遺伝学とバイオエンジニアリングの進歩は遺伝子治療薬の開発を可能とし、劣性遺伝子障害や後天性遺伝子疾患および特定のウイルス感染を原因とする疾患の治療という、前例のない可能性をもたらしました。遺伝子治療製品の製造と分析のためのテクノロジーは進化を続けており、完全な最適化を目指す努力も続けられています。

サーモフィッシャーサイエンティフィックのソリューションも進化しています。遺伝子治療製品の分析用にカスタマイズされた当社の堅牢なアッセイは、精度と再現性に優れた結果の速やかなデータ取得を可能にし、遺伝子治療製品の開発と市場への展開を促進することを目指しています。組換えDNAテクノロジーにはいくつかのプロトコルが存在し、関心のある遺伝子ないし健常な遺伝子を挿入するベクターには、ウイルス、変形体、ナノ構造が用いられる場合があります。

メッセンジャーRNA(mRNA)治療薬は、標的細胞への導入後に目的のタンパク質に翻訳されるというメカニズムを利用しており、個別化免疫療法での使用が検討されています。

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遺伝子治療薬分析にお勧めの製品

AAV製造&精製

AAV遺伝子製造&特性評価のワークフローのためのサーモフィッシャーサイエンティフィックによるトップブランド

これらのブランドは、AAV遺伝子治療薬の製造と特性評価のためのエンドツーエンドのワークフロー開発に最適です。

AAVベクターの開発および製造ワークフロー

AAVベクターの開発および製造ワークフロー

AAVベクターの開発にはさまざまな方法がありますが、通常はプラスミドの設計と製造、細胞増殖、トランスフェクション、ウイルスベクター製造、精製、製剤化というステップを経て完成します。浮遊細胞株または接着細胞株におけるAAVの一過性発現は前臨床または開発の早期段階においてよく使用されます。AAV製造の代替オプションとしては、安定的にベクターを産生する細胞株を作製し、ウイルスベクターを長期間安定的に得る方法があります。

詳細については、こちらでご確認いただけます。AAV製造ワークフロー

mRNAおよびアデノ随伴ウイルス(AAV)、レンチウイルス、Adv5などのウイルスベクターの下流精製を改善するために特別に設計された、革新的なクロマトグラフィーソリューションです。

詳細については、こちらでご確認いただけます。細胞および遺伝子治療薬の精製ソリューション

AAV遺伝子製品とプロセスの特性評価および品質管理

遺伝子治療製品の特性評価要件に関する業界向けFDAガイダンスでは、製品の構造と特性、プロセス関連の不純物、および生成物関連の不純物に焦点が当てられています。以下に示すのは、AAV生成物とプロセスの特性評価においてThermo Scientificの主要な機器、消耗品、ソフトウェアを利用する際の最適なワークフローです。

AAVの同定と確認

カプシドの同一性の把握が重要な理由は、各AAVのセロタイプに固有のカプシドタンパク質があり、これらが遺伝物質を特定の細胞や器官に伝達するためです。治療ターゲット領域に応じて適切なAAVセロタイプを選択し、その同一性と純度をモニタリングします。すべてのAAVカプシドは、配列相同性の高い3つのタンパク質(VP1、VP2、VP3)で構成されており、これらのタンパク質の同一性と純度を確保することが、ウイルスの感染性と移動にとって重要です。こうしたセロタイプとカプシドタンパク質の組成の重要性から浮上するのが、遺伝子治療薬の開発と製造のすべてでカプシドおよびカプシドタンパク質の同定とモニターを行うメソッドの必要性です。

AAVの一次配列および翻訳後修飾(PTM)の分析

AAVセロタイプおよび関連するカプシドタンパク質(およびそれらの比率)の特定以外にも、一次配列レベルでカプシドタンパク質を同定する必要があり、これには翻訳後修飾(PTM)の分析も含まれます。このシーケンスレベルの特性評価は、製品の品質と一貫性を確保するために不可欠です。

Thermo Scientific Q Exactive UHMRハイブリッド四重極Orbitrap質量分析計では、空のカプシドの質量確認を高い信頼性で行えます。


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一方、電荷検出質量分析(CD-MS)の利用は、質量不均一性が高いこれらの高分子の分析のドアを開き、遺伝子治療製品の製造におけるゲノムパッケージングの品質管理の手段を提供します。

AAVの上流製造後において特に重要なステップの1つは、ウイルスカプシド力価の正確な測定です。蛍光検出を用いたサイズ排除クロマトグラフィーは、上流精製後のウイルスカプシド力価の測定に利用できます。


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注:20年もの実績のあるThermo Scientific ProPac HPLCイオン交換カラムを使用すると、AAVの空のカプシドと完全なカプシドの比を開発サイクル全体にわたってモニタリングできます。

AAV不純物分析

宿主細胞タンパク質(HCP)は、バイオ医薬品製造時の宿主発現機構に由来する低レベルのプロセス関連不純物であり、品質や安全性に影響を与えたり、製品の安定性を損なったりする可能性があります。

LC-HRAM-MSによるペプチド分析は、HCPの検出とモニターにおいて免疫学的手法と独立したソリューションで、HCP不純物の偏りのない検出とその後の定量において匹敵する結果を示します。HRAM MSデータとThermo Scientific BioPharma Finder 4.1ソフトウェアの組み合わせは、包括的なHCPの定性および定量分析を実現します。


目的の遺伝子治療薬を含まない空のカプシド、および必要な遺伝子の断片しか含んでいない部分的カプシドは、いずれもAAV製造の副産物であり、製品の安全性と有効性に影響する可能性があります。そのため完全、部分的、空のカプシドの量については、プロセス開発を通じて特性評価とモニタリングを行う必要があります。


凝集体には免疫原性リスクがあるため、CQAの1つとして完全に定義しモニタリングする必要があります。凝集体の形成は、製造中および保管中に生じます。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)メソッドは、凝集体のハイスループットなモニタリングアプローチを提供します。


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製品マニュアル:Acclaim SECカラム


mRNAは生体内での安定期間が短いため、mRNA生成物を合成する際には自然分解から保護するための修飾を必要とします。安全性と有効性確保の観点から、規制当局からは詳細な特性分析および純度/不純物モニタリング(CQA:重要品質特性)を規定するための基準が要求されています。不純物の特定は、許容レベルを定義したうえで特性評価中に実施され、製造およびロットリリース全体を通じてモニタリングされます。

サーモフィッシャーサイエンティフィックは、その最先端の機器、消耗品、ソフトウェアを活用して、mRNAの特性評価と不純物分析における最適な手法を提供しています。

mRNA治療薬の分析

プロセス関連のmRNA不純物分析:宿主細胞由来物質の分析(核酸およびタンパク質)

望ましくない免疫原性反応を回避し、安全性を確保するには、宿主細胞由来物質の同定とモニタリングが必要です。現行のモニタリングアプローチではELISAおよびqPCRベースのメソッドが利用されていますが、LC-MSであれば宿主細胞由来物質料の完全かつ詳細な把握が可能です。


5'キャップ構造の存在は、真核細胞でのmRNAライフサイクルの後続ステップにおいて不可欠です。したがって、開発過程の全体を通じて、キャッピング効率を測定しモニタリングする必要があります。


遺伝子発現を最大化するには、mRNAの純度を測定し、不純物の特性評価を行い、プロセス全体を通じてモニタリングする必要があります。これには、未成熟中断した配列、二本鎖RNA、残留プラスミドDNAが対象となります。


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詳細はこちら:DNAPacカラムファミリー

 

リソース

Style Sheet for Global Design System
Style Sheet for Komodo Tabs