Clean Water Act and wastewater discharge

水質安全法および廃水排出

適切に管理することなく、廃水を地上水に排出すると、河川や湖、さらには地下水を汚染することになります。米国は水を廃水汚染から守るため、1972 年に水質安全法(CWA) を施行しました。これは 1948 年の連邦水質汚染防止法の改正法および代替法です。

コミュニティに参加する

ヨーロッパでは、水質汚染は水政策枠組み指令で規制されており、水質汚染に対する戦略を策定し、すべての加盟国の参加を義務付けています。指令では、人の健康への脅威となる優先度の高い危険物質の特定とモニタリングを規定しています。



NPDES permits for wastewater discharge

廃水排出に関する NPDES 許可

CWA が作成した国家汚染物質排出防止システム(NPDES) 許可プログラムは、点源汚染を防ぐために、汚染物質を含む廃水の米国の水資源への直接排出を規制するために使用されます。EPA は、州、部族、地方自治体に、NPDES 許可とモニタリング義務付けの権限を付与しています。NPDES 許可を必要とする廃水源としては、生活廃水、工業廃水、家畜飼養廃水、農業廃水、雨水などさまざまな廃水源があります。

さまざまな都市施設では、受け入れる廃水の要件に応じて、各種 NPDES 許可が必要になります。50 を超える工業廃水カテゴリーを直接排水する場合も、さまざまな NPDES 許可が必要になります。廃水ガイドラインでは、さまざまな工業廃水カテゴリーごとに、NPDES 許可で直接排水が許可される汚染水の量を確認できます。工業廃水を生活廃水下水道システムに排水する場合は(間接排水)、NPDES は不要ですが、各地方自治体の許可が必要になり、廃水の事前処理が求められる場合があります。工業廃水を間接的に排水する場合、受け入れ側の自治体施設は、廃水施設への工業廃水の流れをモニタリングし、住宅汚水と工業廃水の混合水から成る流出廃水を検査し、検査結果をラボ情報管理システム(LIMS) としてまとめて、規制当局に報告する必要があります。


Wastewater and surface water testing

廃水および地上水の検査

廃水検査は、NPDES 許可に応じて異なります。生活廃水の検査では、物性、固形、生物学、化学という 4 つの異なる検査カテゴリーが必要になります。工業廃水では、さまざまな重金属もモニタリングの対象になります。

地上水、つまり排出された廃水を受け入れる水についても、基準値を超える汚染物質が含まれないようにモニタリングする必要があります。たとえば、地上水に高濃度の栄養素が含まれていると(全窒素や全リン)、富栄養化が発生して水中酸素量が激減し、藻類の大量発生(ミクロシスチンの生成)、バクテリアの成長、水性動物の死滅をもたらします。

以下の表は廃水検査の一例です。これらの検査は、認証ラボでさまざまな分析ツールを使って実施する必要があります。  一般的な陰イオン検査など、検査のいくつかは施設で操作する検査になります。

物性固体生物学有機物化学物質
栄養素その他の化学物質
アルカリ度全溶解固形分バイオアッセイ(細胞内物質の生物活性)生化学的酸素要求量(BOD) アンモニア 消毒で微生物を死滅させた後の塩素残存量
導電率全定着固形分死亡率を示す毒性アッセイ、および魚などの動物を使用した再現検査など化学的酸素要求量(COD)亜硝酸塩, 亜硝酸塩, 全ケルダール窒素, 総窒素金属(Ba、Ca、Cd、Cr、Cu、Fe、K、Mn、Mg、Na、Ni、p、Pb、Zn)
pH全固形分消毒後の大腸菌やその他の病原体に関する微生物学検査溶存酸素(DO)全リン硝酸塩を含む一般的な陰イオン
濁度全浮遊固形分 油分およびグリース 有機汚染物質(PCB や半揮発性物質)
色と匂い全揮発性固形分 全有機炭素  

検査結果は、受け入れ側の地上水に排出する前に最終処理流出廃水が許可要件を確実に満たすための廃水処理手順(一次、二次、さらには三次)の指標または基準にもなります。


Physical properties

物性

廃水検査の物性としては、温度、pH、伝導率(導電率)、濁度などがあります。色や匂いも特性とみなされます。たとえば、廃水の pH が高すぎるか低すぎると、受け入れ水の水性生物は中性または弱塩基性の水環境でしか生きられないため、影響が生じます。


Solids

固体

固形分には、溶解、浮遊、定着固形分があります。  たとえば、全浮遊固形分(TSS)は、水により多くの光を吸収させる性質があるため、水温が上昇し、溶存酸素が減少します。結果として、水性動物に悪影響を与え、死に至らしめる可能性もあります。一方、全溶解固形分(TDS)は、高濃度の塩(塩化物、硝酸塩、カルシウム、マグネシウム)を含みます。TDS が高い受け入れ水は、灌漑や工業用途に適しません。


Biological measurements

生物学的な測定

生物学的な測定には、バイオアッセイや大腸菌測定などがあります。バイオアッセイは、廃水汚染の生体(動植物)や細胞に対する有害な影響の理解に役立ちます。大腸菌指標は、腸病原体のインジケータになります。


Organic tests

有機検査

水生動物が水中で生息するには、溶存酸素(DO)が必要です。好気性バクテリアは水中の溶存酸素を使用して有機物を分解します。BOD は、バクテリアが有機物の分解に使用した酸素量の測定値です。BOD は流出廃水中の有機鉱物の量を示すインジケータになります。流出廃水サンプルで高い BOD 測定値が検出される場合は、廃水中のバクテリアが廃水に含まれる有機鉱物を消化し、受け入れ側の地上水の酸素を消費するため、水性生物に悪影響を及ぼします。廃水処理の目標は、廃水の BOD 値を下げることです。

COD は、生物学的に消費された有機物(BOD)と不活性有機物の分解に使用された合計酸素量の測定値です。BOD は生物学的プロセスの酸素を測定するため、測定に 5 日ほどかかる場合があります。数時間しか必要としない COD よりはるかに時間がかかる測定プロセスです。


Nutrient tests

栄養素検査

農業、家畜飼養、雨水の流出や自治体施設からの廃水は、地上水に過剰な量の栄養素が流出するため、いずれも藻類の大量発生を招く可能性があります。地上水の過剰な栄養素(アンモニア、亜硝酸塩、硝酸塩、有機性窒素など)やリンにより藻類が大量発生すると、ニュートキシン(ミクロシスチン)が生成され、将来的な飲料水汚染につながり、人の健康の脅威となる可能性があります。さらに、藻類がバクテリアに消化されると、地上水の溶存酸素が消費され、水生動物を死に追いやる可能性があります。公衆衛生を守るために、窒素およびリン酸検査要件がいくつかの NPDES 許可に追加され、さまざまな手法で栄養素を分析できるようになっています。

比色分析自動光度アッセイは、全窒素および全リン酸検査をすばやくコストを抑えて実施できます。さらに、最近開発されたイオンクロマトグラフィー法は、一度のサンプル消化後にクロマトグラフィーによる一度の分析で、全窒素および全リン酸を効果的に検査できます。


Metal tests

金属検査

重金属汚染の主な発生源は、繊維、製紙およびパルプ、半導体、金属仕上げおよびめっき、その他多くの産業カテゴリーから出る工業廃水です。悪名高い上位 4 種の重金属だけでなく、クロム、ニッケル、亜鉛(上記の表を参照)など、その他の金属も人の健康にとって有毒です。

廃水に含まれる重金属の分析手法は、EPA メソッド 200.76010、さらに ISO 11885:1996(ICP-OES を使用)および EPA 200.8、6020、または ISO17294-2:2003(ICP-MS を使用)に基づいています。

詳細情報を見る


Organic contaminants and emerging contaminants

有機汚染物質と新たな汚染物質

最後は、これも重要な問題ですが、有機汚染物質と新たな汚染物質です。農薬など、廃水に含まれるさまざまな有機汚染物質は、NPDES 許可で規制されています。有機汚染物質は、EPA メソッド 608、624、625 などで、GCGC-MSGC-MS/MS を使用して分析されます。

医薬品およびパーソナルケア製品(PPCP)、ホルモン、内分泌かく乱物質などの新たな汚染物質は、最近の公衆衛生の懸念を招いています。これらの多くは依然として研究段階であり、正確な健康への影響はまだ明確になっていません。現時点は政府当局により規制されていませんが、標的または非標的アプローチで新たな汚染物質を分析する多くの分析手法が開発されています。高分解能質量分析(HRMS)と液体またはガスクロマトグラフィーを組み合わせることで、この危険な汚染物質クラスを測定するための強力なツールになります。

詳細情報を見る