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RNA に阻害物質 (サンプル調整試薬、過剰なタンパク質など) が含まれている場合、ダウンストリームの PCR が部分的あるいは全体的に阻害されることがあります。出発物質由来の PCR 阻害物質には、ヘパリン (>0.15mg/mL)、ヘモグロビンなどのタンパク質 (>1mg/mL)、多糖、 クロロフィル、メラニン、フミン酸などがあります。核酸抽出段階で発生する不純物には、 SDS (>0.01% w/v)、フェノール (>0.2% w/v)、エタノール (>1%)、プロテイナーゼ K、グアニジン、酢酸ナトリウム (>5mM) などがあります。
PCR 阻害物質の同定方法
紫外分光光度計、バイオアナライザー、あるいは NanoDrop (超微量分光光度計) を用いて RNA サンプルを解析し、量および質を評価します。高品質の RNA サンプルは、紫外分光光度計による A260/A280 の値が 2 に近い値になるはずです。A260/A280 の値が 1.8 の場合、サンプル中に約 70~80% のタンパク質が存在する、つまり PCR および逆転写の両方を阻害するタンパク質が多く含まれていることが示唆されます。
阻害プロット:検量線プロットからのリアルタイム PCR データを用いて、誤った結果を引き起こすような阻害が発生しているかを判断することが可能です。阻害の特性を判断するのに使用される場合、こうした片対数の検量線は阻害プロットと呼ばれます。「Guide to Performing Relative Quantitation of Gene Expression Using Real-Time Quantitative PCR」の RNA Preparation and Reverse Transcription の項目をご参照ください。
ソリューション:
RNA は大変分解されやすい物質です。アプリケーションによっては (RT-PCRなど)、部分的に分解された RNA でも対応可能ですが、比較されているサンプルが同等の品質であることを確認するために、RNA の品質を評価することは依然として重要です。
RNA 品質の評価方法:
変性アガロースゲル電気泳動:トータル RNA サンプルでは、およそ 2:1 の質量比で 28S および 18S の二本の太いリボソーム RNA (rRNA) バンドが確認されると、それはRNA の品質が高いことを示しています (下記レーン3)。28S および18S rRNA バンドがスメアになったり、28S:18S rRNA 比が 2:1 未満の場合は、RNA が分解されていることを表しています (レーン2)。組織や生物種によっては、28S:18S rRNA 比が 2:1 未満のトータル RNA が生じることに注意が必要です。メッセンジャー RNA あるいは small RNA の場合は、ノーザンブロット法を用いて RNA の品質を評価します。
インタクト vs. 分解された RNA.
分解されたトータル RNA とインタクトなトータル RNA (各2 µg) を、Ambion® RNA Millennium Markers™ と一緒に1.5% 変性アガロースゲル上で電気泳動しました。18S および 28S リボーソーム RNA バンドが、インタクトな RNA サンプルに明確に確認できます (レーン 3)。分解された RNA は、より低分子量のスメアとして現れています (レーン2)。
Agilent®2100 Bioanalyzer:この機器は、キャピラリ電気泳動 (マイクロフルイディクス)を用いて、核酸を分析します。必要な RNA インプット量はわずか 25 ng です。28S と 18S rRNA のピーク下の面積比 2:1 は、インタクトなトータル RNA を示しています (下図参照)。分解されている場合は、28S および 18S rRNA のピークがあまりはっきりせず、28S:18S rRNA 比が 2:1 よりも大幅に小さくなります。
Agilent®2100 Bioanalyzer による高品質トータル RNA のスキャン18S と 28S のピークを 39 秒と 46 秒時点でそれぞれ明確に確認可能
ソリューション:
高品質な RNA を抽出し、ダウンストリームアプリケーションの成功率を高めるために推奨されること:
RNA のハンドリング・単離に関する詳細はThe Basics: RNA Isolationをご参照ください。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.