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Applied Biosystems™ の TaqMan® リアルタイム PCR アッセイには、対象配列特異的なプライマーペアと 1 種類以上のプローブが含まれており、研究用途ごとに最適化されています。用途ごとのアッセイの作用機序について、以下に説明します。

TaqMan® Gene Expression Assays は、 5' ヌクレアーゼケミストリーを基としており、蛍光プローブを使用することで、PCR 中に増幅する特定のPCR産物の検出を可能とします。

アッセイ中に含まれるもの:

  • 非標識プライマー: 1 組
  • 5' 末端が FAM™ または VIC™ 色素で標識され、3' 末端にマイナーグルーブバインダー (MGB) と非蛍光クエンチャー (NFQ) が付加された TaqMan プローブ: 1 種類

TaqMan Gene Expression Assay のプロセスを以下の図に示します。

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  1. リアルタイム PCR の開始時には、二本鎖 cDNA を解離させるため、反応温度を上昇させます。このステップの間、 TaqMan プローブ 5' 末端の蛍光色素のシグナルは3' 末端の NFQ により消光されます。
  2. 次のステップでは、プライマーとプローブを特異的なターゲット配列にアニールさせるため、温度を低下させます。
  3. Taq DNA ポリメラーゼは、非標識プライマーから、ターゲット配列を鋳型にして、その相補鎖を合成します。ポリメラーゼ が TaqMan プローブまで到達すると、ポリメラーゼの内在性 5' ヌクレアーゼ活性によりプローブが分解され、クエンチャ―とレポーター色素が離れることで、NFQ により消光されていた蛍光色素のシグナルが発生します。

PCR サイクルごとにさらに多くの蛍光色素が分離することで、増幅産物の合成量に比例して蛍光強度が増加します。

TaqMan MGB プローブには MGB が含まれているため、マッチしたプローブとミスマッチのプローブのTm値の差をより大きく区別することができます。また、TaqMan MGB プローブには、NFQ が含まれていることで、複数の蛍光色素を用いた場合の各蛍光色素のスペクトル分解能が向上しています。

TaqMan Gene Expression Assays ›

TaqMan プローブの検出の仕組みは、「TaqMan Assays の作用機序」を参照ください

TaqMan ジェノタイピングアッセイ (TaqMan® SNP Genotyping Assays および TaqMan® Drug Metabolism Genotyping Assays) には、最適化された PCR プライマーペアと 2 種類のアレル特異的なプローブが含まれます。

各アッセイに含まれるもの:

  • 1 組の非標識プライマー
  • 2 種類の TaqMan プローブ (一方は 5' 末端を FAM、もう一方は VIC で標識し、3' 末端にマイナーグルーブバインダー (MGB) と非蛍光クエンチャー (NFQ) を付加したプローブ)

TaqMan ジェノタイピングアッセイは、ゲノム DNA (gDNA) における特定のアレルを増幅・検出するために使用されます。TaqMan SNP Genotyping Assay のプロセスを以下の図に示します。

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  1. TaqMan® Genotyping Master Mix、フォワードプライマーおよびリバースプライマーならびに 2 種類の TaqMan® MGB Probe からなる反応液にゲノム DNA を加えます。
  2. 各 TaqMan MGB Probe は、フォワードプライマーとリバースプライマーの結合部位間に相補的な配列が存在する場合、そこに特異的にアニールします。プローブがインタクトな状態ではクエンチャーがレポーターに近接しているため、レポーター色素の蛍光が抑制されます。
  3. AmpliTaq Gold® DNA Polymerase のエキソヌクレアーゼ活性により、ターゲットにハイブリダイズしたプローブのみが分解されます。プローブの分解により、レポーター色素はクエンチャ―から離れ、レポーター色素からの蛍光が増加します。増幅されたターゲット配列がプローブと相補的である場合のみ、蛍光の増加が生じます。このようにして PCR 増幅によって得られた蛍光シグナルは、サンプル中のアレルを示します。

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TaqMan® Copy Number Assays は、TaqMan® Copy Number Reference Assay と併せたマルチプレックスリアルタイム PCR に使用いたします。Copy Number Assay は、ターゲット遺伝子または目的のゲノム配列を検出します。一方 Reference Assay は、二倍体のゲノムにおいて 2 コピーで存在することが知られている配列を検出します。 

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PCR 工程:

a. TaqMan® Copy Number Assay、TaqMan® Copy Number Reference Assay、TaqMan® Genotyping Master Mix、およびgDNA サンプルを 1 つのウェルまたはチューブで混合します。

b. gDNA テンプレートが変性し、各アッセイのプライマーセットが特異的なターゲット配列にアニールします。各 TaqMan® プローブは、フォワードプライマーとリバースプライマーの結合部位間の相補的な配列に特異的にアニールします。各プローブがインタクトな間はクエンチャーがレポーター色素に近接しているため、レポーター色素の蛍光シグナルが消光されています。

c. 各サイクル中、AmpliTaq® Gold DNA Polymerase によって、ターゲット配列とリファレンス配列が同時に増幅されます。この酵素の持つ5′ ヌクレアーゼ活性により、各アンプリコン配列にハイブリダイズしたプローブが分解されます。プローブが AmpliTaq Gold DNA Polymerase の5′ヌクレアーゼ活性によって分解されると、クエンチャ―がレポーター色素から離れ、レポーター色素からの蛍光が増加します。PCR 産物の蓄積は、PCR サイクル毎に生じた各レポーター色素からの蛍光増加をリアルタイムに測定することにより検出されます。

この相対定量法は、gDNA サンプルにおけるターゲット配列の相対的コピー数を決定するために用いられ、ゲノム中のコピー数が既知であるリファレンス配列によって標準化されます。

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Ask TaqMan #34 Copy Number Variation – How Does It Work?

TaqMan® Advanced miRNA Assays による定量は、リアルタイム PCR による検出前に cDNA 合成ステップが必要です。

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TaqMan Advanced miRNA Assay のワークフロー。

(A) cDNA 合成ワークフローでは、 3´ 末端へのポリ (A) 鎖付加および 5´ 末端へのアダプター配列のライゲーションのステップの後、ユニバーサル RT プライマーによる逆転写を行います。その後、オプションの miR-Amp 反応を行い、qPCR による検出前に miRNA cDNA を均一に増幅させます。

(B) 各 TaqMan Advanced miRNA Assay は、フォワードプライマーとリバースプライマーの結合部位の間の相補的な配列に特異的にアニールする minor groove binder (MGB) プローブを採用しています。この MGB 修飾は、プローブの長さを増加させることなく、融解温度を上昇させるため、より短いプローブの設計が可能です。ラン前のプローブは、非蛍光クエンチャー (NFQ) がレポーター色素に近接しているためレポーター蛍光が抑制されます。プライマー伸長中に、DNA ポリメラーゼによってプローブが分解されることにより、NFQ からレポーター色素が離れ、レポーターからの蛍光が増加します。

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Ask TaqMan #31 Finding The Right MicroRNA Assays

TaqMan® Mutation Detection Assays は、新しいcompetitive allele-specific TaqMan (castPCR™) テクノロジーをベースとしてデザインされています。アレル特異的な TaqMan qPCR をアレル特異性の高い MGB ブロッカーオリゴヌクレオチドと組み合わせることによって、ターゲット以外の非特異的な増幅反応を効率的に抑制します。

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Mutant Allele Assay / Wild type Allele Assay には、アレル特異的プライマー (赤色)、遺伝子座特異的プライマー (緑色)、およびアレル特異的ブロッカー (青色) が含まれます。サンプル中に存在する変異のレベルは、Mutant Allele Assay および対応する Wild type Allele Assay の ΔCt 、または Mutant Allele Assay および Gene Reference Assay の ΔCt をベースに算出されます。

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TaqMan® Protein Assays は proximity ligation assays (PLA™) を適合させた形態で、抗体-タンパク質結合をリアルタイムPCRによるレポーター核酸の検出に利用しています。

TaqMan Protein Assays のワークフロー

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細胞/組織の溶解

穏やかなワンステップの手法を用いて、緩衝された非イオン性界面活性剤中でサンプル (細胞または組織) を溶解します。未精製の細胞ライセートを直接使用するので、タンパク質精製の必要はありません。

抗体の結合

アッセイプローブは、ビオチン-ストレプトアビジン結合を利用してオリゴヌクレオチドを標識したターゲット特異的抗体です。プローブペアの各オリゴヌクレオチドは、5' または 3' 末端を提示します。これらの末端は、アッセイプローブペア上の各抗体がターゲットタンパク質の 2 つの異なるエピトープに結合すると接近します。

ライゲーション/不活性化

リガーゼの基質は、第 3 のオリゴヌクレオチドをアッセイプローブペアのオリゴヌクレオチド末端にハイブリダイゼーションすることで橋かけ構造を形成します。この構造は、ターゲットタンパク質に結合することで、アッセイプローブが互いに近接している場合に形成されやすくなります。

TaqMan Fast リアルタイム PCR の実行

ライゲーション産物は、TaqMan Protein Assay によるリアルタイム PCR の DNA 鋳型となり、タンパク質の検出と定量に使用されます。この作用機序には、Gene Expression Assay と同じく、非標識プライマーと TaqMan プローブ (5' 末端を蛍光標識、3' 末端に非蛍光クエンチャー (NFQ) を付加) が使用されます。

データの解析

TaqMan Protein Assay のデータは 弊社から無償で提供している ProteinAssist™ Software を使用して解析します。

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