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ユーザー:勝間 進 氏
東京大学大学院農業学生命科学研究科生産・環境生物学専攻 昆虫遺伝研究室 准教授
「ハードルがなく、起動時間もほぼゼロでストレスフリーの蛍光観察が魅力ですね。」
東京大学の勝間氏は、FLoid™セルイメージングステーションをこう評価します。
彼の研究テーマの一つは「病原体がいかにして宿主の行動を操るのか」。最近、共同研究者とともにバキュロウイルスが感染末期に宿主幼虫を寄主植物の上方に移動させ、そこで致死させることにより、自身の伝播範囲を広げるメカニズムを解明し、報告しました(下記文献参照)。
勝間氏の研究室は地下一階にあり、イメージングステーションはその階の培養室ゾーンにあります。「これまでは蛍光顕微鏡を使うために3階の暗室まで細胞のディッシュを持って移動するなど、大変で気も使いました。でも今は気軽にチェックできて楽ですね」と装置導入後の変化についてコメントします。「特に細胞の様子を長期間にわたって経過観察する時など、培養プレートでそのまま観察できるので、細胞プレートを何十枚も準備する必要がなくなりました。しかも一体型モニターで観察できるので、10人程度の学生実習にも便利そうです。」とにこやかに語ります。
移動や準備など、研究周辺の雑務時間を大幅に減らすことで研究がさらに進展しそうです。研究対象のバキュロウイルスからは、アポトーシス関連のIAPやp35など重要な遺伝子がいくつも見つかっています。勝間氏のグループも、哺乳類の成長因子の一つであるFGFと似たvfgf遺伝子を発見しました。
種を越えて普遍的な生物学的知見を積み重ねていく中で、私たちの進化の道筋も見えてくるかもしれません。今後の進展が楽しみです。
文献:Katsuma S, Koyano Y, Kang W-K, Kokusho R, Kamita SG, and Shimada T., The baculovirus uses a captured host phosphatase to induce enhanced locomotory activity in host caterpillars. PLoS Pathogens, 2012, 8, e1002644.
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