試薬を使用します(10 cm2 あたり約 0.5 mL)。 細胞層を完全に覆うために容器をゆっくり揺り動かしてください。
- 培養容器を室温で約 2 分間インキュベーションします。 実際のインキュベーション時間は、使用する細胞株によって異なることに注意してください。
- 細胞を顕微鏡下で観察し、剥離を確認します。 細胞の剥離が 90%未満の場合は、インキュベーション時間を数分間延長し、30 秒ごとに剥離を確認します。 容器を軽くたたいて細胞剥離を促進することもできます。
- 細胞の90%以上が剥離したら、細胞が排出できるように、最小限の時間だけ容器を傾けます。 あらかじめ温めておいた完全増殖培地の 2 倍量(解離試薬に使用する量の 2 倍)を加えます。 細胞層表面上で数回ピペッティングすることにより、培地を分散させます。
- 細胞を 15 mL のコニカルチューブに移し、200 x g で 5 ~ 10 分間遠心分離します。 遠心分離の速度と時間は、細胞の種類によって異なることに注意してください。
- あらかじめ温めておいた完全増殖培地の最少量に細胞ペレットを再懸濁し、カウント用ににサンプルを採取します。
- 血球計算盤、セルカウンターおよびトリパンブルー色素排除法、または Invitrogen Countess 自動セルカウンターを使用して、細胞の総数と生存率を決定します。 必要に応じて、細胞に増殖培地を添加して、細胞濃度に調整し、細胞を再計測します。
注:細胞総数および生存率の測定には、Countess 自動細胞計数器の使用をお勧めします。 現在血球計算盤で使用しているものと同量のサンプルを使用して、Countess 自動セルカウンターでは通常の細胞計数に要する時間はサンプルあたり 1 分未満であり、さまざまな真核細胞に適合します。血球計算盤による細胞カウントにあるプロトコルをご覧ください。
- 細胞懸濁液をその細胞株に推奨される播種密度に希釈し、適切な量をピペットで新しい細胞培養容器に移し、細胞をインキュベーターに戻します。
注:培養フラスコを使用する場合は、通気性のあるキャップ付き通気フラスコを使用する場合を除き、インキュベーターに入れる前にキャップを緩めて、適切なガス交換を可能にします。
昆虫細胞の継代培養の一般的な手順は哺乳類細胞と同じ手順に従いますが、これらの培養システムのいくつかの重要な要件が異なります。 最良の結果を得るには、実験に使用している各製品に付属している指示に常に従ってください。
- 対数期に昆虫細胞を継代します。 しかし、昆虫細胞が強く接着している場合は、昆虫細胞がフラスコ底から離れ始め、取り除きやすくなるコンフルエント時、またはその少し後に継代を行うことが可能です。
- 20%コンフルエント未満の場合、増殖が阻害されます。 もっとも健全な細胞は、対数期の培養物から採取したものです。
- CO2 交換は昆虫細胞培養には推奨されません。
- 非加湿環境で昆虫細胞を 27 °C で維持してください。 遮光するか引き出し内にある場合、細胞は実験台上で室温で維持できます。 ただし、27 °C で管理された環境を推奨します。
- 昆虫細胞の増殖には特別に調整された培地を使用してください。
- 昆虫細胞は無血清条件下では基質に非常に強く接着し、剥離するには追加の作業が必要です。 細胞を取り除くには、手首のスナップ動作を使用してフラスコを素早く1 回振る必要があります。 汚染を避けるため、この手順の前に必ずキャップをしっかりと締めてください。
注意: 細胞が損傷する可能性があるため、フラスコを激しく振ることはお勧めしません。