誘導放出抑制顕微鏡（Stimulated Emission Depletion Microscopy；STED）

適切な色素を使用すれば、x軸およびy軸方向の分解能は30 nmを達成でき、z軸方向の分解能は従来の共焦点顕微鏡と同等です。STEDで最大のパフォーマンスを達成するためには、装置のシステムで使用される励起および抑制ビームの波長に合った性質を持つ蛍光色素が必要です。非常に多くの論文で、STED顕微鏡と共にMolecular Probes®の色素が用いられています。

蛍光タンパク質による生細胞標識

STEDは主として有機蛍光色素を用いて行われますが、生細胞のイメージングには蛍光タンパク質、特にGFPを使用できます。Molecular Probes® CellLight®試薬はready-to-useの蛍光タンパク質コンストラクト（GFPまたはtagRFP）であり、特定の細胞下構造をターゲットとしています。これらの試薬は、生存細胞中の対象の細胞内小器官の標識をシンプルかつ効果的に行います。生細胞または固定後の細胞において、CellLight®試薬を用い、ミトコンドリア、リソソーム、膜、細胞骨格、および核といった特定のオルガネラを可視化することができます。CellLight®試薬は、生細胞において様々な蛍光色素とのマルチプレックス解析が可能なほか、固定した後に免疫蛍光法によるイメージングも可能です。

抗体コンジュゲートおよび標識

Molecular Probes®の蛍光色素は、STEDアプリケーションにおいて、固定細胞アプリケーション用には抗体コンジュゲートとして、また固定細胞および生細胞用にはタンパク質、デキストラン、または他の生体分子とのコンジュゲートとして、十分に試験されています。下記のSTED製品選択ガイドをご利用になり、お使いのアプリケーションに最適な波長およびSTEDレートを持つ蛍光色素をお選びください。各色素の引用文献リストもございます。このアプリケーションでは複数のAlexa Fluor®プローブが非常に優れた性能を発揮し、各チャンネルでマルチプレックス解析を可能にしています。選択ガイドの製品リンクをたどると、目的の分子をターゲットするにあたり、現在利用可能な各蛍光色素のバイオコンジュゲート全てを見ることができます。リストは、抗体およびファロイジンから成長因子およびレクチンにまでおよびます。お探しのコンジュゲートがリストにない場合は、ご自分でバイオコンジュゲート プローブを作成するための反応性色素または最適な標識キットをリンク先でご紹介しています。

CellTrace™ Calcein Green AM色素

CellTrace™ Calcein Green AM色素は細胞透過性の色素であり、真核細胞において細胞生存率の測定によく用いられます。無蛍光のCellTrace™ Calcein Green AM色素は、生細胞内に取り込まれ、細胞内エステラーゼによりアセトキシメチル（AM）エステルを除去されることにより、緑色蛍光のカルセインになります。