Countess自動セルカウンターの性能およびアプリケーションデータ

性能データは、Countess 3セルカウンターがさまざまな種類の細胞や課題において正確で高精度のカウントを実現することを示しています。アプリケーションデータは、生存率、アポトーシス、トランスフェクション効率、CAR-T細胞培養、CRISPR形質導入などの研究で研究者がどのような結果を期待できるかを示しています。

 

その他のアプリケーションデータについては、このページおよびリソースページからアプリケーションノートをダウンロードできます。


細胞カウントの正確性と精度

機械学習アルゴリズムにより、フローサイトメーターによるカウントと同等の、正確性と精度の高い細胞カウントを提供します。

(幅広いサイズの)CHO-K1、HeLa、HEK293、Jurkat、およびヒトPBMCをAttune NxT Flow Cytometer(紫色バー)、Countess 3 FL自動セルカウンター(赤色バー)、および血球計と顕微鏡(手動カウント、灰色バー)を使用してカウントしました。Countess 3 FL機器および血球計のバーは6回の独立したカウントの平均で、高い一貫性を示しています。誤差(カウントの標準偏差)は、手動カウントの方がCountess 3によるカウントやフローサイトメトリーよりも広くなっています。

機械学習アルゴリズムは非常に正確かつ高精度で、手動カウントよりもバラツキが小さい細胞カウントを提供します。

(幅広いサイズの)CHO-K1、HeLa、HEK293、Jurkat、およびヒトPBMCをCountess 3 FL自動セルカウンター(青色ドット)、および手動で血球計と顕微鏡により(緑色ドット)カウントしました。中央値(短い水平線)はCountess 3と血球計で同等でしたが、血球計での個々のカウント(ドット)ははるかに大きいバラツキを示し、異なるユーザー間で20%を超えました。

難しい細胞タイプ

機械学習アルゴリズムは、難しい細胞タイプでも非常に正確で、手動カウントよりも高精度の細胞カウントを実現します。

 

サイズが小さくコントラストが低いためカウントが難しいことで知られるヒトおよびマウスの末梢血単核細胞(PBMC)を、Countess 3 FL自動セルカウンター(青色のバー)、および手動で血球計と顕微鏡(緑色のバー)を使用してカウントしました(上)。すべてのバーは6回のカウントを表しています。エラーバーは標準偏差を表しており、手動カウントで大幅に大きくなっています。画像(下)は、特定され、カウントされたヒト(左)およびマウス(右)のPBMCを示しています。


凝集した細胞

機械学習アルゴリズムは、凝集した細胞やデブリで正確なカウントを提供します。 

 

Countess 3 FL自動セルカウンターを明視野モードで使用して、サイズが小さくて凝集しやすいRAW(マウスマクロファージ)細胞をカウントしました。生死判別するために、トリパンブルー染色を使用しました。図は生細胞を緑色で、死細胞を赤色で輪郭付けした生画像(左)と、強調画像(右)の両方を示しています。カウントアルゴリズムは、凝集した細胞の細胞境界を識別し、適切にセグメント化して細胞をカウントできます。デブリも認識され、カウントから自動的に除外されます。


生存率

明視野および蛍光モードでのマウスPBMCの生存率。 

 

Countess 3およびCountess 3 FL自動セルカウンターを明視野および蛍光モードで使用して、わずか5 µmほどのマウスPBMCをカウントしました。明視野カウント(左)では、トリパンブルー(0.4%)を使用して生存を識別しました。Countess 3セルカウンターは、生細胞(半透明)を緑色の輪郭(円)で、死細胞(濃く染色)を赤色の輪郭で囲んで細胞の生死を示します。 

 

蛍光モード(右)では、acridine orange/propidium iodide(AO/PI)アッセイにおいて生死状態の特異性が向上します。AOはすべての有核生細胞を緑色に染色し、EVOS GFP 2.0ライトキューブで検出できます。一方、PIは死細胞を赤色に染色し、EVOS Texas Red 2.0ライトキューブで検出できます。これは、蛍光染色がトリパンブルーよりも正確な生存率測定である一例です。


アポトーシス

蛍光モードでのアポトーシス細胞および死細胞の検出。 

 

USO2(ヒト骨肉腫上皮)細胞を2および4 µMのスタウロスポリンでインキュベーションした後、1:400 CellEvent Caspase-3/7 Green Detection Reagentで標識してアポトーシス細胞を同定し、1:1,000 SYTOX Red Dead Cell Stainで染色してすべての死細胞を示しました。細胞を室温で30分間インキュベーションし、EVOS LEDライトキューブGFP 2.0およびCy5 2.0を取り付けたCountess 3 FL自動セルカウンターでカウントしました。薬剤投与量が増加するのに伴い、緑色と遠赤外シグナルの両方が上昇し、それぞれアポトーシスと細胞死の有意な増加を示しています。両方の染色を示す16%の細胞は3つのすべてのカテゴリーでカウントされるため、4 µLスタウロスポリンでの細胞割合の合計は100%を超えています。


Countessによる正確なシングルセルカウントおよび生存率評価

scRNA-SeqおよびscATAC-Seqのシングルセルと核のカウントに焦点を当てた当社の最新のアプリケーションノートをご覧ください。正確な細胞カウントと生存率評価により、研究を強化できます。

 

Single-cell RNA sequencing(scRNA-Seq)およびsingle-cell sequencing assay for transposase-accessible chromatin(scATAC-Seq)技術は、シングルセルレベルのデータ解像度を提供することで、遺伝子の発現と調節に関する新しい洞察を可能にします。高品質のシングルセルデータを得るには、scRNA-SeqおよびscATAC-Seqのプロトコルで、インプットとしてサスペンドされた生きているシングルセルまたは核を正確にカウントし、細胞凝集体や死細胞の存在は最小限である必要があります。Invitrogen Countess 3 FL自動セルカウンターは、細胞や核の正確なカウント、生存率の評価、および凝集体の評価を行うための信頼性の高いソリューションです。このようなプロトコルにおいてCountess 3 FLセルカウンターの最適な性能を確保するために、このアプリケーションノートはベストプラクティスガイドを提供します。

scRNA-SeqおよびscATAC-Seqのためのシングルセルと核の正確な自動カウント。 

 

FL-based countingを使用したCountess 3 FL自動セルカウンターで核をカウントすると、正確なカウントが得られ、これはシーケンシングにより検証されました。GM12878細胞株(A)およびPBMC(B)から分離された核のFL-based countでは、BF-basedやCountess II機器のカウントよりも多くの核をカウントしました。(C)脳組織から分離した核のFL-based countは正確で、他社のハイスループット自動セルカウンターによるカウントと同等でした。(D)次世代シーケンシング(NGS)により、FL-based countから得られた2,000の標的核の正確なローディングが確認されました。*FL-based countはsoftware update 3以降を搭載したCountess 3 FL機器でご利用になれます。データは 10x Genomics R&D が取得しました。


トランスフェクション効率

Countess 3 FL自動セルカウンターを使用すると、下流の実験や分析に進む前に、どの程度の細胞が正常にトランスフェクトまたは形質導入されたかを迅速に確認できます。

蛍光モードでのトランスフェクション効率の定量。

Jurkat細胞をGFP発現ベクターでトランスフェクションしました。(左上)EVOS M5000 Imaging System(左下)で捕捉したこの画像では、細胞が容器に接着しているのがわかります。細胞をトリプシン処理し、EVOS LED GFPライトキューブを取り付けたCountess 3 FLセルカウンターでカウントしました。分析により、50%の細胞が正常にトランスフェクションされたことが示されました。(中央上)細胞を明るさに基づいてゲーティングして、暗い(GFP発現が低い)細胞を最終カウントから除外できます(右上)

フローサイトメトリーと自動セルカウントで測定した形質導入効率。 

 

U2OS細胞をInvitrogen CellLight Nucleus-GFP, BacMam 2.0を使用して形質導入し、36時間インキュベーションしました。フローサイトメトリー(グラフ、左)、およびGFPライトキューブを取り付けたCountess II FL自動セルカウンター(画像、右)で細胞の蛍光タンパク質発現を評価しました。2つの方法で測定した形質導入率はほぼ同一で、49.5%と49%です。


CAR-T細胞増殖中の細胞培養品質管理

CAR-Tなどの新しい免疫療法の研究開発用にT細胞を増殖させる際、最大限の生存率を確保するために、少量の細胞サンプル中のT細胞の健康状態を迅速に評価することが重要です。Countess 3 FL自動セルカウンターは、細胞の分離や活性化の前後で細胞の生存率と濃度を迅速かつ正確に測定できるため、以降の実験のために貴重な細胞や時間を節約するのに役立ちます。

CAR-T細胞培養の品質管理。 

 

CAR-T細胞をDynabeads Untouched Human T Cells Kitを使用して分離し、Dynabeads Human T-Activator CD3/CD28 for T Cell Expansion and Activationで活性化しました。増殖前後に、細胞をトリパンブルー染色し、Countess 3 FL自動セルカウンターで明視野カウントを使用して細胞培養をモニターしました。画像(左)およびヒストグラム(右)において、T細胞とビーズは自動的に区別され、T細胞は生細胞(緑色)、ビーズは死細胞(赤色)として示されています。必要に応じて、ビーズをサイズと強度に基づいたゲーティングにより手動で除外することもできます。


CRISPR-Cas9形質導入細胞の生存率と形質導入効率

CRISPR-Cas9を使用したゲノム編集実験では、CRISPR-Cas9複合体を効率的に細胞に供給するために、レンチウイルス形質導入がよく使用されます。多くの場合、蛍光タンパク質(GFPなど)を発現し、他の遺伝子(HPRTなど)をノックアウトする可能性のあるコントロール粒子が形質導入効率の測定に使用されます。Countess 3 FL自動セルカウンターを使用して、これらの細胞の生存率と形質導入効率の両方を定量できます。

GFP発現により測定されたレンチウイルスの導入効率。 

 

Cas9タンパク質を発現しているU2OS細胞をLentiArray CRISPR Positive Control Lentivirus, human HPRT, with GFP、およびネガティブコントロールレンチウイルス(スクランブル、GFP)で、multiplicity of infection(MOI)1および2にて形質導入しました。2日後、GFP発現細胞をCountess II FLセルカウンターでカウントしました。(左)Countess II FLでの代表的なカウント結果の表示。(右)棒グラフはGFP陽性細胞の割合を示しており、形質導入の成功を示唆しています。


フローサイトメトリーおよびセルソーティングのサンプルと染色の検証

フローサイトメトリーおよびセルソーティングの多くのプロトコルでは、最適な染色と分析を得るための特定の細胞濃度、または範囲を推奨しています。フローサイトメトリー、または蛍光活性化セルソーティングの前にCountess 3自動セルカウンターを使用して予備実験を行うことで、実験の成功を高め、貴重な時間、コスト、およびサンプルを節約できる可能性があります。(a)プロトコルを完了するのに十分な細胞があること、(b)最適な染色試薬量を使用したこと、(c)染色中に大量の細胞が失われていないこと、および(d)細胞が効率的に染色または形質導入されたことを迅速に確認できます。

細胞濃度がおよぼすフローサイトメトリーによる細胞周期分析への影響。

さまざまな濃度の生きたJurkat細胞を一定濃度(10 μM)のVybrant DyeCycle Orange Stainで標識しました。この染色剤はDNAと結合することで蛍光する細胞透過性染色剤で、染色が最適な場合、「椅子形」の細胞周期ヒストグラムを示します。同じ濃度の染色剤では、細胞濃度が低い(左)および高い(右)場合の両方において、フローサイトメトリーによるアッセイの結果、不適切な細胞周期ヒストグラムを示しました。一方、最適な細胞濃度1 x 10⁶細胞/mL(中央)では、適切な細胞周期ヒストグラムが形成されました。EVOS LED Light Cube, RFP 2.0を取り付けたCountess 3 FL自動セルカウンターで、事前に適切な濃度の細胞サンプルを迅速に準備することができます。(Countess3 FLで細胞周期のアッセイができることを示すデータではありません。)


 

研究用途にのみご使用ください。診断用には使用いただけません。