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細胞培養におけるウシ胎仔血清使用の基礎 |
ウシ胎仔血清(FBS;fetal bovine serum)はfetal calf serumとしても知られ、細胞培養アプリケーションの基礎増殖培地のサプリメントとして、学術生物学および産業の研究者の両者で広く使用されています。これは、培養中の細胞増殖をサポートするタンパク質と増殖因子の豊富な供給源です。
血清は、血液の自然凝固の後に残る琥珀色の血液分画です。これは通常、残留している血液細胞、凝集フィブリノゲン、および低溶解性タンパク質を除去するために、遠心分離によりさらに精製されます。
ウシ胎仔血清は、閉鎖系採取法によって採取されたウシ胎仔の血液から抽出されます。特に、FBSは(真核細胞の)in vitro細胞培養にもっとも広く使用されている血清サプリメントです[1、2]。
ウシ血清は、血液が採取された動物の年齢に基づいて分類されます[3]。
注記:動物の年齢は、血液の組成、さらに結果的には血清に影響を与える可能性があるため、年齢を把握することは重要です。
ウシ胎仔由来のFBSは、増殖因子、ホルモン、および輸送タンパク質など、1,000を超える成分を含有しており、培地に添加することで細胞の増殖に寄与します。一方ウシ血清アルブミン(BSA)は、ウシ血清から精製されたタンパク質の1種です。BSAはFBSの主要な成分で、どちらも細胞培養培地の有益なサプリメントとして機能しますが、それぞれにはライフサイエンスの研究開発におけるその他の独自のアプリケーションがあります。
ウシ胎仔血清は、細胞株や初代細胞など、非常に幅広い細胞タイプをサポートすることが知られている豊かな培養系を提供します。FBS中の増殖因子や超低濃度の抗体は、この血清の汎用性を促進します[4]。 |
FBSは、次のような1,000を超える成分を含んでいます。
注記:FBSには不明確な性質があるため、その組成はロット間で異なる場合があります。
FBSは生物学的物質として、分解を避けるために慎重に取り扱い、適切に保存する必要があります。もっとも効果的な保存方法は、血清を凍結保存することです。 |
FBSは以下のように扱う必要があります:
血清は長期間保存できるため、研究者や製造業者は同じ血清ロットを2年以上使用することがよくあります。しかし、FBSは化学的に定義されていないため、補充する際は、以前に購入した製品と同じ仕様の類似のロットを調達しようとします。
サーモフィッシャーサイエンティフィックは、FBSフィンガープリントやiMATCH Sera Lot Toolなど、ロット間の一貫性の確保に役立つソリューションを提供することに尽力しています。
ウシ胎仔血清を培地のサプリメントとして使用すると、主に以下のことに役立ちます:
学術研究者の他、製薬やバイオテクノロジー業界の研究者が、長年にわたりFBSの有益な特性に頼っています。研究および産業におけるFBSの具体的なアプリケーションの中には、主に以下のものがあります:
FBSとワクチンについてもっとお知りになりたいですか?ワクチン製造におけるウシ胎仔血清のガイドをご確認ください
FBSの独自の生物学的性質は急速な細胞増殖を促進するため、高効率をもたらす製品になっています。さらに、ウシ胎仔血清は仔ウシおよび成ウシ血清の両方よりも少量のγグロブリン、高濃度の増殖因子、および少数の補体タンパク質を含有しています。これらの特性により、FBSは細胞増殖の促進に最適でありながら、培養内での哺乳類細胞の結合や溶解の可能性を低減するため、他のタイプのウシ血清よりもFBSを選択する合理性があります。さらに、FBSは低濃度の抗体やその他の増殖阻害因子を含有しています。 |
FBSは、多くの増殖促進因子(増殖因子、ホルモン、栄養素など)を細胞に提供するほか、次のような有害な傷害から細胞を保護することもできます:
そのため、FBSを使用すると、一般的に細胞増殖は次のようになります:
ウマ血清などの他の動物血清は特定の種類のアプリケーションに適している場合がありますが、FBSはより汎用性が高く、さまざまなアプリケーションで機能し、供給ニーズを合理化します。
すべてのFBS製品は品質が同じであると研究者は考えるかもしれませんが、ラボ用にFBSを調達する際には、以下のようないくつかの重要な要素をモニターし、考慮する必要があります: |
さらに、研究者は滅菌済み・ろ過済みでマイコプラズマフリーのFBSに頼っています。サーモフィッシャーサイエンティフィックは品質と一貫性に責任を持ち、Gibco血清の各ロットが最適な細胞培養性能と増殖に必要なニーズと基準を満たすことを保証します。
細胞培養での使用におけるFBSの完全性を評価する際には、製品の品質と安全性に関して理解しておくべきさまざまな用語があります。
用語 | 定義 |
---|---|
9 CFRウイルス試験 | 米国連邦規制基準(CFR)、Title 9, Part 113.53 (c) [113.46, 113.47]に準じたウイルスパネル試験。蛍光抗体により検出。 |
生化学/ホルモンプロファイル | 細胞培養に影響をおよぼすと考えられる生化学およびホルモン(エストラジオール、インスリン、プロゲステロン、テストステロン、およびチロキシン)プロファイルに関する定量試験。 |
BSEステータス | BSE(ウシ海綿状脳症)は、OIE(国際獣疫事務局)によって、国/地域の衛生状態が公式に認定されている疾病です。ウシ海綿状脳症(狂牛病)に関して「無視できるリスク」に認定された地域は、輸入に際してのバイオセイフティリスクが低いと評価されています。 |
EMAウイルス試験 | 米国連邦規制基準(CFR)、Title 9, Part 113.53 (c) [113.46, 113.47]に準じたウイルスパネル試験。蛍光抗体により検出。 |
エンドトキシン試験 | エンドトキシンは、血清の採取・処理の質に直接関係します。高レベルであるほど、グラム陰性菌がより多く含まれていることになります。 |
ろ過 | 0.1 µmのろ過を3回実施:無菌プロセスはバリデーション済みで、製造された全製品が業界標準の無菌性保証レベルである10-3を満たします。 |
ヘモグロビン | 血液および/または血清が適正な手順で採取・処理されたかを確認するための指標。 |
マイコプラズマおよびマイコプラズマ補助試験(H-Stain) | 直接培養法およびHoechst染色法。試験を実施して、マイコプラズマが検出されないことを確認します。 |
原産国の確認 | Gibco血清のための独自のフィンガープリンティング技術で、FBSの原産国を確認し、偽造品の可能性を排除します。 詳細を見る |
浸透圧 | FBSの浸透圧を測定し(塩、糖などの溶質の濃度を測定)、培養培地の浸透圧と類似させることで、細胞生存率に影響を与える浸透圧ショックを回避します。 |
性能:相対的な成長促進(RGP) | 細胞成長促進アッセイでは、各FBSロットが複数回の継代にわたって偏好性のヒト二倍体線維芽細胞の増殖をサポートできるかを評価します。 |
pH:相対的なpH上昇 | 血清は細胞培養システムにおいてバッファーとして作用します;pHを測定して細胞培養用の品質および性能が確保されていることを検査します。 |
総タンパク質量 | FBSには細胞の培養に影響を与え得るさまざまなタンパク質が多く含まれるます;血清中の総タンパク質量を血清の化学パネルにより評価します。 |
トレーサビリティ | 起源をさかのぼって確認することができる完全なトレーサビリティ。ISIAトレーサビリティ証明書を取得。詳細を見る |
FBSの品質と完全性はモニターしたり管理できますが、ウシ胎仔血清は依然として食肉産業の副産物です。そのため、FBSのコストと供給を管理することは困難です。その他の環境要因や地政学的事象が、ある程度、一貫性のない供給の要因です。近年FBSの価格は、その需要の増加と利用可能性の制限の影響で、300%以上上昇しています[4]。
FBSの価格が絶えず変動する理由について、ビデオでご確認ください。
リンガーの細胞培養培地は1882年にSydney Ringerによって開発され、動物組織のin vitro培養の最初の例でした。その後の数十年間で、科学的革新により最初の動物細胞培養、そして合成培地が開発されました。1940年代には、細胞株、基礎培地、およびタンパク質フリー培地の研究が確立されました。
1950年代後半、Theodore Puckが細胞増殖を促進する目的で、細胞培養におけるFBSの使用を初めて導入しました。さらなる研究により、FBSは細胞増殖を刺激する能力に加えて、細胞の増殖と生存に不可欠な多数の成分(ホルモン、ビタミン、増殖因子など)を含有していることが明らかになりました[5]。
数十年にわたり、ウシ胎仔血清は世界中のラボで広く使用されています。その需要は、細胞および組織培養アプリケーションにおけるサプリメントとして不可欠な存在にあります。
研究グレードのウシ胎仔血清の入手可能性は、生物医科学のスピードを劇的に向上させ、増殖培養培地のサプリメントとしては他に類を見ません。血清フリー培地の開発は特定の細胞培養アプリケーションに利点をもたらしましたが、FBSはもっとも汎用性が高く、広く使用されている細胞の栄養素源であり、近い将来にわたってラボの組織培養培地の主要なサプリメントであり続けるでしょう。 |
品質、安全性、一貫性、および規制準拠を確保するために、Gibco FBS製品はISIAトレーサビリティ証明書やフィンガープリント原産保証など、厳格な試験パラメーターを受けています。
日常的な細胞培養から特殊アッセイまで、お客様の特定のニーズに適したFBSをお選びください。ウイルス汚染リスクが最小限の血清、エンドトキシン濃度がもっとも低い血清、あるいは特定のアプリケーションやアッセイに適したFBSなど、Gibco製品は客様のニーズに対応する品質と価値を提供します。
一般的な問題に対する推奨事項を得たり、アプリケーション、機器、および製品の一般的な使用に関連した技術サポートに関して、経験豊かなサイエンティストに直接お問い合わせになれます。
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Fetal Bovine Serum Basics
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