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定性的あるいはボトムアッププロテオミクスは現在でもプロテオミクス解析の主流です。このワークフローの目的は、生物サンプルからなるべく多くのタンパク質を同定することです。ボトムアッププロテオミクスでは、まずタンパク質を酵素消化によりペプチドに断片化した後に、液体クロマトグラフィー(LC)でそれらの断片を分離し、最後に質量分析でペプチドを同定します。得られた配列データからサンプルに含まれるタンパク質を決定します。
プロテオミクスにおいてボトムアップ解析の汎用性は高く、多くのプロテオミクスワークフローにボトムアップ戦略が用いられています。このアプローチの第一ステップであるタンパク質の酵素消化処理には、通常トリプシンが使用されます。次に、生成されたペプチド混合液を、1次元または多次元LCを利用して分離します。LCから溶出したペプチドは、エレクトロスプレーイオン化法によりイオン化された後に、質量分析計内で断片化され、その情報を基に同定されます。
幅広いダイナミックレンジにわたる複雑な生体試料から高精度でペプチドを同定することは容易ではありませんが、ボトムアッププロテオミクスに求められる不可欠な要素です。高分解能精密質量(HR/MS)Orbitrap 質量分析計は、先進的な質量分解能、質量精度、フラグメンテーション、そしてスピードを実現しています。複数のフラグメンテーション技術(CID、HCD、ETD、EThcD)により、分析対象ペプチドの配列同定率を最大化できます。これらの要素が高度に統合された Orbitrap システムは、複雑なプロテオミクスサンプルに対してかつてないほど高度かつ高精細なボトムアップ型のタンパク質同定を可能にします。
得られた生データは膨大な HR/AM Orbitrap MS データを含みますが、Thermo Scientific プロテオミクスソフトウェアの適切なデータマイニングにより、意味のあるデータへと変換されます。
Thermo Scientific Orbitrap Fusion Lumos トライブリッド質量分析計は 、Orbitrap 全装置の中でも最高の分解能を誇ります(m/z 200 で最高 500,000)。フルスキャン MS モードにおける検出感度と選択性に優れ、複雑なマトリクスでも迅速かつ網羅的に分析できます。高性能イオン源と高度な四重極技術により、微量分析が可能です。また、濃度未知のサンプルであってもADAPT 技術を備えた統合ユニバーサルメソッドを用いることで、分析条件の最適化なしに高品質な分析結果が得られます。
Thermo Scientific Q Exactive HF 四重極/Orbitrap ハイブリッド質量分析計は、超高電場 Orbitrap 質量分析計と高性能四重極マスフィルターを統合しており、感度を損なうことなく比類のない迅速分析を可能にします。以前の Q Exactive システム(Q Exactive MS、Q Exactive Plus Ms)と比べて Q Exactive HF MS は、同じスキャンスピードで 1.8 倍高い分解能、ほぼ同一の分解能設定(15,000 vs 17,500 @ m/z 200)で 2 倍のスキャンスピードの分析を実現します。これにより、半分の分析時間でほぼ同数のペプチドを同定が可能になります。
Thermo Scientific ProteinCenter ソフトウェアは複数の複雑なデータセットから迅速に意味ある生物学的情報を抽出し、プロテオミクスデータ解析を促進します。タンパク質およびペプチドのデータセットは異なるタイミングおよび実験で比較され、重複するデータは除外されます。ProteinCenter ソフトウェアデータベースは 1,000 万を超える non-redundant protein および 20 を超える公共データベースを含みます。
Thermo Scientific Proteome Discoverer ソフトウェアはボトムアッププロテオミクス解析用のもっとも包括的なデータ分析プラットフォームです。検索エンジンとして SEQUEST、Mascot、Byonicを使用して、CID、HCD、ETD、EThcD フラグメンテーションスペクトルのデータマイニングできる包括的なツールセットを搭載しています。1 度の測定で複数のモードのフラグメンテーションスペクトルを取得した複雑な生データの解析も可能です。その結果、Proteome Discoverer は高信頼性の 翻訳後修飾ペプチドの同定を可能にし、その修飾部位情報を提供します。