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目的のタンパク質の存在を確認するためには、ウェスタンブロッティングなどさまざまな手法がありますが、それらは検出までに、煩雑な手間や多くの時間がかかることがあります。 Thermo Scientific™ Pro-Detect™ Rapid Assay Kit および Pro-Detect™ Rapid Competitive Assay Kit は、特定のアフィニティタグが付加されたタンパク質を検出するストリップ式の検査試験紙です。希釈したサンプル溶液に試験紙を 10 ~ 15 分程度浸すと、ラテラルフロー(水平流動)により、視覚的に目的タンパク質を確認できます。短時間で検出できるので、タンパク質発現や精製工程において、目的のタンパク質が得られているかどうかをリアルタイムでモニターすることができます。
研究開発専門家によるアッセイ技術の詳細は、オンデマンドのポスター発表を視聴するか、アプリケーションノートをダウンロードしてください。
図 1:Pro-Detect rapid assay kit は、サンドウィッチ法によるラテラルフローアッセイです。ストリップ下部のコンジュゲートパッド部分に、アナライト(アフィニティタグ)に特異的な金標識抗体が埋め込まれています。判定ライン上には、アナライトに特異的な検出用抗体が、ストリップ上部のコントロールラインにはコントロール用の二次抗体が配置されています (A)。ストリップをサンプルに浸すと、サンプル中のアナライトを捕捉した金標識抗体、もしくはアナライトを補足していない金標識抗体がストリップ上を移動し、それぞれアナライトの判定ラインとコントロールラインに分かれ、赤いバンドとして見えてきます (B)。判定ラインにバンドが出なければサンプルは陰性です (B)。一方、判定ラインとコントロールラインの両方にバンドが出ればサンプル中にアナライトが存在していることを意味します (C)。
図 2:Pro-Detect competitive assay は、競合法によるラテラルフローアッセイです。ターゲットとなるアナライトが3本の判定ラインに別れて固定化されています。コントロール抗体はコントロールラインに固定化されています。アナライトに特異的な金標識捕捉抗体が、コンジュゲートパッド部分に含まれています (A)。サンプル中にアナライトが存在しない、または濃度が検出レベル以下である場合(陰性)、ラテラルフローによりストリップ上を移動した金標識捕捉抗体は判定ライン上に固定化されたアナライトに結合し、目視可能な3 本の赤い判定ラインを形成します (B)。一方、サンプル中にアナライトが含まれている場合(陽性)では、コンジュゲートパッド部分の金標識抗体はサンプル中のアナライトと先に結合するため、ラテラルフローにより判定ラインまで移動しても、判定ライン上のアナライトとは結合しません。つまり、競合阻害により、判定ラインにはライン(赤色)が出ません。サンプル中に含まれるアナライトの濃度は、ストリップ上に観察される判定ラインの数に反比例します (C)。陽性および陰性の両方において、金標識捕捉抗体はコントロールライン上のコントロール用二次抗体と結合します。
アッセイタイプ | ターゲット | 検出濃度範囲* | 補足 |
---|---|---|---|
サンドウィッチ法 | DYKDDDK-His | 0.1 ~ 10 µg/mL | ラテラルフローアッセイは、この範囲外でも検出可能ですが、濃度がより高い、あるいは低い場合、バンドが薄くなることがあります。0.01 μg/mL より低濃度での使用はお勧めしません。 |
SUMO | |||
GST | |||
MBP | |||
ヒト Fc | |||
ウサギ Fc | |||
マウス Fc | |||
競合法 | His | 4 ~ 20 µg/mL | 競合法は、 1 μg/mL まで検出可能ですが、バンドが薄くなり判別が難しい場合があります。濃度の上限はなく、20 μg/mL より高い濃度でも陽性結果を示し、判定ラインの完全な消失が観察されます(サンプルに近い側の判定ラインから消失し始めます)。1 μg/mL より低濃度での使用はお勧めしません。 |
DYKDDDK | |||
HA | |||
Strep | |||
AVI | |||
Myc | |||
V5 |
* 最適な結果を得るためには、適した濃度になるようにサンプルを希釈することを推奨します。濃度範囲はターゲットとなるサンプル中のタグ付きタンパク質の濃度に基づいています。
タンパク質の発現と精製において一般的に使用される様々な濃度の界面活性剤や塩の存在下で、Pro-Detect rapid assayの性能を評価しました。下表は、各アッセイにおける界面活性剤と塩の影響をまとめたものです。
表中の濃度はタンパク質サンプル中における実濃度を示しています。Pro-Detect rapid assay (サンドウィッチ法)では、ネガティブコントロール(0 µg/mL)と 0.1 µg/mL のポジティブコントロールタンパク質を用いて評価しました。また、Pro-Detect competitive assay (競合法)では、10 µg/mL のポジティブコントロールタンパク質を用いて評価しました。添加物は全て PBS に加えました。各添加物の分析に影響しなかった濃度条件は下表のとおりです。
Assay type | Target | NaCl | Urea | TX 100 | SDS | NP40 | EDTA | Gly-cerol | KCl | CHAPs | RIPA | BPER | MPER |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
サンドウィッチ法 | DYKDDDDK – His (Double Tag) | 1.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 7.5 mM | 10% | 1.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% |
SUMO | 1.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 7.5 mM | 10% | 1.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% | |
GST | 1.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 7.5 mM | 10% | 1.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% | |
MBP | 1.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 7.5 mM | 10% | 1.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% | |
ヒト Fc | 1.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 7.5 mM | 10% | 1.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% | |
ウサギ Fc | 1.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 7.5 mM | 10% | 1.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% | |
Mouse Fc | 1.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 7.5 mM | 10% | 1.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% | |
競合法 | His | 0.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 5 mM | 10% | 0.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% |
DYKDDDDK | 0.25 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 5 mM | 10% | 0.25 M | 1% | 90% | 90% | 90% | |
HA | 0.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 5 mM | 10% | 0.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% | |
Strep II | 0.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 5 mM | 10% | 0.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% | |
AVI | 0.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 5 mM | 10% | 0.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% | |
Myc | 0.25 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 7.5 mM | 10% | 0.25 M | 1% | 90% | 90% | 90% | |
V5 | 1.5 M | 0.4 M | 1% | 0.20% | 1% | 7.5 mM | 10% | 1.5 M | 1% | 90% | 90% | 90% |
図 3:クルードライセート、および精製タンパク質を用いた Pro-Detect rapid GST assay の交差反応性評価。図に示されるとおり、哺乳類、バクテリア、sf9 細胞の内因性タンパク質(レーン 1 ~ 5)、または非特異的なタグ付きのタンパク質(レーン 7 ~ 19)でPro-Detect rapid GST assay を評価した結果、交差反応性は認められませんでした。また、10% FBS を含む 100% MEM培地の場合でも交差性は検出されませんでした。CHO および Hela 細胞のライセートは、10 mM Hepes、150 mM KCl および 1 mM Mg(OAc)2 を含むバッファー中で、窒素によるキャビテーション法を用いて調製し、1 mg/mL の濃度で使用しました。HEK 293 ライセートは、Pierce IP Lysis Buffer (Cat.No. 87787)を用いて調製し、1 mg/mL で使用しました。BL21 ライセートは、B-PER Bacterial Protein Extraction Reagent(Cat.No. 90084)を用いてメーカーの指示通り調製し、 Pro-Detect dilution buffer で 4 倍希釈して最終濃度を約185 µg/mLとしました。GST、MBP、SUMO および Fc タグタンパク質などの精製タンパク質は、0.1 µg/mL で使用し、他のより小さなタグを含むタンパク質(レーン 13 ~ 19)は、10 µg/mL で使用しました。必要に応じて Pro-Detect dilution buffer によりサンプルを希釈し、96 ウェルマイクロタイタープレートでトータルボリュームを 100 µL にしました。それぞれの Pro-Detect rapid GST assay のストリップを各ウェルに 15 分間浸しました。判定ライン(T)における赤線の出現はストリップのスキャンまたは携帯電話による写真撮影によって確認しました。
ウェスタンブロッティングは、混合物中に存在する特定タンパク質の同定法として、幅広く利用されている技術です。しかし一般的にこの手法は、多くの調製ステップと実験時間を必要とし、多くの時間と労力を必要とします。Pro-Detect rapid assays は、サンプル溶液に試験紙を 10 ~ 15 分程度浸すだけで、ウェスタンブロッティングと同等の正確さで、視覚的に目的タンパク質の存在を確認できます。
図 4:GSTタンパク質の検出:Pro-Detect Rapid GST Assay 、Coomassie dye R-250 によるタンパク質染色、および化学発光によるウェスタン検出による比較。
左パネル:精製 GST タンパク質を 4 ~ 12%の SDS-PAGEで 分離し、Imperial stain (Cat.No. 24615) で 1 時間染色後、水による3時間の洗浄工程を数回繰り返しました。
中央パネル:精製 GST タンパク質を 4 ~ 12%の SDS-PAGE で分離し、Pierce Power Blotter (Cat. No. 22834) および 1-Step Transfer Buffer (Cat. No. 84731) を使用して、ニトロセルロース膜 (Cat.No. 88018) に転写しました。膜を Starting block T20(Cat.No. 37543)でブロッキングし、抗 GST 抗体(Cat.No. MA4-004)とインキュベーション後、HRP 標識ヤギ抗ウサギIgG(H+L)二次抗体(Cat.No. 34265)10 ng/mL を用いて反応させました。化学発光検出は SuperSignal West Pico PLUS chemiluminescent substrate(Cat.No. 34580)で 5 分間インキュベーションしました。シグナルは iBright Imager(Cat.No. A32752)を使用し、さまざまな時間で取得しました。上記の結果は 10 秒間の露光により取得した画像です。
右パネル:図に示した濃度の精製 GST タンパク質を 96ウェルマイクロタイタープレート内で、ProDetect Sample dilution Buffer によりトータルボリュームが 100 µL になるように希釈しました。ProDetect Rapid GST assay のストリップを各ウェルに 15 分間浸しました。判定ライン(T)における赤線の出現はストリップのスキャンまたは携帯電話による写真撮影によって確認しました。 タンパク質濃度が検出範囲の上限(通常は約 1 ug/mL)をより高い場合、フック効果と呼ばれる現象によって、シグナルが低下し偽陰性が生じる場合があります。そのような場合、サンプル濃度が推奨範囲になるようにサンプルを 10〜100 倍に希釈することを推奨します。
図 5:Hisタグタンパク質の検出:Pro-DetectRapid DYKDDDDK Competitive Assay と Coomassie dye R-250 によるタンパク質染色、および化学発光によるウェスタン検出の比較。
左パネル:精製した DYKDDDDK タグ付きリコンビナントタンパク質を 4 ~ 12%の SDS-PAGE で分離し、Imperial stain(Cat.No. 24615)で 1 時間染色後、水による 3 時間の洗浄工程を数回繰り返しました。
中央パネル:精製した DYKDDDDK タグ付きリコンビナントタンパク質を 4 ~ 12%の SDS-PAGE で分離し、Pierce Power Blotter(Cat. No. 22834)および1-Step Transfer Buffer(Cat. No. 84731)を使用して、ニトロセルロース膜(Cat.No. 88018)に転写しました。膜を Starting block T20(Cat.No. 37543)でブロッキングし、抗 DYKDDDDK 抗体(Cat.No. PA1-984B)とインキュベーション後、HRP 標識ヤギ抗マウス IgG(H+L)二次抗体(Cat.No. 31430)と 10 ng/mL の濃度で反応させました。化学発光検出は SuperSignal West Pico PLUS chemiluminescent substrate(Cat.No. 34580)で 5 分間インキュベーションしました。シグナルは iBright Imager(Cat.No. A32752)を使用し、さまざまな時間で取得しました。上記の結果は 2 秒間の露光により取得した画像です。
右パネル:精製した DYKDDDDK タグ付きリコンビナントタンパク質を 96 ウェルマイクロタイタープレート内で、 ProDetect サンプル希釈バッファーにより、トータルボリュームが 100 µL になるように希釈しました。各ウェルに ProDetect Rapid His competitive assay のストリップをそれぞれ 15 分間浸しました。His タグタンパク質の存在を意味する判定ライン(T)における赤線の出現はストリップのスキャンまたは携帯電話による写真撮影によって確認しました。
Pro-Detect Rapid Antibody Isotyping Kit は、イムノグロブリンの種類、サブクラス、そしてモノクローナル抗体の軽鎖タイプを迅速に分析する高感度ラテラルフローアッセイです。2 つの異なるフォーマット、Dipstick 式と Cassette 式の 2 種類があります。
For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.