ボリューム電子顕微鏡法(ボリュームEM)

ボリューム電子顕微鏡法とは

細胞内小器官やコンパートメントその他の構造の機能を理解するには、多くの場合、これらの組織と相互作用を3D空間で可視化し定量化することが必要です。ボリューム電子顕微鏡法はボリュームEM(vEM)とも呼ばれており、Nature誌の「Technologies to Watch in 2023」の1つに選ばれています。ボリュームEMという新興分野は、電子顕微鏡を用いたさまざまなイメージングのアプローチや処理テクニックを指すものであり、そこでは細胞の超微細構造、組織、小型モデル生物の表面下に潜む3D構造についての探索が、ミクロンからミリメートルのボリュームスケール、ナノメートルレベルの分解能、さらには極低温条件下での自然状態にて実施されます。
 

当社のボリュームEMソリューションでは、組織、細胞、オルガネラが、疾患やさまざまな実験に対してどのように反応するかを観察できます。当社のボリュームEM顕微鏡は、光-電子相関顕微鏡法、複数のプラズマイオン源、大面積の自動連続FIB SEMミリング(スピンミルで最大1 mm)、室温およびクライオオペレーションを統合したソリューションを提供します。ボリュームEMにクライオ電子顕微鏡(クライオEM)またはクライオ電子トモグラフィー(クライオET)を組み合わせることで、細胞微細構造での分子相互作用の直接観察が可能になります。  

ボリューム電子顕微鏡法の各種メソッド

プラズマ集束イオンビームSEM

汎用的で高効率な細胞FIB-SEMトモグラフィーは、室温またはクライオ条件下での大容量の3次元解析に最適です。スピンミルメソッドによる最大1 mmの平面ミリングで、広領域のイメージングを行えます。

シリアルブロックフェイスイメージング(連続切片法)

完全なin situでのミクロトーム切片作製ワークフローを実現します。マルチエネルギーデコンボリューション走査型電子顕微鏡(MED-SEM)と組み合わせることで、優れたZ分解能(縦方向への解像度)がもたらされます。自動化による優れた操作性が生産性を向上させ、大容量試料の解析における等方性分解能をもたらします。

アレイトモグラフィー

Thermo ScientificのSEMは、自動アレイトモグラフィーを追加することで、ボリューム電子顕微鏡としての利用が可能になります。

TEMトモグラフィー

ハードウェアとソフトウェア処理により、傾斜シリーズ、トモグラム再構成、セグメンテーションを直感的かつ自動的に収集して、トモグラム中にイメージ化された細胞内構造の3D形状と組織を解明します。

統合型蛍光顕微鏡による相関イメージング

Thermo Scientific iFLM相関システムは高真空チャンバー内に組み込まれているため、蛍光イメージングと電子イメージングを組み合わせて、室温またはクライオ条件下での光-電子相関顕微鏡法(CLEM)を実現できます。このシステムにはAutoTEMミリングソフトウェアへの接続機能も用意されており、関心領域を簡単にターゲットにすることができます。

FIBトモグラフィー用のAuto Slice&Viewソフトウェア

Thermo Scientific Auto Slice & View 5ソフトウェアは、高分解能の3D画像と分析マップの自動取得を可能にします。連続切片を作製し、ユーザーが定義した試料中の関心領域の各スライスをイメージングすることにより、データを取得します。