Invitrogen 抗体検証

抗体の性能を確保します

抗体はラボで使用される最も重要な研究試薬と言えます。特異性やアプリケーションにおける性能の低さは、実験の成功の著しい妨げとなり、大きな遅延につながりかねません。性能の低い抗体は再現性に欠け、多くの時間と費用がかかります。つまり、研究者はいつも正しいターゲットに結合し、アプリケーションにおいて適切に機能する抗体を必要としています。優れた抗体性能を確保するため、当社は特異性試験方法を発展させ、先端的な検証法として2つのアプローチを採用しました。

サーモフィッシャーの抗体検証独創性に対する賞

2018 年度の CiteAb 賞を受賞
サーモフィッシャーサイエンティフィックは、当社の抗体検証イニシアチブに対してこの賞を受賞したことを嬉しく思います。CiteAb はこの賞を授与するに当たり、当社の 2 つのアプローチを用いた検証、および先進の検証標識を評価しました。

Nature Ab Validation Articles Booklet cover

ネイチャーの論文記事:再現性、検証、および特異性試験

ネイチャーで、サーモフィッシャーサイエンティフィックの抗体検証および性能に対する尽力をご覧ください。3 本の論文からなるこのシリーズでは、多数の抗体および経路から得たデータを用いて、再現性の危機、プロトコル、基準、および当社の特異性試験法について論考しています。

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抗体リソースおよび e-learning

 

Invitrogen 抗体は現在、二つのアプローチによる厳密な検証を受けています。

パート 1—ターゲットに対する特異性の検証

抗体が正しいターゲットと結合することを確保します。当社の抗体がお客様の実験において適切に機能することを確認するため、抗体検証作業において以下の方法のうち少なくとも一種類が採用されています。各試験の戦略、ワークフローの例、データや図の解説などの詳細については、以下の表中の各検証方法をクリックしてください。

免疫沈降-質量分析法
(IP-MS)
遺伝子改変法別々の抗体による検証法(IAV)生物学的検証法

IP-質量分析法-免疫沈降した後に質量分析を行うことで、抗体のターゲットを同定する検証方法

ノックアウト-CRISPR-Cas9 細胞モデルを使用した、発現測定による検証
ノックダウン-目的遺伝子のノックダウンに RNAi を使用する検証方法

IAV-同じタンパク質ターゲットを認識する 2 種類の異なる抗体を使用する発現測定

細胞処理—細胞を抗体で処理することによって起こる下流イベントの検出
相対発現—天然型の可変性発現系を用いた特異性の確認
中和—抗体結合によるタンパク質活性の機能阻害試験
ペプチドアレイ—アレイを用いた既知のタンパク質修飾に対する反応性の検証
オルトゴナル法—抗体依存に依存する方法と依存しない方法の相関の検証

パート 2—アプリケーションにおける機能性の検証

この検証を通じて、抗体が特定のアプリケーションにおいて機能することを確認します。アプリケーションの
一例:

ほとんどの抗体は、特定のアプリケーションで使用することを念頭に置いて作成されています。抗体の性能を確認する 2 つ目の方法として、抗体が特定のアプリケーションにおいて良好な結果を出せるかどうかの検証します。

パート 1—ターゲットに対する特異性の検証

抗体が正しいターゲットと結合することを確保します。当社の抗体がお客様の実験において適切に機能することを確認するため、抗体検証作業において以下の方法のうち少なくとも一種類が採用されています。各試験の戦略、ワークフローの例、データや図の解説などの詳細については、以下の表中の各検証方法をクリックしてください。

免疫沈降-質量分析法
(IP-MS)
遺伝子改変法別々の抗体による検証法(IAV)生物学的検証法

IP-質量分析法-免疫沈降した後に質量分析を行うことで、抗体のターゲットを同定する検証方法

ノックアウト-CRISPR-Cas9 細胞モデルを使用した、発現測定による検証
ノックダウン-目的遺伝子のノックダウンに RNAi を使用する検証方法

IAV-同じタンパク質ターゲットを認識する 2 種類の異なる抗体を使用する発現測定

細胞処理—細胞を抗体で処理することによって起こる下流イベントの検出
相対発現—天然型の可変性発現系を用いた特異性の確認
中和—抗体結合によるタンパク質活性の機能阻害試験
ペプチドアレイ—アレイを用いた既知のタンパク質修飾に対する反応性の検証
オルトゴナル法—抗体依存に依存する方法と依存しない方法の相関の検証

パート 2—アプリケーションにおける機能性の検証

この検証を通じて、抗体が特定のアプリケーションにおいて機能することを確認します。アプリケーションの
一例:

ほとんどの抗体は、特定のアプリケーションで使用することを念頭に置いて作成されています。抗体の性能を確認する 2 つ目の方法として、抗体が特定のアプリケーションにおいて良好な結果を出せるかどうかの検証します。

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高度な特異性実証による抗体検証


抗体再現性の危機への取り組み:主要なサイエンスリーダーによるパネルディスカッション

再現性および抗体検証の基準は、今日の研究者に直面する二つの重要な課題です。パネルが、一般的なラボ技術で使用される抗体を検証する際の一致した意見を見つけるための現在の方法を議論します。

キャラクタリゼーションと性能が不十分な抗体に対して、年間数百万ドルが費やされています。このパネルフォーラムでは、抗体コミュニティの主な研究者たちが集まり、抗体の再現性危機の解決法について議論しました。参加した研究者たちは、ラボで使用する抗体のための適切なキャラクタリゼーションと一貫性を確保するため、基準となるバリデーション*方法の開発について議論しました(このパネルディスカッションは、2017 年 5 月 30 日に開催されたものです)。

こちらの Q&A サマリーを参考にしてください

Aled Edwards は、Structural Genomics Consortium の CEO であり、カナダのオンタリオ州にあるトロント大学教員です。また、International Working Group for Antibody Validation(IWGAV)のメンバーでもあります。

Anita Bandrowski は、サンディエゴにあるカリフォルニア大学の New Science Information Framework at the Center for Research and Biological Systems の科学主任です。また、 SciCrunch の創設者および CEO、そして IWGAV のメンバーでもあります。

Paul Wallace は、ニューヨーク州バッファローにあるロズウェルパーク癌センターおよび研究所の Flow and Image Cytometry Facility における腫瘍学教授およびディレクターです。彼はまた、バッファローにあるニューヨーク州立大学の病理学准教授です。

Matt Baker は、サーモフィッシャーサイエンティフィックの抗体およびイムノアッセイのための戦略およびパートナリング部門のディレクターです

John Rogers は、Thermo Fisher Analytics のタンパク質および細胞解析ビジネスにおける質量分析試薬部門のシニア R&D マネージャーです。

Christoph Hergersberg (モデレーター)は、サーモフィッシャーサイエンティフィックのタンパク質および細胞解析の R&D ならびに抗体およびイムノアッセイ部門のバイスプレジデントです。

Edwards:抗体試薬のキャラクタリゼーションに関しては、この 30 年から 40 年間にかけて、問題となってきました。この問題を解決することは大変難しく、複雑な市場の力や科学的インセンティブを解き明かす必要があります。この問題は、5、6 年前に複数の製薬会社が社内実験の結果を論文で発表し、先行研究における発見の多くが再現できなかったことがわかって表面化しました。 

Bandrowski:この再現性のジレンマ全体に関わるもう 1 つの問題として、研究者たちによる結果の論文発表があります。研究者たちは優れた結果を得ていますが、論文により発表するというやり方では、他の人々はその結果を実際に再現できません。当然ながら、私たちは単体の科学研究コミュニティとして行動している訳ではありません。この問題は数年前、 Vaseleski** の論文によって取り上げられ、論文中で実際に使用された抗体の半数以上は突き止めることができない、という本質的なポイントが示されました。 

Edwards:最近では、ノックアウト細胞を作成するための CRISPRs や質量分析法などのように、抗体の品質を定量的な測定基準によって評価できる、革新的な新しい技術が生まれました。これらの技術によって、科学コミュニティが採用できる抗体の標準的な基準を定めることが可能となりました。

**Vasilevsky NA, Brush MH, Paddock H, et al.On the reproducibility of science: unique identification of research resources in the biomedical literature.Abdullah J, ed. PeerJ.2013;1:e148. doi:10.7717/peerj.148.

Baker:抗体の主な供給元および製造元として科学コミュニティの多くの研究者たちとともに仕事をしている私たちサーモフィッシャーサイエンティフィックにとっても、抗体の再現性は重要な問題です。お客様は抗体が確実に使えるという、製品の信頼性を求めています。そこで私たちは新しい技術を用いて、特異性の確認に力を入れています。

私たちは、特異性とアプリケーション機能の両方を検証するというポートフォリオ、つまり、2 つのアプローチからなる体系的な検証方法を取り入れてきました。特異性の検証には 9 種類の方法があります。免疫沈降/質量分析法、ノックアウト法、ノックダウン法、別々の抗体による検証法、細胞処理法、相対発現法、中和法、ペプチドアレイ法、そしてオルトゴナル法です。それぞれのアプローチを組み合わせ、各抗体の透明性と再現性を確保する検証データを製品に盛り込みます。

Edwards:質量分析によるアプリケーションでは、タンパク質からペプチドまたはペプチド群が得られた場合に、統計的に大変有意な結果が得られます。その結果はごまかすことができないものです。絶対的な方法です。CRISPR ノックアウトを作成する場合、遺伝学的に正しければ、タンパク質がそこに存在しないことは明白です。 

Edwards:単に実験の再現性を得ることだけが目的ではありません。抗体のキャラクタリゼーションにおいて、定量的で標準的な操作手順といったものを確立することが目的なのです。質量分析法とともに、CRISPR ノックアウトもベストな方法であり、どちらも定量的な結果を得ることができます。すべての検証方法が、抗体の適切なバリデーションとは何かといったような、コミュニティ内に立てる素晴らしい「フラグ」になるのではないかと私は思います。 

Bandrowski:さらに私が本当に好ましいと思うのは、より多くのデータが提供されるという事です。研究者が蓄積されたデータをすべて見ることでやり易さを感じることができれば、それはまた違った価値が与えられることになります。 

会社のした事と自分のしている事の比較ができ、何が間違っているのかを知ることができるのなら、この場ですぐにデータを見ることや、すべてのデータを閲覧することができるというのは、研究者たちにとって非常に価値の高いリソースになると思います。

Wallace:もし私たちが CRISPR の細胞株や他の方法を用いるプロトコルにおいて、検証した試薬についても議論できれば、特定のプロトコルを盛り込むことができるので、なお良いでしょう。特定の抗体を購入するか、特定の試薬の使用を予定したということでそのプロトコルに従えば、実際に同様の結果を得ることができるのです。ラボ間の差は確かに大きいですが、特定の試薬を用いるプロトコルがあればそれに従うことができ、また必要な時にそれを改良して確認する作業がやり易くなるでしょう。 

最後に、ウェスタンブロッティングで機能しても、免疫組織化学で全く使用できない抗体がたくさんあります。同様に、フローサイトメトリーでは使用できても、免疫組織化学では使用できない、または特定の技術の場合では使用できないといった抗体もあります。どのようにバリデーションを行うかを議論する場合は、1 つの方法や技術にはとどまることはありません。御社の 2 つのアプローチを用いた検証方法のように、特異性を証明する技術は幅広いものです。

Wallace:私はまず特定の細胞における疑問から始め、それから、その疑問の解明に必要となるであろう抗体を選択します。次に、抗体パネルに加えるため、どんなフロー用の抗体クローンがあるかを、オプションとして製造元のウェブサイトで探索します。もし私のクローンについての使用法について述べたプロトコルとともに、フローサイトメトリーに使用できることが検証されていれば、そういった特定の試薬に確実に興味が湧くでしょう。

それから、どのような蛍光試薬にするかや、ターゲットの発現の度合いに応じた試薬間のクロストークについて判断していきます。まずするべきことは、その量を決定することと抗体パネルのバリデーションを行います。抗体パネルに加えた時に、FMOs(fluorescence minus ones)といったコンロトールを実施するでしょう。これにより、そのパネルが上手く機能するかどうかを検証でき、すべてのポピュレーションからのベストな分離を得ることができます。そしてこの特定の抗体が上手く機能するプロトコルや例などがあれば、プロセスはスピードアップするでしょう。

Bandrowski:各コミュニティでは、手間と時間をかけて変える必要があるとしている多くの取り組みがあります。 2016 年のグラントのレビュー基準は変更およびアップデートされ、より厳密になっています。次の 5 年から 10 年で、生物学試薬、特に抗体や細胞株などの認証に向けたグラントの動きが見られるでしょう。これはすべてのコミュニティを巻き込む非常に重要な動きです。

他の資金提供者たちが一部でも NIH と足並みを揃え、またジャーナルも含めて、抗体の再現性に対して注意を払い、行動することを望んでいます。試薬の同定に取り組むことで、私たちは厳密さを目指したグラントレビューのガイドラインと論文を調整することができます。コミュニティ内に浸透するのには何年もかかるでしょう、しかし、すべての研究者たちが今日から実行しなくてはならないことなのです。すべての抗体のために研究リソースの確証システムを利用し、可能であれば、データを共有するべきでしょう。

再現性のための標準的な検証法

サーモフィッシャーサイエンティフィックは、私たちの Invitrogen 抗体ポートフォリオのための、特異性とアプリケーションにおける機能性の両方を検証する標準的な検証法の採用に全力で取り組みます。 International Working Group for Antibody Validation(IWGAV)を支援し、同グループの提案を取り入れることによって、科学コミュニティにおける再現性と適切な機能を確保するという役割を果たしています。

*「検証」という用語の使用またはあらゆるバリエーションは、表示した研究技術に使用可能であることを確認するための機能試験の対象となった研究用抗体のみに適用されます。その製品が臨床用または診断用として検証されたことを担保するものではありません。