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高機能材料への需要の増加に伴い、表面処理技術の重要性が高まっています。材料の表面は外界との相互作用の起点です。それゆえ、最新の材料にかかわる多くの問題は、材料の表面や層と層との間でおきる相互作用の理解で解決されます。

材料に依存しますが、表面層とは表面から3原子層(~1 nm)までと定義されます。およそ10 nmまでの層は超薄膜、およそ1 μmまでの層は薄膜と定義されます。それら以外の固体はバルクマテリアルとみなされます。この層の種類の定義は確定的なものではなく、材料の材質やアプリケーションのよって変わります。

表面は腐食速度、触媒活性、粘着特性、濡れ性、接触ポテンシャル、不良メカニズムに影響をおよぼします。表面改質はこれらの特性を変化させたり、改善させたりすることに利用されます。それゆえ、表面分析は表面処理の効率や不良解析、新規デバイス開発における表面化学状態の解析に非常に重要な役割を果たします。

カスタマーインタビューDr. Sylvie Rangan

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X線光電子分光法(XPS)は、材料表面の化学状態を探索する一般的な手法です。XPSのデータは、材料表面数nmの定量的情報を提供します。すなわち、表面に存在する元素と化学状態の双方に関する情報を与えます。

これらの情報を理解することは、材料の理解やパフォーマンスの改善に重要です。XPSが表面敏感であるために、一般的に使用されている他の手法では難しいレベルの表面化学状態を明らかにできます。デプスプロファイルでは、表面の物質をイオン銃により少しずつ取り去り、エッチサイクルごとに分析することによって、物資内部の情報を得ることに拡張することができます。デプスプロファイルでは、高い深さ分解能で組成の深さ方向のプロファイルを取得できます。デプスプロファイルでは表面からバルクまでの組成の変化が得られます。例えば、腐食による変化、表面酸化、もしくは異なる材料が接合されている界面の化学状態の解析などです。

XPSは表面化学状態を理解するのに必須のツールであり、広範囲の産業やアプリケーションにおいてチャレンジを克服するツールとして利用されていますが、単一の手法の利用では、材料を完全に理解するには不十分です。理解をより確実にするために、他の分析手法との組み合わせが必要です。測定は同一の装置内で行われることが理想的で、同一カ所が測定されているかや、測定のコンディションが同じであるかの不確定要素を取り除けます。

イオン散乱分光法(ISS)または低エネルギーイオン散乱法(LEIS)は、表面に対する感度が非常に高い手法で、表面最上部に並ぶ原子層の組成探査に用いられています。プローブとして希ガスイオンビームを使用し、イオンは固体表面で散乱されます。散乱イオンの運動エネルギーを測定します。入射イオンのエネルギー、イオンの質量、散乱角度、散乱イオンのエネルギーはわかっているので、運動量保存の法則から表面元素の質量が計算できます。この相互作用が最表面層でのみおきるので、ISSは非常に表面敏感です。表面拡散、層成長などの解析に利用可能でき、XPSの組成情報を補完する情報を提供します。

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反射エネルギー損失分光(REELS)は材料表面の電子構造の解析に利用されます。これは、ISSと同じような方法で、入射粒子が電子で、散乱される電子を測定します。入射電子は試料中の電子遷移によって失われ、REELS測定におけるエネルギーロスとして計測されます。バンドギャップや非占有分子軌道の相対エネルギーが測定できます。XPSでは計測できない水素の検出にも使用できる場合があります。

UV光電子分光法(UPS)は、XPSと非常によく似た手法ですが、X線の代わりに紫外光を用いて表面から光電子を励起させます。UV光はエネルギーが小さいため、検出される光電子はより低いエネルギーレベルで、結合に関与している軌道からの光電子を含みます。この領域は非常に複雑で、ピークのオーバーラップがあるため、スペクトルを指紋的に利用できます。一般的にXPSとUPSのデータを比較するは非常に有用です。UPSのデータはREELSで得られた電子構造を理解するうえでは補完関係にあり、最高被占軌道(HOMO)に関する情報を提供いたします。光電子スペクトルの幅を仕事関数の測定に用います。小さい測定レンジであるため、測定が容易です。(0~22 eVもしくは40 eVなので、Al Ka X線の1486 eVの場合より小さいです。

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ラマン分光は構造の変化に敏感で、材料中の分子の結合を把握するために使用されます。散乱を利用した手法のひとつで、レーザー光が用いられます。一般的には赤外から紫外領域の波長です。入射フォトンはわずかにラマン散乱され、存在する振動モードによりエネルギーを失います。散乱されたフォトンを検出してスペクトルが得られます。ラマン分光では、一般的に分析深さが表面分析法に比べて非常に深いです。しかしながら、他の表面分析手法を補完する情報が得られます。ポリマーの様な材料ではバルクの情報が得られ、これは表面の情報を補完します。グラフェンやカーボンナノチューブの様なナノ材料では、分析深さがちょうど同じになります。

オージェ電子分光(AES)では収束させた電子ビームを用いて、表面組成の解析を行います。オージェ放出過程は、電子放出後の緩和過程によって引き起こされます。空軌道は他の起動からの電子で充足され、この過程における余分なエネルギーが他の電子の放出に使用されます。オージェピークはXPSにおいてもみられ、この過程は光電子放出後に起こります。しかしながら、AESでは一般的に励起源として電子銃が用いられます。AESでは元素の情報、一部は化学状態に関する情報が得られ、XPSを補完する手法ですが、一番の利点は空間分解能が非常に高いことです。




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リソース

マルチテクニック表面分析の装置

広範囲の表面分析のニーズを満たすため、Thermo Scientific™ ESCALAB™ XiXPSマイクロプローブ、Thermo Scientific Nexsa™ サーフェスアナリシスシステムを用いた、マルチテクニックワークフローを確立いたしました。これら装置はマルチテクニックワークステーションとしてデザインされており、タイムリーで効果的な方法にて総合的な分析を提供します。特に重要なのは、それぞれの分析が一致すること、すなわち、同一の部分を分析することです。1つの装置内にすべてを備えることにより、同一地点の分析が容易に達成されます。

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Nexsa G2 XPS

  • マイクロフォーカスX線源
  • 独自の追加可能なオプション
  • 単原子およびクラスターイオンデプスプロファイリング用のデュアルモードイオン源

ESCALAB Xi+ XPS

  • 高いスペクトル分解能
  • マルチテクニックによる表面分析
  • 試料作製および拡張のための豊富なオプション

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