飲料水汚染の分析

飲料水を汚染から守る

安全できれいな飲料水は健康に不可欠です。1974 年、飲料水汚染による公衆衛生の保護を目的として飲料水安全法（SDWA）が施行されました。この連邦法に従い、US EPA は飲料水の規制基準を定めました。1986 年と 1996 年に、EPA は SDWA に二つの改正を加え、現行の飲料水規制基準を定期的に見直すこと、および未規制汚染物質モニタリング規則（UCMR）プログラムを通じてその他の重要な汚染物質をモニタリングすることを条項化しました。EPA は、米国各州が公共上水道システム（全米で約 161,000 システム）および地域水道システム（全米で約 54,000 システム）の飲料水基準への準拠を監視するように指示しています。

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EPA は、第 1 種飲料水規制基準（NPDWR）と第 2 種飲料水規制基準（NSDPR）を定めています。90 種類を超える汚染物質を対象とする第 1 種基準は、法的強制力のある基準であり、公共水道システムと地域水道システムは、この規制への適合をモニタリングする必要があります。EPA は、汚染物質ごとに上限汚染レベル目標（MCLG）と上限汚染レベル（MCL）を設定しています。飲料水供給システムの汚染レベルが MCL を超えている場合は、汚染を除去して MCL 基準を満たすように水を処理する必要があります。

多種多様な汚染タイプに対して、多くの異なる飲料水分析法が EPA で承認されています。以下はその一例です。

• 硝酸塩、亜硝酸塩、フッ化物などの無機イオンは、イオンクロマトグラフィーで分析できます。
• 規制対象の金属汚染物質は、GC、GC-MS、GC-MS／MS、HPLC、LC-MSまたは LC-MS／MS 、原子吸光分光分析（AAS）、誘導結合プラズマ発光分光法（ICP-OES）、誘導結合プラズマ質量分析で分析できます。
• 新たな汚染物質は、特性が不明で水における濃度も低いため、高分解能高精密質量（HRAM）Orbitrap ベースの質量分析と GC または HPLC のいずれかを組み合わせて分析します。

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無機イオンは陰イオンと陽イオンで構成され、陰イオン交換カラムと陽イオン交換カラムをそれぞれ使用するイオンクロマトグラフィーで分析できます。一次汚染物質には、複数の陰イオン（上記参照）、無機消毒副産物（亜塩素酸塩と臭素酸塩）、その他の物質があります。二次汚染物質には、フッ化物、硝酸塩、塩化物があります。マグネシウムやカルシウムなどの陽イオンは規制対象の汚染物質ではありませんが、多くの場合、飲料水の品質保持のためにモニタリングされます。

重金属は毒性が高く、飲料水に混入すると、人の健康に対して深刻な脅威となります。一次汚染物質リストは、11 種類の金属が健康被害に応じて異なるレベルで規制されています。

• 金属には陰イオン系（クロム（VI））と陽イオン系（カルシウムやマグネシウム）があり、いずれもイオンクロマトグラフィーで分析できます。
• 飲料水における金属と半金属の合計濃度の規制適合は、AA、ICP-OES、または ICP-MS により分析されます。この場合、EPA メソッド 200.7（ICP-OES）、200.8（ICP-MS）、200.9（グラファイトファーネス AA）など、承認された手法を使用します。使用する装置の種類は、分析の目的とニーズに応じて選択します。

飲料水に含まれる多くの金属を分析する検査ラボは、通常、複数タイプの装置を使用し、規制手法を用いてコンプライアンスを確立します。

揮発性および半揮発性物質などの有機汚染物質は、飲料水に含まれる規制汚染物質の大部分を占めます。そうした物質の一部は、多環芳香族炭化水素（PAH）または IC-MS／MS、LC-MS／MS（特定の農薬など）を含む HPLC で分析できますが、有機汚染物質のほとんどは、EPA メソッド（EPA 524 および 525 など）の GC、GC-MS、または GC-MS／MS で分析されます。

EPA によると、新たな汚染物質とは、「人間の健康や環境に対して脅威と認識されている、脅威となる可能性がある、または実際に脅威となる汚染物質、あるいは公開済みの健康基準から欠如している汚染物質」のことです。こうした汚染物質は規制の対象ではありませんが、近年、飲料水への混入が大きな健康に対する懸念となっています。