効率評価はGeneArt® Genomic Cleavage Detection Kitで定量化

佐久間哲史 氏( 広島大学大学院理学研究科 数理分子生命理学専攻 分子遺伝学教室特任助教)

ゲノム編集で有名な広島大学の山本卓教授の研究室で、TALENsやCRISPRを使ったシステムの改良を手がける佐久間哲史氏。歯学部から理学部に転入し、分子遺伝学教室を選んだのは、「(当時ゲノム編集のために同教室で行っていた)ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)が広がりのある技術と思い、興味を持ったから」と話します。その後いくつかの新たなゲノム編集技術が登場する中で、佐久間氏はTALENsの作製システムの改良やその活性を高めたPlatinumTALENの開発、さらにCRISPRの改良システムの開発も手がけます。今では上司の山本卓教授も「彼はうちの研究室には欠かせない研究者です」と太鼓判を押すほどに。

ゲノム編集の効率評価はキットで簡単に確認
その佐久間氏が「これは使いやすい」と評価しているのが、ゲノム編集後の標的遺伝子の変異を簡単に検出できるGeneArt®Genomic Cleavage Detection Kit。ゲノム編集の過程で起きた、塩基の挿入や欠失の成功を定量的に評価できます。「最初に使った他社製品では、プロトコル通りにやってもスメアになったりバンドがたくさん出てきたりして使いづらい点がありました。酵素の量や反応時間を最適化したプロトコルを自分たちで作れば一応使えるようになりますが、初めて使うときにはそれが課題ですね。一方、GeneArt® Genomic CleavageDetection Kitは取扱説明書のプロトコル通りにやれば、本当にうまくいきます。初めてやる人でも誰でも使いやすいですし、汎用性が高くていいですね」とコメントします。

さらにエキサイティングな展開へ
ZFNに興味を持って研究者としての道を歩き出した佐久間氏ですが、その作製はなかなかうまくいかず大変苦労したと言います。しかしTALENsやCRISPRが登場し、使いやすいキットやツールが出てきたこともあり、研究がスムーズに進むようになったそうです。そして今後の展開を次のように予測します。「たとえばTALエフェクターとヌクレアーゼを融合させて遺伝子をノックアウトやノックインするだけでなく、転写活性のコントロールやゲノムの特定領域における修飾など、ゲノム編集には多様な可能性があります。将来は遺伝子の機能解析においてRNAiを超えるアプローチになり、PCRの様に誰もが使える技術として研究室に普及するのではないでしょうか」。佐久間氏自身も普及のための講習会やゲノム編集コンソーシアムの活動もこなします。「なるべく多くの人に広く使ってもらえるように、今後もTALENsやCRISPRを使うシステムの改良開発に主眼を置いて進めていきたいですね」と話します。