細胞治療製造のための閉鎖系でスケーラブルで使いやすいトランスフェクションシステムです

Xenonエレクトロポレーションシステムは、直感的なタッチスクリーンインターフェースにより、卓越した非ウイルス遺伝子編集およびトランスフェクション性能を実現します。シングルユースのエレクトロポレーションチャンバーを備えた閉鎖系システムは、規制の遵守を促進し、クリーンルームのコスト削減に役立ちます。Neon NxTエレクトロポレーション・システムによる研究および初期開発から、CTS Xenonプラットフォームによるプロセス開発および商業生産まで。


CTS Xenonシステムでは、トランスフェクトが困難な細胞への堅牢かつ効率的なゲノム編集とトランスフェクションが可能です

DNA、RNA、タンパク質などの外因性生体物質を真核生物細胞へ導入するトランスフェクションは、現在では細胞や遺伝子治療、ゲノム編集、タンパク質発現、mRNAワクチン、免疫療法などの幅広いアプリケーションで一般的に使用されています。主な非ウィルス導入・トランスフェクション法エレクトロポレーション法(物理的方法)は、初代細胞、幹細胞、免疫細胞のようなトランスフェクションが困難な細胞でも高いトランスフェクション効率を達成できることから、広く用いられています。エレクトロポレーションは、カチオン性脂質ベース(化学的)またはウイルス(生物学的)手法よりも大きなペイロード(>7 kb)を導入でき、ウイルスベクターを用いたトランスフェクションよりも簡単で低コストです。

エレクトロポレーションの概要

エレクトロポレーションでは、電気パルスを使用して一時的な細孔を形成し、ペイロードが細胞膜を通過できるようにする方法です。
 

CTS Xenonエレクトロポレーションシステムは、最大25 mLの容量で25分以内に確実に高いトランスフェクション性能を発揮し、優れた細胞生存率と回収率を実現します。付属のデータグラフでは、Cas9/gDNAを使用して内在性T細胞受容体(TCR)をノックアウトし、第2世代CARコンストラクトを発現する二本鎖DNA直鎖をノックインすることで、健常人ドナー3名からキメラ抗原受容体(CAR)T細胞を生成しました。ベンチマークとして、レンチウイルスの形質導入はこのプロセスで20~40%の確率で成功することが想定されます。

 

グラフは、CTS Xenonシステムのノックインおよびノックアウト性能が高いことを示しています。健常人ドナー3名すべてにおいて、CTS Xenonシステムでのトランスフェクション成功率(内在性TCRのノックアウトに加えCAR遺伝子をノックインした細胞)は、CTS Xenon エレクトロポレーションシステムのSingleShot(1 mL)またはMultiShot(9 mL)にに応じて約22%から45%以上でした。CTS Xenonシステムでのトランスフェクション効率は、このプロセスを開発したNeonトランスフェクションシステムさえ上回っています。トランスフェクション効率とバランスを取る必要がある細胞生存率は、1ケースを除くすべてで70%を超えており、通常のトランスフェクトされていないコントロールの10%以内でした。


良好なCAR T細胞のノックアウトおよびノックイン性能

図1.健常人ドナー3名のアフェレーシス検体由来初代T細胞に、Cas9/gRNAを使用して内在性T細胞受容体(TRAC)のノックアウトおよび第2世代CARコンストラクトを発現する二本鎖DNA直鎖のノックインを行いました。Neonトランスフェクションシステム(100 μL)およびCTS XenonエレクトロポレーションシステムでCTS Xenon SingleShotチャンバー(1 mL)、CTS Xenon MultiShotカートリッジ(9 mL)を用いてトランスフェクションを行い、コントロールとして非トランスフェクション細胞(0)を用いました。細胞は72時間後に、非トランスフェクション(TCRαβ+、グレー)、ノックアウトされたがノックインされず(TCRαβ CAR、ライトブルー)、ノックアウトおよびノックイン成功(TCRαβ CAR+、ダークブルー)として特徴付けられました。すべてのドナーにおいて、CTS Xenonシステムでノックインが成功した細胞の割合は21.9%~45.6%で、Neonシステムでの割合を上回りました。


CTS Xenonシステムの主な特長

機器、チャンバーまたはカートリッジ、バッファー、およびソフトウェアを組み合わせることで、GMP準拠のエレクトロポレーションが容易になります

CTS Xenonエレクトロポレーション機器、チャンバーまたはカートリッジ、バッファー、およびソフトウェアによって、閉鎖系エレクトロポレーションシステムが構成されます。汎用性を備えた CTS Xenonシステム は、ベンチトップで使用でき、プロセス開発からGMP製造までスケールアップできるように設計されています。シングルユースのエレクトロポレーション用消耗品を適用し、直感的なタッチスクリーンインターフェースを備えています。

 

シングルユースのエレクトロポレーション用消耗品には、1つのバッチで1 mLのサンプルを処理するSingleShot チャンバー と、連続した自動プロセスで5~25 mLを1 mLずつエレクトロポレーションするMultiShot カートリッジ の2種類があります。また、エレクトロポレーション バッファーのうち、1つはゲノム編集用(ノックアウトおよびノックイン効率を高めるように設計)、1つは低導電率アプリケーションに対応するよう設計されたもの、および標準アプリケーション用のものから選択できます。最後に、タッチスクリーン上で CTS Xenonソフトウェア を起動し、プロトコルの表示や変更、処理の制御、新規プロトコルの作成をリアルタイムで行うことができます。

細胞治療プロセスの開発および製造用に設計された大容量エレクトロポレーションシステム

装置本体

  • GMP製造における効率的なプロセス開発と品質向上のために設計されています
  • 既存のプロセスへの組み込みが容易
  • GMPガイドラインに準拠して製造されたCTSブランド製品

 

エレクトロポレーションチャンバー

  • 1 mL SingleShotチャンバーおよび5~25 mL MultiShotカートリッジ
  • GMPガイドラインに準拠して製造されたCTSブランド製品

エレクトロポレーションバッファー

  • 3種類のバッファー:エレクトロポレーション、低導電率エレクトロポレーション、ゲノム編集
  • 100 mLボトルと100 mLバッグでご用意しています
  • GMPガイドラインに準拠して製造されたCTSブランド製品

ソフトウエア

  • 直感的で使いやすいeGUI(組み込みグラフィカルユーザインタフェース)
  • 21 CFR Part 11への準拠を可能にするソフトウェアのアップグレードが可能

小容量から大容量まで効率的にスケールアップでき、GMP製造の品質向上に役立ちます

閉鎖系システム、シングルユースチャンバー、CTS MultiShotカートリッジ形式、ソフトウェアの自動化は、ヒューマンエラーの低減、サンプル汚染と漏出の抑制、スタッフのトレーニングの削減、クリーンルームのコスト削減に役立ちます。

シングルユースの1 mL CTS SingleShotエレクトロポレーションチャンバーは、2~10 x 107個の細胞を1バッチでトランスフェクションできます。

シングルユースの5~25 mL CTS MultiShotエレクトロポレーションカートリッジは、連続処理で0.1~2.5 x 109個の細胞をトランスフェクションできます。カートリッジはチューブがあらかじめ配管されているため、効率的かつ安心して装着でき、またセットアップ方法がソフトウェアインターフェースに表示されるため、正しい設置方法を確認しながら作業できます。

このシステムは閉鎖系ですが、プラットフォームは開放系のため、プロセス開発中にトランスフェクション条件を自由に検討し、最適な条件に導くことができます。プロセス開発者は、電圧、パルス幅、パルス数、パルス間隔などのパラメータを調整することにより、エレクトロポレーションプロセスを最適化できます。お手持ちのバッグを使用し、PVCまたはC-Flex™チューブに無菌溶接することができます。CTS Xenonシステムは、統合されたソフトウエア制御の下、クローズドで自動化された完全な細胞治療ワークフローに組み込むことも可能です。


プロセス開発から商用の細胞治療製造への拡張性

Xenonエレクトロポレーションシステムは、Invitrogen Neon NxTと対応したプロセスおよびプロトコルで、1反応当たり、1 x 104~1 x 107までのプロセス、プロトコルに対応したコンパクトなベンチトップ機器です。Neon NxTシステムでの小スケールでの研究、初期開発を完了した後、1 mL SingleShotチャンバーを使用したXenonシステムでのプロセス開発にスケールアップし、そこから5~25 mL MultiShotフロースルーカートリッジを使用したGMP製造に移行する。目的のスケールに応じて、電圧やパルス幅、パルス数、パルス間隔などのエレクトロポレーションパラメーターを調整して、製品やプロセスのニーズに合わせることができます。すでに製造工程を構築されている場合も、モジュール型のCTS Xenonシステムは効率的にそれに統合できるように設計されています。Xenonシステムに適合する際、パラメーターやプロトコルでは若干の調整が必要な場合がありますが、Neon NxTシステムを使用して確立されたエレクトロポレーション前後の処理も適用されます。

研究および発見から大容量GMP製造に至るまで、エレクトロポレーションプロセスをスケールアップできます。同じエレクトロポレーションパラメーターを使用したNeon、Neon NxT、CTS Xenonエレクトロポレーションシステム(n = 3ドナー)の並列比較。3つのシステム全体で、KO効率は61-85%であった。編集されたNK細胞は、細胞集団が75~88%CD56+細胞、81~99%の細胞生存率であるため、表現型を維持しました。CTS Xenonシステムは一貫して高いKOを示しています。


cGMP準拠の消耗品およびバッファー

エレクトロポレーション用消耗品(1mL CTS SingleShotチャンバー、5~25 mL CTS MultiShotカートリッジ)は、いずれもcGMP(Good Manufacturing Practices)に準拠し製造されています。これらのシングルユース消耗品は、信頼性と一貫した性能を実現し、お客様のcGMP準拠の施設およびワークフローに適合するように設計されています。

具体的には、このチャンバーはISO 13485認証取得施設で製造され、無菌性、生体適合性、溶出物、および微粒子の検査を受けています。CTS MultiShotカートリッジは、細胞損失と滞留量/固定損失量の両方を最小限に抑えるように設計されており、カートリッジ式消耗品によるエラー軽減型の送液充填が可能です。
 

同様に、すべてのCTS XenonバッファーはCTS製品でGMP製造されています。これらは、細胞治療製造のための補助材料および原材料に関するUSP <1043>およびEP 5.2.12の要件を満たしています。

CTS Xenonシステムバッファーは、100 mLボトルまたは100 mLバッグの2種類のフォーマットで提供されています。

CTS Xenonシステムとサーモフィッシャーサイエンティフィックの他の機器との物理的およびデジタル的接続

細胞治療の製造ワークフローは、多くの異なるステップや製品から構成され、複雑で断片化されていることがあります。一般的に、多くの労力を要する操作が行われるため、エラーが起こりやすくなります。また、いくつかの開放系プロセスにより、汚染が発生しやすくなります。
 

CTS Xenonエレクトロポレーションシステムは、サーモフィッシャーサイエンティフィックの他の機器や消耗品と統合することで、完全な閉鎖型細胞治療製造ワークフローを構築することが可能です。たとえば、CTS Rotea Counterflow Centrifugation Systemは、細胞の分離、濃縮、洗浄、バッファー交換など、ワークフローの複数のプロセスに使用できます。同様に、HyPerforma Rocker Bioreactorは、免疫細胞やトランスフェクション細胞の増殖などの細胞培養プロセスに使用できます。

CTS Xenonシステムは細胞治療の完全な閉鎖系ワークフローに適合します。(左から順に):CTS DynaCellect Magnetic Separation System、CTS Rotea Counterflow Centrifugation System、およびCTS Xenon Electroporation System。これらのモジュールは、物理的およびデジタル的に統合できるように設計されています。

CTS Xenonシステムによる効率的な細胞治療製造を実現するデジタル自動化

物理的な接続性(滅菌チューブとコネクター)により、Xenonシステム、RoteaシステムDynaCellectシステム、その他のモジュールをクローズドワークフローに統合することができるように、デジタル接続性により、バイオプロセスコントローラーやソフトウェアで制御することができます。組み合わせることで細胞治療製造のための統合された半自動のモジュール連結型閉鎖系ワークフローが構成できます。OPC-UA(Open Platform Communications-Unified Architecture)との完全な互換性により、これらのシステムを統合し、細胞治療製造のための半自動化、閉鎖系、モジュール型のワークフローを構築することが可能です。


21 CFR Part 11準拠をサポートするソフトウェア

商用製造にスケールアップする場合は、利用可能なCTS Xenon SAEソフトウェアまたはDeltaVシステム用Gibco CTS Cellmationソフトウェアの2つのソフトウェアオプションのいずれかをアップグレードして、21 CFR part 11への準拠を可能にすることをお勧めします。