新たな遺伝子改変技術をいち早く活用するために

ゲノム上の任意の位置に遺伝子改変を行う「ゲノム編集」。前回は、ゲノム編集の基本原理について人工ヌクレアーゼを例に説明しました。今回は、細胞への導入と確認法についてご紹介します。

細胞への導入
一般的にプラスミドDNAかmRNAで行います。複数のプラスミド等を導入するため、効率の良いトランスフェクションが望ましく、リポフェクトアミンやエレクトロポレーション(Neon® Transfection Systemなど)の利用が有効です。mRNAでの導入は、細胞内での導入遺伝子の作用が速やかに現れることや細胞ごとにプロモーターを選ぶ必要がないという利点があります。人工ヌクレアーゼは、切断部位を挟む形で、Forward/Reverseの2種類を準備。新たなDNA配列を挿入(ノックイン)する場合は、相同組み換え用のドナープラスミドを準備します(図1)。人工ヌクレアーゼの作成にはMulti-siteGateway® technologyが、相同組み換え配列の調製には、GeneArt® 人工遺伝子合成サービスの利用が便利です。またmRNAで導入する場合、Ambion® mMESSAGE mMACHINE® T7 Ultra kitでin vitro transcriptionし、mRNAを調製します。トランスフェクションは、プラスミドDNAでの導入と同様に行います。

図1. 細胞への導入

< プラスミドの準備>

<トランスフェクション>

人工ヌクレアーゼによるゲノム編集の確認
実験の目的やステップに合わせてさまざまな確認法があります。主な方法を説明します。

  1. ミスマッチ二重鎖切断酵素による確認:Surveyor nuclease cleavage assay(Cel 1 アッセイ)
    ターゲティング付近のDNAを増幅後、Cel 1酵素でミスマッチ部分の二本鎖を切断しゲノムの変異を確認します(図2)。初めに人工ヌクレアーゼの効率を確認する場合などに実施します。
  2. モニター遺伝子による確認
    モニター遺伝子を相同組み替えで共導入し、ターゲット遺伝子への変異や導入、置換の有無を確認します。① 薬剤耐性遺伝子の利用: ピューロマイシンなどの薬剤で細胞をスクリーニング。クローニングにも便利です。② 蛍光タンパク質の利用: GFP遺伝子などを単独もしくは融合遺伝子として導入し、フローサイトによるソーテイングやイメージング解析で確認します。
  3. その他の確認法
    ① シーケンシング法: 変異導入付近をPCRで増幅後、塩基解読で変異を直接確認します。② ブロッティング法: サザンやウェスタンで遺伝子の導入や欠失を確認します。

図2. Cel 1 アッセイ


GeneArt® Precision TALs-FokⅠヌクレアーゼペアで導入した変異を
確認した例

ライフテクノロジーズが提供するゲノム編集のための受託サービス
人工ヌクレアーゼを含め、4種類のゲノム編集用DNA合成の受託サービスを行っています。 各製品は、次ページの説明をご参照ください。

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