SiteClick™ 抗体ラベリングシステム

SiteClick™ システムは、抗原結合ドメイン—から離れた位置にある、重鎖上のN結合型グリカン—への、検出分子の簡単で緩和な部位特異的結合を可能とします。これにより、ラベリング間および抗体間での優れた再現性を実現します。重鎖上のグリカンには数多くの異なる種類の検出分子を部位特異的に結合させることが可能です。—例えば、フィコビリタンパク質(例、R-PE)、Qdot® プローブ、蛍光色素、金属キレート化合物、およびビオチンなどその他の低分子化合物などを結合させることが可能で—同種由来の抗体を使用したマルチプレックスが可能となります。


SiteClick™ 抗体ラベリング製品一覧

SiteClick™ 抗体ラベリングシステムの特長

  • Contains reagents to label 100 µg of IgG antibody
  • Easy to follow step-by-step protocol
  • Highly efficient, site-specific, reproducible labeling chemistry
  • Qdot® labels for fluorescence microscopy and flow cytometry
  • R-PE labels for flow cytometry
  • Alexa Fluor® labels using Click-iT® Alexa Fluor® DIBO Alkynes
  • Additional labels coming soon or available through custom services

SiteClick™ 抗体ラベリングシステムの作用機構

一般的に、IgG 抗体においては2種類のN-結合型グリカンが抗体重鎖Fcドメイン中の特定のアスパラギン残基に結合しています。これらの糖鎖は、主として2つの末端枝を有する複雑な二分岐グリカンであり、構造的に極めて均一であり、グリカン枝の末端配列はほぼ一定です。ほとんどの抗体グリカン枝の末端構造は、ガラクトース-N-アセチルグルコサミン(Gal-GlcNAc-)またはN-アセチルグルコサミン(GlcNAc-)です。末端のGal 残基を、β-ガラクトシダーゼを使用して除去することにより、大部分の末端GlcNAc ラベリング部位が、この後に続くβ-ガラクトシルトランスフェラーゼ(GalT)による酵素反応のために脱マスクされます (図1).末端のGal 残基をβ-ガラクトシダーゼで開裂することにより、各N-結合型グリカンは1本の重鎖において平均して2つの末端GlcNAc 残基を有することになります(1抗体当たり4つの末端GlcNAc)。

SiteClick™ 法は、多くの異なる種由来の抗体に使用することが可能であり、使用可能な種としては、ヒト、ウサギ、マウス、ラット、ヤギ、ハムスターおよびニワトリが含まれますが、その使用範囲はこれらの種に限られるものではありません。さらに、SiteClick™ ラベリングはIgG、IgMおよびIgY など数種類の抗体クラスに効果的ですが、ニワトリIgY 抗体では2個ではなく、6個の重鎖グリカンが存在するため、さらなるラベル化が可能であることに注目してください。

The SiteClick™ antibody labeling system
図1.SiteClick™ 抗体ラベリングシステム。SiteClick™ 抗体ラベリング工程の最初のステップは、β-ガラクトシダーゼを使用して重鎖上のN結合型グリカンから末端ガラクトース残基を除去し、実質上全ての誘導化可能なGlcNAc残基を脱保護する。第二のステップでは、末端GlcNAc残基にGalT(Y289L)酵素を使用してGalNAzを酵素結合させることにより、フリーの末端GlcNAc がアジドにより活性化される。第三のステップでは、アジド残基が 、ジベンゾシクロオクチン(DIBO)で機能化されたプローブ(例、Alexa Fluor® 488 DIBO アルキン)と反応する。ラベリング率は1抗体当たり、平均的には3~3.5ラベル。