Two Photon Excitation Microscopy (TPE) TPEは、多光子吸収を利用して生体試料をイメージングする光学的なプロセスであり、本手法は従来の共焦点顕微鏡に比べ光毒性が低くなっています。二光子顕微鏡は赤外励起光を使用して組織の深部まで到達し、より長い波長で励起する場合に比べ散乱が最小限に抑えられています。蛍光色素が励起するごとに二光子の赤外線が吸収され、励起は非常に小さな焦点容積に限られているため、焦点を外れた蛍光の影響が少なくなります。

二光子イメージングは、イオン濃度測定、細胞骨格形成、活性酸素検出、および小胞リサイクルなど膨大な数のライブセルアプリケーションに利用されてきました。

標識およびバイオコンジュゲート

Molecular Probes®の蛍光色素は、TPEアプリケーションにおいて、抗体、タンパク質、デキストラン、および他の生体分子とのコンジュゲートとして、十分に試験されています。下記のリストをご利用になり、最適な波長を持つ蛍光色素をお選びください。TPE励起波長は表に示されています。各色素の引用文献リストもございます。一般的に、細胞骨格の構成を調べるまたはニューロントレーシングを行う実験においては、TPE向けにAlexa Fluor®色素がバイオコンジュゲートとして使われてきました。抗体にコンジュゲートされたQdot®プローブは、免疫組織化学による解析に用いられてきました。各蛍光色素のリンクをたどると、目的の分子をターゲットするにあたり、現在利用可能な各バイオコンジュゲート全てを見ることができます。リストは、抗体およびファロイジンから成長因子およびレクチンにまで及びます。お探しのコンジュゲートがリストにない場合は、ご自分でバイオコンジュゲート プローブを作成するための反応性色素または最適な標識キットをリンク先でご紹介しています。

 Alexa Fluor® 350Alexa Fluor® 488Qdot® 525Alexa Fluor® 546Alexa Fluor® 555
ターゲット標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート
文献引用文献引用文献引用文献引用文献引用文献
TPE励起光(nm)720720, 830750810810
レーザー(nm)350/405488350, 488488488
標準フィルターセットDAPIFITCFITCTRITCTRITC
Ex/Em (nm)346/442490/525350–405/525556/573555/580
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 Alexa Fluor® 568Qdot® 605 ProbeAlexa Fluor® 594Alexa Fluor® 647Qdot® 655 Probe
ターゲット標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート
文献引用文献引用文献引用文献引用文献引用文献
TPE励起光(nm)770750810800750
レーザー(nm)561350–594594594/633350–615
標準フィルターセットRFPRFPTexas Red®Cy®5Cy®5
Ex/Em (nm)578/603350-594/605590/617650/665350-615/655
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 Alexa Fluor® 350Alexa Fluor® 488Qdot® 525Alexa Fluor® 546Alexa Fluor® 555
ターゲット標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート
文献引用文献引用文献引用文献引用文献引用文献
TPE励起光(nm)720720, 830750810810
レーザー(nm)350/405488350, 488488488
標準フィルターセットDAPIFITCFITCTRITCTRITC
Ex/Em (nm)346/442490/525350–405/525556/573555/580
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 Alexa Fluor® 568Qdot® 605 ProbeAlexa Fluor® 594Alexa Fluor® 647Qdot® 655 Probe
ターゲット標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート標識/コンジュゲート
文献引用文献引用文献引用文献引用文献引用文献
TPE励起光(nm)770750810800750
レーザー(nm)561350–594594594/633350–615
標準フィルターセットRFPRFPTexas Red®Cy®5Cy®5
Ex/Em (nm)578/603350-594/605590/617650/665350-615/655
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イオンインジケーター

Ion Indicators for TPETPEアプリケーションにおいて、主に神経細胞に対して様々なMolecular Probes®イオンインジケーターが使用されてきました。Oregon Green® 488 BAPTA-1は、ラットの脳におけるカルシウムシグナルのイメージングに使用されており、fura-2およびX-rhod-1はプルキンエ細胞において使用され、またFluo-5Fは樹上突起および樹状突起棘に関する論文に引用されています。他のイオンでは、SBFIを用いてラット心筋細胞におけるナトリウム勾配、MQAEを用いて嗅覚神経細胞における塩素濃度などがTPEで解析されています。

下記の表はTPEで使用される蛍光プローブを示しています。また、通常のイメージングアプリケーションにおけるパフォーマンスに基づいてまとめられた、より幅広いイオンインジケーターもご覧いただけます。

 Oregon Green® 488 BAPTA-1Fura-2Fluo-5FX-Rhod-1SBFIMQAE
ターゲットCa++Ca++Ca++Ca++Na+Cl
文献引用文献引用文献引用文献引用文献引用文献引用文献
TPE励起光880780810900760750
レーザー488350488561350350
標準フィルターセットFITCFITCFITCTexas Red® 色素比率読取比率読取
Ex/Em (nm)494/523340/510494/516580/602340/500350/460
カタログ番号O6806F1201F14222X14210S1262E3101

酸化ストレスの検出

TPEでは、様々な蛍光プローブを使用し、活性酸素種の局所的な放出および細胞の酸化還元状態を検出することができます。特に、グルタチオン、H2O2、または全般的な酸化ストレスの測定には、TPEでよく機能することが示されていて、幅広い範囲から波長を選択できる多数のプローブを用いることができます。各プローブに関する引用文献と共に、使用されたTPE励起波長もまとめてあります。

下記の表はTPEで使用される蛍光プローブを示しています。また、通常のイメージングアプリケーションにおけるパフォーマンスに基づいてまとめられた、より幅広い活性酸素指示薬 もご覧いただけます。

 MonochlorobimaneAmplex® RedCM-H2DCFDA
ターゲットグルタチオンH2O2酸化ストレス
文献引用文献引用文献引用文献
TPE励起光(nm)780750または800740
レーザー(nm)350561488
標準フィルターセットDAPITRITCFITC
Ex/Em (nm)394/490571/585495/597
カタログ番号M1381MPA12222C6827

細胞構造用プローブ

細胞構造用プローブは、核染色試薬、膜染色試薬、および細胞トレーシング色素などがTPEで良好な結果を示しています。核染色試薬は生細胞用(Hoechst 33342)および固定後細胞用(DAPI)のものがあり、どちらも青色の蛍光を発し、似たようなTPE励起波長を持ちます。細胞膜用プローブは、赤色(FM® 1-43色素)または遠赤(DiD)励起光を選択でき、細胞トラッキング用の色素は緑色から橙色までがあります。

下記の表はTPEに用いられるプローブを示しており、引用文献およびTPE励起波長も記してあります。また、通常のイメージングアプリケーションにおけるパフォーマンスに基づいてまとめられた、より幅広い細胞構造プローブもご覧いただけます。

 DiDFM® 1-43CFSECellTracker™ OrangeLucifer YellowDAPIHoechst 33342
ターゲット細胞膜細胞膜細胞トレーシング細胞トレーシング細胞トレーシングDNADNA
文献引用文献引用文献引用文献引用文献引用文献引用文献引用文献
TPE励起光(nm)817840820820850740740
レーザー(nm)594/633488488488405350/405350/405
標準フィルターセットCy®5TRITCFITCTRITCTRITCDAPIDAPI
Ex/Em (nm)644/665479/598490/525541/565428/536350/470350/461
カタログ番号D7757T3163C1157C2927L453製品検索H3570

研究用にのみ使用できます。診断用には使用いただけません。