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ルーチンウェハーコンプライアンスの日常の課題に応えるための工程段階およびウェハー環境の管理には、分析装置を含めさまざまな特性評価技術を用いることが求められます。ここでは、当社のクロマトグラフィーと分光分析ソリューションを半導体製造全体の環境管理に使用して、最高の歩留まりを達成する方法について学びます。
ウェハー製造環境のモニタリングには、生産率に悪影響を及ぼすおそれのある、シリコンウェハーが曝されるすべての媒介物の管理と分析が含まれます。このような媒介物として、以下のものが挙げられます。
環境誘発型ウェハー汚染を低減するには、このような気体および液体の媒介物を粒子、不純物、さらに有機体、微量金属、酸、塩基などを含む特定の汚染物質について分析する必要があります。媒介物の相(気相、液相、固相)および管理対象の汚染物質の性質に応じてさまざまなクロマトグラフィーや分光分析を用いる必要があります。表 1 には多くの分析法を列挙しています。表 2 には半導体汚染物質の分析法の概要を示しています。
クロマトグラフィー | |
---|---|
液体クロマトグラフィー(LC) | ガスクロマトグラフィー(GC) |
イオンクロマトグラフィー(IC) | 燃焼イオンクロマトグラフィー(CIC) |
分光分析 | |
質量分析(MS) | 誘導結合プラズマ-質量分析(ICP-MS) |
ガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS) | 気相蒸着誘導結合プラズマ質量分析(VPD-ICP-MS) |
昇温脱離ガスクロマトグラフィー質量分析(TD-GC-MS) | 誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES) |
工程汚染物質分析の種類 | 分析方法 | 解析要求 | 標準性能 |
---|---|---|---|
ウェハー/基材 | VPD-ICP-MS、IC、CIC | 元素およびイオン検出感度、強力な干渉除去、再現性、マトリックス堅牢性 | 前者は ng/L、後者は ug/L |
クリーンルームの空気 | GC、IC | VOC、SVOC、金属、陰イオン | ug/L |
超純水 | ICP-MS、IC | 元素およびイオン検出感度、再現性 | 前者は ng/L、後者は ug/L |
化学薬品/試薬 | ICP-MS、IC | 元素およびイオン検出感度、強力な干渉除去、再現性、マトリックス堅牢性 | 前者は ng/L、後者は ug/L |
ガス | TD-GCMS、API-MS | N2、Ar、He、H2、VOC、SVOC、金属 | < 10 ppt(API-MS) |
ピコグラム- ナノグラム単位の炭化水素(C8-C23) |
品質管理試験にはプロセスケミカルの受入分析が含まれます。性能低下または不具合による製造損失を最小限に抑えるには、プロセスケミカルの超微量金属含有量が 10 ng/L 以下のレベルであることが必要です。フッ化水素酸、硝酸、さらにイソプロパノール、アンモニアなどの反応性の高いマトリックスにおける微量元素の直接検出は容易ではありません。
多くの元素では、ホットプラズマ(HP)を用いたシングルモードのヘリウム運動エネルギー弁別(KED)を使用すれば十分にバックグラウンドおよびマトリックス由来スペクトル干渉を抑制できるため、特定の濃度で信頼性の高い測定が可能になります。しかし、一部の元素、特に第 1 族元素および第 2 族元素の金属と一部の遷移金属には、ホットプラズマよりもコールドプラズマ(CP)を用いた分析のほうが適しています。コールドプラズマはアルゴン由来の干渉と微量元素のバックグラウンドを大幅に低減しながら、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの一般的元素に対する高い検出感度を保ちます。
ただし、コールドプラズマはすべての元素の分析に推奨されるものではありません(たとえば、ゲルマニウムなどの高イオン化電位元素に対しては感度が下がります)。そのため、ルーチン分析にはホットプラズマとコールドプラズマ対応の組み合わせを使用する必要があります。当社の四重極(Q)ICP-MS システムは高い生産性を提供し、信頼性の高いホット/コールドプラズマ対応と迅速なモード切替を 1 回の分析で実現します。
Thermo Scientific ICP-MS 製品ラインに新たに加わったトリプル四重極(TQ)ICP-MS は、シリカマトリックスや硫酸など難易度の高いマトリックスにおいて干渉除去を高めるよう設計されています。トリプル四重極とコールドプラズマ対応の強力な組み合わせにより、プロセスケミカルやウェハー表面の超微量検体の定量を ppt 以下の濃度で実現し、ウェハー製造において元素不純物の安定した管理が可能になります。
装置タイプ | ターゲットアプリケーション | 装置モデル | プロセスモニタリング | QA/QC | 研究開発 |
---|---|---|---|---|---|
HR-ICP-MS | UHPC、UPW、VPD | ELEMENT 2 HR-ICP-MS | |||
TQ-ICP-MS | UHPC、UPW、VPD | iCAP TQs ICP-MS | |||
SQ-ICP-MS | UHPC、UPW、VPD | iCAP RQplus ICP-MS |
= 25%適用 | = 50%適用 | = 75%適用 | = 100%適用 |
イオン汚染は半導体の製造工程および完成装置における大きな懸念事項です。ごく微量(10 億分の 1(ppb)から 100 万分の 1(ppm)の濃度)の汚染が装置、ウェハー、製品の個々の電子部品においての腐食、浸食、電子移動、短絡の原因となるからです。イオンクロマトグラフィー(IC)は半導体産業において多様なプロセスケミカルの微量成分から主要成分までを迅速に測定できる効率的な分析方法です。この分析法は、一般的な無機陰イオンと陽イオン、特定の有機添加材、遷移金属、多価イオン、有機キレート剤の定量に便利です。オンライン IC プロセスモニタリングと組み合わせることで、これらの成分を 1 兆分の 1(ppt)レベルで迅速に測定できるため、すぐに是正措置を講じることができます。半導体の IC 試験には下記のアプリケーションが含まれます。
脱イオン(DI)水は集積回路の加工工程全体で使用されるため、回路が製造工程中に何百回も DI 水に曝されることになります。DI 水中の汚染物質によって、正常なドーパントプロファイルの歪み、反転層、短絡、その他の回路の欠陥が生じる恐れがあるため、半導体用純水を最高水準の品質に保つことが極めて重要です。イオンクロマトグラフィーは、半導体加工施設の水が最高品質であることを裏付けるために使用され、半導体製造装置材料協会(SEMI)が無機陰イオンに推奨する唯一の分析方法です。
製造工程で生じる陰イオン汚染は半導体やコンピューター部品を損なう恐れがあります。製造中に使用される溶媒に含まれる微量汚染物質は、短絡、堆積時の不具合、腐食の原因となります。このような部品の欠陥は歩留まりを低下させ、製造コストと廃棄物の増加につながります。装置の小型化が進むにつれ、さらに微量な汚染も問題になるようになりました。コンピューターおよび半導体業界は溶媒中の微量陰イオンを測定する分析方法を必要としています。これにより製造のさまざまな段階で汚染物質を特定し、さらなる汚染を防止するための措置を講じることができます。
一部の陽イオンは陰イオン汚染物質と結合すると不溶性化合物を形成し、電子機器製造工程においてめっきおよびエッチングの欠陥の原因となるため、濃酸に含有される陽イオンの測定は重要です。
半導体装置の加工で使用される濃酸中の遷移金属の最大許容レベルに対する SEMI(半導体製造装置材料協会)仕様は、0.1 ~ 1.0 ppb の範囲内です。通常は分析測定の前に手間のかかる手動事前濃縮法が必要です。キレート化イオンクロマトグラフィー法(キレート IC)は、検出前にイオンクロマトグラフィー分離とポストカラム誘導体化によってサンプル事前濃縮と微量遷移金属の直接測定を行います。
銅の電気化学堆積法(ECD)のためのめっき浴は適切に管理された組成で汚染物質のない状態にして、適切な特性の金属の堆積が行われるようにする必要があります。適切な伝導率を保ち、電子移動による分解を最小限にするには、銅の厚さ、結晶方位、粒度を最適化する必要があります。イオンクロマトグラフィーと液体クロマトグラフィーはどちらも添加剤濃度、めっき浴成分、めっき浴の汚染物質と添加剤を測定できるため、めっきの堆積品質を保証できます。
半導体産業の IC 分析に関する論文や手法については以下を参照してください。
装置タイプ | ターゲットアプリケーション | 装置モデル | プロセスモニタリング | QA/QC | 研究開発 |
---|---|---|---|---|---|
イオンクロマトグラフィー統合システム | ウェハー/基材、クリーンルームの空気、UPW、UHPC | Dionex Integrion HPIC システム | |||
イオンクロマトグラフィーモジュラーシステム | ウェハー/基材、クリーンルームの空気、UPW、UHPC | Dionex ICS-6000 HPIC システム |
= 25%適用 | = 50%適用 | = 75%適用 | = 100%適用 |
銅めっき浴は、半導体ウェハー上のサブミクロンの部品に銅めっきを施すために使用します。銅めっき液の化学特性はウェハー上に迅速で効率的に埋め込めるよう設計されています。添加材の濃度を一定のレベルに維持することは、めっき浴の性能にとって極めて重要です。半導体アプリケーション用のめっき技術には堅牢な槽管理と厳格な手法が求められます。
めっき膜とめっき槽の化学制御パラメーターの相関関係を確立することが、一貫性と信頼性の高い相互接続には不可欠です。この相関関係を確立するには、めっき槽の化学組成を明確に理解することが重要です。この化学組成には銅埋め込みの堆積速度を調整する抑制剤と加速剤が含まれます。これらの成分が槽内に多すぎても少なすぎても「埋め込み失敗」となります。
サイクリックボルタンメトリーストリッピング法(CVS)は間接的にめっき槽を測定する方法です。めっき品質に対する添加剤と副産物の効果の組み合わせのみを測定するため、完全な測定結果とはいえません。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)とイオンクロマトグラフィー(IC)は、めっき槽に含まれる添加材、光沢剤、促進剤、安定剤、キャリアー、レベラー、阻害剤、加速剤、遷移金属、金属錯体、汚染物質などの主要成分の濃度、ケミカルバランス、トレンド測定に関する重要な情報を提供する分析法です。この情報は、装置の品質改善、廃棄率の低減、めっき槽メンテナンスコストの低減に役立ちます。HPLC には銅めっき槽内の関連副産物の定量機能もあります。