Orbitrap Eclipse Tribrid Mass Spectrometer

新たな発見をさらに前進させるには

最も困難な分析課題を想定して設計されたThermo Scientific Orbitrap Eclipse質量分析計は、イオンの透過と制御に関する最新の知見、m/zレンジの拡張、およびリアルタイムの意思決定を取り入れることで研究の幅を広げ、新たな発見をさらに前進させます。このシステムは、プロテオミクス、構造生物学、低分子、バイオ医薬品の特性評価試験に最適です。

お問い合わせ  カタログをダウンロード


このページの内容

Thermo Scientific Orbitrap Tribrid技術の最新の技術革新は、業界最先端の性能を実現するとともに、試験の多様性と全ユーザーレベルに対応した操作性をもたらします。


Orbitrap Eclipseの内部を見る

革新的なOrbitrap Tribridアーキテクチャに基づいて構築されたOrbitrap Eclipse Tribrid質量分析計は、強力かつ汎用的な質量分析ソリューションであり、微妙な差異の正確な判別、複雑な候補の中からの正解の特定、デッドエンドに付随するコストの回避に貢献します。

How the Orbitrap Eclipse Tribrid MS works
High-Capacity Transfer Tube (HCTT)Electrodynamic Ion FunnelEASY-IC/ETD/PTCR Ion SourceAdvanced Active Ion Beam GuideQR5 Segmented Quadrupole Mass Filter with Hyperbolic Surfaces

大容量トランスファーチューブ(HCTT)

質量分析計へのイオンフラックスの増加

電気力学的イオンファンネル

HCTT後のイオンの収束

EASY-IC/ETD/PTCRイオン源

タウンゼント放電を利用した信頼性と操作性に優れた装置

高度なアクティブイオンビームガイド

質量分解四重極への汚染物質の混入を防止

QR5双曲型セグメント化四重極マスフィルター

0.4 m/zプリカーサーイオン単離幅での感度向上
Ultra-High-Field Orbitrap Mass AnalyzerUltra-High Vacuum (UHV) ManifoldIon-Routing MultipoleReal-Time SearchModified Dual-Pressure Linear Ion Trap

超高電場Orbitrap質量分析計

TurboTMTおよびHMRnを可能とする、>500,000 FWHM(オプションで>1,000, 000 FWHM)の分解能と最大40 HzのMSn取得速度を実現

超高真空(UHV)マニホールド

UHV領域での圧力を降下させ、Orbitrap質量分析計でのイオン検出を改善

イオンルーティング多重極

取得速度の向上を実現。MSnの任意ステージでのHCD実行と可変圧力(0.5~20 mTorr)により、秀逸なトップダウンパフォーマンスを発揮

Real-Time Search

システム稼働中のペプチド同定を実現し、TMT定量の深度と精度を改善

デュアルプレッシャーリニアイオントラップ

MSnでのイオン検出をイオントラップとOrbitrap質量分析計の両方で実現。マルチフラグメンテーションモードでの高感度質量分析:CID、HCD、ETD/EThcD/ETciD、UVPD。HMRnでのプリカーサーイオン分離。拡張された高圧セルのフロントセクションによりETDおよびPTCR反応の制御を改善。

シングルセルプロテオミクス分析

シングルセルプロテオームの包括的な特性解析は、疾患の進行に伴う細胞の発達や、細胞タイプごとの治療への反応について、豊富な新規情報を提供することができます。しかし、この試験には高い分析感度が要求されるため、シングルセル解析でのプロテオーム分析には依然として大きな課題が残っています。Orbitrap Eclipse Tribrid質量分析計は、個別細胞などのきわめて低レベルのサンプルから卓越した定量的データを抽出するための機能を取り込んで設計されています。

MS3ベースのタンデムマスタグ(TMT)メソッドは、Real-Time Searchによって強化されており、プロテオームカバレッジを達成するスループットと感度、および細胞タイプの識別と不均質性の捕捉に必要な定量精度を提供します。さらに、新しいThermo Scientific TMTpro 16plexラベル試薬セットを用いることにより、1回のLC-MSランで最大16個のシングルセル解析を行うことができ、個別細胞間で数千のタンパク質を定量的に比較できます。

2種類の細胞タイプのTMT分析では、SPS MS3とリアルタイムサーチを併用した場合、MS2ベースの試験と比較して、タンパク質発現の差をより明確に示すことができました。MS3試験は、より正確な定量を可能にし、各個別細胞におけるタンパク質の微妙な変化をより多く検出できます。


TMTデータを使用した3つの細胞タイプの非監視分類を示すPCAプロットです。各ポイントは、単一細胞のタンパク質発現に対応しています。このプロットでは、細胞タイプの明確な分類と、各タイプ内での不均質性が示されています。このようなレベルの分解能は、TMTブースト**とSPS MS3の組み合わせにReal-Time Searchのデータ取得技術を加えることによってのみ実現されます。

* TMTおよびReal-Time Search の詳細については以下を参照してください
** Budnik et al., Genome Biol.2018,19(1); Zhu et al., 2018, Nature Comm., 2018, 9(882).
*** この研究では、合計40個の個別細胞を解析。

「シングルセルプロテオミクスの革命は始まったばかりです。nanoPOTSとOrbitrap Eclipse Tribrid質量分析計、TMT試薬、およびReal-Time Searchを使用したSPS MS 3を組み合わせることで、この新たな分野を推進するために必要なカバレッジの深さ、定量精度、およびスループットを実現しています。」

Ryan Kelly、ブリガムヤング大学教授、ユタ州


Real-Time SearchはTMT SPS MS3でどのように機能するのか

Orbitrap Tribrid質量分析計固有のTMT SPS MS3ワークフローは、タンパク質存在量のハイスループット定量比較の標準となっています。Orbitrap Eclipse Tribrid質量分析計での大きな進歩の1つがReal-Time Search 1です。これはシステム稼働中のペプチドスペクトル特定に使用することができ、インテリジェントなMS3データ取得をもたらします。これにより正確な定量が実現し、多くの場合、各LC/MS分析において最大16サンプルで8,000を超えるタンパク質の解析を行えます。

この新しいハイスループットワークフローは、プロテオームカバレッジの向上をもたらすと同時に、精度と正確性を向上させ、低レベルで定量化可能なペプチド数を増加させます。

1.Erickson et al.J Proteome Res.2019, 18(3).

サンプル調製

Peptides from digested samples labeled with TMT pro and analyzed by LC/MS

LC/MS分析

LC/MS analysis

マルチプレックスTMTサンプルでのベースピーク抽出イオンクロマトグラム。このLC-MS分析画像では、選択したMSスペクトルを、影付き領域で強調しています。

個々のMS2スペクトルは、Real-Time Searchを用いて選択したデータベースと照合され、これらと並行して次のMS2スキャンの取得が行われます。サーチ結果がペプチドと一致すると、干渉イオンに由来する可能性のあるフラグメントはすべて回避し、合致したTMTタグのあるフラグメントイオンのみを用いてSPS MS3スキャンを実行するよう、装置に指示が出されます。YLYEIARにおいて、TMTタグはN末端でのみ検出されたので、SPS MS3は5つのbイオンでのみ実行されています。

TMTpro reporter ions

Real-Time Searchのデータ収集では、既存のMS2でペプチドとスペクトルの合致(PSM)が特定された場合にのみ、MS3スキャンが起動します。これにより、MS3イベント数が低減し、プリカーサーサンプリング速度が上昇するとともに、ペプチド定量数が増大します。これにより試験スピードが向上します。

Quantified peptides in a 50-min LC run

Real-Time Searchでは、従来のSPS MS3試験との比較で、ペプチドの定量数は38%、タンパク質の定量数は53%増加しています。これは従来のMS2試験の結果に近いものですが、正確性と精度ははるかに上回っています。ここに示されているデータはTKO酵母標準品です(サーモフィッシャーサイエンティフィック)。

Quantified peptides per LC run

Real-Time Searchからの質量分析計への指示に応じて、MS3は識別されたプリカーサーに対してのみ実行されています。その結果、SPS MS3試験のスループットは2倍に増加しました。ここに示されているHHMサンプルは、10plex(3-3-4)で生物学的レプリケートとして標識化された3つのヒト細胞株のデータです。(データ提供:Devin SchweppeおよびQing Yu、ハーバード大学医学部)

Eclipse MS real time search increased accuracy

各TMTチャネルごとに、40 µgのHeLa消化物に4~100 pmolの6種類のタンパク質消化物を添加してから標識化し、2~24(2、4、8、12、16、24)の比率で混合されたスパイクインスタンダードを生成しました。ここでは、想定比率2と24の平均を組み合わせたもののみを示しています。個別細胞をサブ分類する場合など、タンパク質存在量のわずかな違いを引き出すには、高精度のReal-Time Searchが不可欠です。

「Orbitrap Eclipse Tribrid質量分析計は、いくつかの画期的な進歩をもたらしています。分析速度は100%向上し、定量精度も大幅に向上しました。36時間を要していた典型的なプロテオームの全体分析は、今日では最大16サンプルにおいて8,000~10,000のタンパク質定量を18時間で達成できるようになりました。この新しい質量分析計は、まるで2つの装置であるかのように、半分の時間でより正確なデータを収集できるうえに、深度的には同等以上のものが得られます」。

Steven P. Gygi、ハーバード大学教授、マサチューセッツ州


治療用タンパク質のネイティブ分析

治療用タンパク質は、各種のがんやさまざまな自己免疫疾患の治療に使用されています。ただし、これらは低分子ベースの薬剤とは異なり、多数の修飾プロテオフォームを含む不均一な混合物として存在するため、その構造特性評価には大きな課題があります。このような非常に複雑なESIスペクトルは、分析物のm/zを上げることで、単純化し解釈可能にすることができます。これは、変性タンパク質の受け入れる電荷がより少ないネイティブ条件下でのESI LC-MS試験、あるいは質量分析計でのプリカーサーイオンの電荷還元、ないしはその両方を実行することで達成できます。完全な構造特性評価において、より高いm/zレンジ内のイオンを検出するだけでなく、選択されたプリカーサーを効率的に断片化するためには、質量分析計が必要です。Orbitrap Eclipse Tribrid質量分析計には、高質量範囲MSn(HMRn)、Proton Transfer Charge Reduction(PTCR)および、CID、HCD、ETD、EThcD、UVPDなどの多数の解離手法が組み込まれており、治療用タンパク質の包括的な特性評価に利用可能な最強のシステムになっています。

非常に複雑なスペクトルのPTCRによる単純化

CDR3ドメインでの高い配列カバレッジの達成

Orbitrap Eclipse質量分析計で利用可能な各種の解離手法により、一次配列に関する補完情報が提供され、CDR3モチーフ全体の100%カバレッジ、抗体特性評価での信頼性向上、プロテオフォームレベルでの各種抗原の反応性についての知見が得られます。

ネイティブHCD、ETD、EThcD、UVPD MS2データを基に、インタクトなトラスツズマブのフラグメンテーションマップを組み合わせたものです。軽鎖および重鎖の配列カバレッジはそれぞれ58%および36%で、総合のカバレッジは43%でした(フラグメントイオンRMSエラー<3.7 ppm)。軽鎖と重鎖の相補性決定領域(CDR)3は、それぞれマップで赤と青で強調表示されており、100%の配列カバレッジを示しています。抗体の結合親和性と有効性のリサーチにおいて、CDR配列の検証は不可欠です。


ネイティブタンパク質-リガンド複合体の特性評価

リガンドは、それらが結合しているタンパク質の調節や機能に密接に関連しています。ただし、膜タンパク質に関連付けられた低分子リガンドの特定は大きな課題であり、それを雄弁に物語っているのが、リガンド密度が未割り当てであったり解像度の低い多くの顕微鏡データの存在です。リガンド-タンパク質複合体の結合を失うことなくリガンドをダイレクトMSで同定することが困難な理由は、必要な質量レンジが非常に広範なこと、その際にインタクトタンパク質集合体(数十万ダルトン)の最適なイオン透過を維持すること、そして低分子リガンドとそれらのフラグメント(多くの場合100ダルトン未満)の正確な検出が求められるためです。

Orbitrap Eclipse Tribrid質量分析計の高質量範囲MSn機能は、膜タンパク質に結合したリガンドの同定を容易にし、特定のタンパク質と相互作用する特定のリガンドの解明を可能にします。このアプローチが役立つのは、がん、糖尿病、アルツハイマーなどの細胞機構の根底にあるタンパク質相互作用において、それらのカスケードに対するリガンドの影響を解明する場合です。

MS3ベースでのインタクト膜タンパク質-リガンド集合体の分離と活性化により、リガンドの放出が促進されます(m/z 350.0)。この一価イオンが分離されることで(灰色のバー)、MS4ステップでの完全な構造特性評価が可能になります。(注:この試験では、m/z 350.0のリガンドがイオントラップで検出されています。m/zレンジ全体でのイオン検出には、Orbitrapおよびリニアイオントラップ質量分析計の両方を使用できます)。

MS4スペクトルには、イオントラップで検出されたリガンドフラグメントが含まれています。低分子の特性評価において確立済みの技術を用いて、タンパク質に結合した内因性リガンドの明確な同定が行われました。ここでは、アンピシリンが大腸菌外膜ポリンF(OmpF)に結合して、その摂取を媒介する111 kDaのタンパク質-リガンド複合体を形成しているということが確認されました。この新しいトップダウンMSnアプローチを使用すると、タンパク質の一次構造のさらなる特性評価も可能です。

「Orbitrap Eclipse Tribrid質量分析計は、ネイティブMSに新たな次元をもたらすものであり、膜タンパク質集合体の機能調節に関わるリガンド、脂質、薬物を、単一の試験で見つけ出して化学的に定義することができるようになります」。

Joseph Gault博士、オックスフォード大学、英国


タンパク質の質量スペクトルの複雑性をPTCRにより軽減

PTCRにより、より低い電荷状態で分布した親イオン群が形成されています。これらはオーバーラップが少なく、解釈が簡単です。これにより識別可能なプリカーサーイオンの数が増加しており、オリジナルのフルMSスペクトルで2種であったものが、3 m/zレンジでのPTCR後に識別されたものは32種になっています。新たに同定された質量は10~70 kDaの範囲に分布しています(図の左側ヒストグラムを参照)。

PTCRによる新たなタンパク質の電荷状態分布の解明

トップダウン質量分析を用いて、インタクトプロテオフォームの直接的な特性評価が行われました。LC分離後であっても、プロテオフォーム混合物のESIスペクトルが非常に複雑であるのはよくあることで、その原因は、変更されたフォームの多数がm/zドメインで重複しているためです。Proton Transfer Charge Reduction(PTCR)はOrbitrap Eclipse Tribrid質量分析計に固有のテクノロジーで、親イオン分布の平均電荷を減らし、それらをより高いm/zにシフトさせます。オーバーラップして区別不可能なプロテオフォームの場合、これによりシグナルのオーバーラップが減少し、その結果として解釈しやすいスペクトルが得られ、プロテオフォームの質量計算が可能になります。トップダウン式の自動実験においてこのアプローチは、データ依存型MSnで識別可能なプリカーサーの数を増加させることで、最終的に特性評価されるプロテオフォームの数を増やします。

複数プロテオフォームの共溶出はスペクトルの複雑さを増加させますが、これが特に顕著なのは>25 kDaのタンパク質を分析する場合です。多くの場合これらスペクトルの完全な解釈は不可能で、その理由はデコンボリューションソフトウエアで識別できる電荷状態の分布がほとんどないためです(たとえば、この25分のMSスペクトルで同定された特徴的質量は16と25 kDaの2つだけ)。800~900 m/zの領域を見ると、根本的なスペクトルの複雑さを確認できます。PTCRを実行したプリカーサーは、グレーとティールブルーで強調表示された2つの1.5 m/zウィンドウにあるものです。

Eclipse PTCR reduces spectra complexity

PTCRにより、検出可能なプロテオフォームの数とサイズが増大

Eclipse PTCR parent ions detected

PTCRにより、同定されたプロテオフォーム数が大幅に増加*

Eclipse PTCR unique proteoforms

Huguet, R. et al.Anal.Chem.2019, 91(24).

「従来のLC-MS試験において未同定のままとされていた大型プロテオフォームの研究にはPTCRが必要です。30 kDaが限界となっていたインタクトプロテオームの真の複雑さを明らかにすることは、プロテオミクスコミュニティーの大きな前進を意味します」。

Luca Fornelli、オクラホマ大学教授、オクラホマ州


アプリケーション固有メソッドのワンクリック実行

直観的な操作が可能なメソッドエディターは、ドラッグアンドドロップ式でユーザーフレンドリーなインターフェースを備えており、各種アプリケーション用の最適化と事前定義のされたメソッドテンプレートも付属しています。これにより研究者は、この分野で一般的な試験(グリコシル化、代謝物、ペプチドID、ペプチド定量、PTM、Advanced TMT、SureQuantなど)において高品質データを簡単に取得できます。

Method Editor Orbitrap Eclipse Flow

装置制御およびデータ収集パラメーターを組み合わせた共通メソッドエディターでは、一般的な試験に対応する広範なテンプレートを使用することで、開始時点から高品質データが取得可能です。また、ドラッグアンドドロップ機能により、試験を迅速に構築し、視覚化できます。


パフォーマンスを最大化するオプション機能

Thermo Scientific FAIMS Pro Duoインターフェースは、直交選択性を広範なアプリケーションに拡張するもので、試験でのSN比の増加、サンプルカバレッジの拡大、スループットの最大化をもたらすと同時に、時間のかかるサンプル調製ステップを削減します。

質量分析による対象化合物の同定、特性評価、定量は、複雑さを増すサンプルでの高品質なMSおよびM Snデータの取得に依存しています。FAIMS Pro Duoインターフェースは、気相分画により次世代の質量分析計の分析能力を改善し、ターゲットとなる化合物クラスの選択性を向上させます。スペクトルの複雑さが軽減され、ターゲット検体のSN比が向上する結果、クロマトグラフィーの流速や負荷量に左右されることなく、サンプルのカバレッジおよびデータの信頼性が向上します。

詳細を見る

Easy-IC Ion Source

Thermo Scientific EASY-ICイオン源はセカンダリーイオン源を搭載しており、分析対象イオンに既知のキャリブラントイオンを送達できます。これによりm/zのアサインメント精度が1 ppm未満まで向上します。この特性により、装置のm/zキャリブレーションにてリアルタイムの微調整が可能となり、温度変動およびスキャンごとのばらつきによる未補正エラーが修正されます。

Thermo Scientific 100万(1M)分解能

Orbitrap Eclipse Tribrid質量分析計の100万(1M)という非常に高い分解能により、アイソバリック化合物の分析、アイソトープの詳細情報の取得、低分子分析種の元素組成の確実な特定が可能となります。この1M分解能オプションは、構造的に多様なターゲットに対して超高分解能(m/z 200で1,000,000 FWHM)で質量測定値を得ることにより、特性評価および定量に役立ちます。

Orbitrap Resolution

Irganox 1035の質量スペクトルを、1,000,000(1M)の分解能設定(m/z 200)、トランジェント2秒で取得しました。右側パネルに示したのは、500,000対1,000,000の分解能設定で取得したA+2同位体の微細構造です。Orbitrap Fusion LumosまたはOrbitrap Eclipse質量分析計を1Mで使用することで、18Oおよび2 13C同位体の分離が可能です。 

お客様の体験談:

脂質、修飾ペプチド、およびインタクトタンパク質を、それらが複合混合物に存在していても明確に特性評価でき、CID、HCD、ETD、あるいはEThcDでは取得できない、ユニークな構造を診断できる情報(たとえば二重結合など)を得られます。UVPDは固有配列の対応範囲を20%超増大させ、Orbitrapまたはリニアイオントラップ質量分析計で検出可能なMSnフラグメントをリニアイオントラップに生成します。

お客様の体験談

お客様の体験談

プロテオミクス研究には単純な同定以上のことが求められます。Thermo Scientific Proteome Discovererソフトウエアは、さまざまな研究ワークフローに対応する柔軟性や使いやすいウィザード型インターフェースとともに、包括的な分析ツールを提供します。Proteome Discovererソフトウエア独自の高度な統計ツールおよび視覚化ツールにより、信頼性の高いデータ解釈が可能となり、サードパーティアルゴリズムを用いることで、解析のレベルを上げることができます。

以下のワークフローでの使用を推奨:

  • トップダウンプロテオミクス
  • TMT SPS MS3
  • ラベルフリー定量
  • クロスリンク
  • グリコペプチドの同定・定量
  • リン酸化ペプチドの同定・定量
  • 反復的なサーチ法
  • 複数サーチエンジンの比較

以下のワークフローでの使用を推奨:

  • タンパク質のトップダウンMS/MS同定
  • 未知PTMの解明
  • タンパク質データベースのキュレーション

詳細を見る

インタクトタンパク質の質量分析であろうと、トップダウンおよびミドルダウン解析であろうと、またはペプチドマッピング、あるいはMulti Attribute Method(MAM)のワークフローであろうと、完全なタンパク質特性評価は困難な場合があります。包括的な解釈やデータ視覚化を容易にするワークフローを使用することで、確信を持って迅速かつ容易に生物製剤を特性評価できます。Thermo Scientific BioPharma Finderソフトウエアは、確実なタンパク質特性評価を実現するための適切な道筋の選択をサポートします。

以下のワークフローでの使用を推奨:

  • インタクト分析
  • トップダウンおよびミドルダウン解析
  • ペプチドマッピング
  • Multi-Attribute Method(MAM)

Obitrap Eclipse Tribrid質量分析計の主な用途


お客様の体験談ビデオ