核酸は、核のラべリングの明確なターゲットです

核のラべリングは、通常、核酸に結合する特定のタイプの色素に依存し、DNAとRNAとの間でどの程度の識別を必要とするか、ラベリングする細胞が生細胞か固定された細胞かによって蛍光色素の選択が変わります。

幅広い種類がある核酸染色剤について学び、それらを効果的に使用するいくつかのコツを検討してください。

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核の蛍光染色プロトコールをご覧ください

核の蛍光染色

核内の内部物の大部分は核酸なので、核染色のために核酸染色を行うことは自明の理です。核酸染色剤には主に2つのタイプがあります。すなわち、細胞膜を通る(細胞透過性)ものと、そうでない(細胞非透過性)ものです。ほとんどの核酸染色剤では、DNAまたはRNAに結合する前の蛍光シグナルはわずかですが、蛍光色素がDNAまたはRNAに結合すると、蛍光強度が大きく増加します。

すべての核酸色素は、DNAおよびRNAの両方に対する親和性を少なくともある程度有しています。核の中の二本鎖DNAに非常に特異的で、その領域に限定した非常に明るい染色をもたらすタイプの核酸用蛍光色素もあります。その他に、DNAとRNAの両方に結合することにより、明るい核染色をもたらす核酸用蛍光色素、ならびに主に細胞質RNAと一部のミトコンドリアDNAに結合して一部のサイトゾル(細胞内可溶質)染色が得られる核酸用蛍光色素もあります。

 TO-PRO®-3 stain exhibits a bright signal in the nucleus and a dimmer signal in the cytoplasm (from RNA) in fixed and permeabilized U2OS cells.

図 1. TO-PRO®-3染色剤は、固定・透過処理したU2OS細胞の核の中で明るいシグナルを示し、細胞質(RNA由来)の中でより暗いシグナルを示します。

 

HUVECs labeled with NucRed™ Live, a cell-permeant nuclear stain. 

細胞透過性の核染色剤

細胞透過性の核染色剤は、正常な、非透過性の原形質膜を有する生細胞の核の標識に使用することができます。これらの色素は、死細胞または固定および/または透過処理した細胞などの損なわれた膜を有する細胞の核も染色します。細胞透過性の核染色剤の例としては、Hoechst染色剤やSYTO®などがあります。


図 2. 細胞透過性の核染色剤であるNucRed™ Liveで標識したHUVEC。
 


細胞非透過性の核酸用蛍光染色剤

細胞非透過性の核酸染色剤は、死細胞(生存度アッセイでの死細胞インジケーターとして機能します)や、固定および/または透過処理した細胞(免疫標識実験では核の対比染色として使用することができます)などの損なわれた膜を有する細胞の核の染色に使用することができます。細胞非透過性の核酸染色剤は、正常な、非透過性の膜を有する生細胞を標識しません。 細胞非透過性の核染色の例としては、DAPI、ヨウ化プロピジウム、 TO-PRO®-3およびSYTOX®染色剤などがあります。

Live and dead HEPG2 cells stained using the LIVE/DEAD® Cell Imaging Kit. Dead cells (red) are labeled with a cell-impermeant dye (DeadRed™ reagent) and live cells (green) are stained with calcein. Nuclear staining of fixed and permeabilized U2OS cells using NucBlue™ Fixed reagent (a form of DAPI).

図 3. LIVE/DEAD®細胞イメージングキットを使用して染色したHEPG2の生細胞と死細胞 死細胞(赤色)は細胞非透過性の色素(DeadRed™ 試薬)で標識し、生細胞(緑色)はカルセインで染色した。
 
図 4. 固定・透過処理したU2OS細胞のNucBlue™ 固定試薬(DAPI型)による核染色。
トラブルシューティング
蛍光色素を初めて使用する場合、あなたが所有する細胞を用いて様々な濃度の蛍光色素をテストすれば、有用なデータが得られます。このテストにより、あなたが決めた実験条件下で、細胞を用いて最良の濃度を決定しやすくなります。一般に、あらゆるタイプの蛍光イメージング実験において、生細胞実験中に想定される毒性を最小限に抑えるのに必要な最も低い濃度の核酸色素を使用して、シグナル:バックグラウンド比を最大限にすることが最善です。


シグナル:バックグラウンド比の改善

シグナル:バックグラウンド比を改善する必要がある場合、いくつか試すことのできる方法があります。色素で試料を標識した後に、洗浄ステップを実施します。完全培地または緩衝液で数回洗浄すれば、結合していない色素または余分な色素を試料から除去しやすくなります。このアプローチは、蛍光色素がターゲットに堅く結合している場合や、観察中にあまり分離しない場合に効果があります。もう一つのアプローチは、リンゲル液、PBS、HBSSまたは他の透明な緩衝液などの生理食塩水をベースとした光学的に透明な溶液中の試料を観察することです。こうした溶液は培地中のビタミンおよびタンパク質から生じるバックグラウンド蛍光への寄与を除きます。


核染色が異なれば、インキュベーションに必要な条件も異なります

一部のタイプの高親和性核色素は、除去しないと、生細胞アッセイ中に核の中で蛍光色素が蓄積し続け、シグナル強度も増加し続けることがあることにご留意ください。これに反し、一部の生細胞核染色剤は低親和性であり、実験の間中シグナルを保持するために染色液を維持しなければなりません。生細胞の核を染色するためにどのタイプの蛍光色素を使用しようとしているのかを知ってから、実験を始めるのがよいでしょう!


たった5分間で核染色のことがわかります

あなたが生細胞を扱う研究をしており、生細胞のすべてを染色する(細胞透過性の核染色)か、死細胞のみを染色する(細胞非透過性の核染色)場合、5~15分後に蛍光を確認し始めることができますが、このインキュベーション時間を最適化する必要があるかも知れません。このことは、1回目のインキュベーション後、通常10分ごとに最大30分間まで蛍光を確認することを意味します。生細胞を観察する場合、露光時間は必ず短くして、光褪色や光毒性を防いでください。一旦、満足のいくシグナルが得られたと判断したならば、実験を進ませ、好ましくは以前照らし出されなかった細胞の領域で最終的な撮影をすることが可能となります。

Example of incomplete live-cell nuclear staining.  

免疫蛍光標識をした後に対比染色を実施する場合は、細胞を固定・透過処理し、おそらく緩衝生理食塩水中で染色することにより、細胞のシグナル強度が約5分後に最大になるのを予測することができます。

図 5. 不完全な生細胞核染色の例。 NucBlue™ Live(ヘキスト33342型)でインキュベートしたU2OS細胞中の核の割合は、均一な染色でないことを示しています(核中央の暗い領域)。 さらにインキュベーションを行って、すべての核が均一に染色されるようにする必要があります。

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For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.