緒言

静止期にあるT細胞は、分化と増殖のために外部のシグナルを必要とします。コンカナバリンA(con A)は抗原非依存性マイトジェンであり、T細胞への刺激試薬として利用できます。このレクチンは、T細胞への刺激を検討する実験において、抗原提示細胞の代わりとしてしばしば利用されています。コンカナバリンAは、細胞表面の糖タンパク質に不可逆的に結合し、T細胞を増殖させます。これは、転写因子とサイトカイン産生を刺激する迅速な方法です。


材料

  1. 通気キャップ付きのT25またはT75滅菌フラスコ(例:Nunc EasYFlask細胞培養フラスコ、T25、フィルター、カタログ番号156367)
  2. RPMI 1640培地(例:BenchStable RPMI 1640培地、カタログ番号A4192301)
  3. ウシ胎児血清(例:Gibcoウシ胎児血清、カタログ番号26140087、またはウシ胎児血清One Shot format、カタログ番号A3160401)
  4. L-グルタミン(例:200 mM L-グルタミン、カタログ番号25030149)
  5. オプション:ペニシリン-ストレプトマイシン(例:Gibcoペニシリン-ストレプトマイシン、カタログ番号15140148)
  6. Concanavalin A(例:eBioscience Concanavalin A solution A solution、500X、カタログ番号00-4978-93)
  7. 細胞スクレーパー(例:Nunc細胞スクレーパー、カタログ番号179693)


手順

  1. 無菌条件下で無菌手法を用いて、全血(補足プロトコルA)または準備されたリンパ組織(補足プロトコルB)からPBMCを単離します。
  1. RPMI 1640培地にウシ胎児血清を添加して、最終濃度10%および2 mM L-グルタミン(現在GlutaMAXが添加されていない培地を使用している場合)にすることにより、完全なRPMI 1640培地を調製します。培地を37℃にします。オプション:培地に1%ペニシリン-ストレプトマイシン(5,000ユニット/mL)を添加します。
  1. 完全RPMI 1640培地で細胞を3 x 106細胞/mLの濃度に再懸濁します。使用するフラスコのサイズ(T25またはT75)に基づいて必要な容量を調製します。
  1. 2つの培養フラスコを準備し、一方には「活性化」、もう一方に「非活性化」とラベル表示します。
  1. 準備したフラスコに細胞溶液(ステップ3で調製)を均等に分注します。
  1. さらに「活性化」とラベルしたフラスコには、1 x濃度(2 μL/mL)のConcanavalin A溶液を加えます。
  1. 両方のフラスコを通気性のフィルターキャップで覆い、37℃の5% CO2インキュベーター内で1~3日間インキュベートします。
  1. 細胞スクレーパーで細胞を回収します。


補足プロトコルA:全血からのPBMCの分離

材料

  1. リン酸緩衝生理食塩水(例:Gibco PBS(10倍)、pH 7.4、カタログ番号70011044)
  2. 15 mLまたは50 mLコニカルチューブ(例:Nunc 15 mLコニカル滅菌済遠心チューブ、カタログ番号339650)
  3. Ficoll-Paque®密度勾配分離培地
  4. フローサイトメトリー染色バッファー(例:eBioscienceフローサイトメトリー染色バッファー、カタログ番号00-4222-26)

手順

  1. コニカルチューブで血液サンプルをPBSで少なくとも1:1に希釈します。
  1. 元のサンプル量と等量のFicoll-Paque®培地を希釈サンプルの下に置きます。
  1. ブレーキをオフにした状態で、室温で20分間、400 x gで遠心分離します。
  1. PBSとFicoll-Paque®培地層の界面にあるPBMCを新しいチューブに回収します。
  1. チューブをPBSで満たし、細胞を洗浄します。
  1. 細胞を2~8℃で4~5分間、300~400 x gで遠心分離します。上清を廃棄します。
  1. 細胞ペレットを適量のフローサイトメトリー染色バッファーまたは任意のバッファーに再懸濁し、細胞数と生存率の分析を行います。
  1. ステップ6のように細胞を遠心分離し、適量の完全RPMI 1640で、最終濃度が3 x 106個/mLになるよう細胞を再懸濁します。

注:

細胞を培養するので、無菌的にすべてのステップを実施し、また、アジドを含まないバッファーを使用します。

プロトコルのコツ:

自動セルカウンターを使用すれば、採取したばかりの末梢血単核細胞からの細胞の健康状態と濃度の評価の精度が大幅に向上します。 Countess II FL自動細胞カウンターを使用してPBMCを計数する方法に関する 詳細なプロトコルを参照してください


補足プロトコルB:リンパ系組織からの免疫細胞の分離

材料

  1. 60 x 15 mmの細胞培養皿(例:Nunc細胞培養ペトリ皿、カタログ番号150340)
  2. プラスチック製の3 mLシリンジまたはつや消しされたガラス製顕微鏡スライド2枚
  3. セルストレーナー(ナイロンメッシュ)
  4. 15 mLまたは50 mLコニカルチューブ(例:Nunc 15 mLコニカル滅菌済遠心チューブ、カタログ番号339650)
  5. フローサイトメトリー染色バッファー(例:eBioscienceフローサイトメトリー染色バッファー、カタログ番号00-4222-26)

手順

  1. 組織(脾臓、胸腺、リンパ節)を10 mLのフローサイトメトリー染色バッファーまたは任意のバッファーを入れた細胞培養皿に採取します。3 mLシリンジのプランジャーで押し出し、単細胞懸濁液に調製します。あるいは、10 mLのフローサイトメトリー染色バッファーを用いて、2枚の顕微鏡スライドのすりガラスの端に組織を挟みつぶしてください。
  1. 15 mLコニカルチューブの上にセルストレーナーを置きます。細胞培養皿から細胞をセルストレーナーに通して、凝集塊やデブリを除去します。
  1. 細胞懸濁液を2~8℃で4~5分間、300~400 x gで遠心分離します。上清を廃棄します。
  1. 細胞ペレットを適量のフローサイトメトリー染色バッファーまたは任意のバッファーに再懸濁し、細胞数と生存率の分析を行います。
  1. ステップ3のように細胞を遠心分離し、適量の完全RPMI 1640培地で、最終濃度が3 x 106個/mLになるように細胞を再懸濁します。

注:

リンパ系組織から単細胞懸濁液への調製は、一般的に機械的な分散で十分です。

注:

細胞を培養するので、無菌的にすべてのステップを実施し、また、アジドを含まないバッファーを使用します。

For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.