SureQuant Targeted Quantitation

標的タンパク質定量の新しいパラダイム

Thermo Scientific SureQuant 標的アッセイキットおよび LC-MS Orbitrap MS とともに使用すれば、SureQuant IS ターゲット定量ワークフローでサンプル調製から標的ペプチドのモニタリング、定量までの質量分析の全プロセスを行えます。簡単なセットアップで信頼性の高い結果が得られます。

高い選択性を備えた HRAM Orbitrap MS は複合マトリックス中の数百のタンパク質を正確、高精度かつ特異的に定量できる高感度アプローチにより、標的プロテオミクスの新たなパラダイムを構築してきました。

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より多くの標的に対し感度を損なうことなく測定

Thermo Scientific SureQuant 標的質量分析アッセイキットはマルチップレックス標的タンパク質定量用の検証済み試薬セットです。すべてがそろっているこのキットには MS 性能のモニタリング、サンプル調製、標的タンパク質/ペプチドの絶対定量に必要な全試薬が含まれています。キットが検証済みというのは、すべての抗体、ペプチド、対照溶解物による特異性および各標的ペプチドの定量がうまくいくか、厳しい試験を受けていることを示します。また、各 SureQuant キットは SureQuant 機器のメソッドテンプレートでの使用について十分に検証、最適化されているため、アッセイ手法開発のための時間は一切必要ありません。検証済み Skyline データ処理テンプレートも各キットに含まれており、アッセイからすぐに結果を得ることができます。

高機能をシンプルに

最新機器である Orbitrap Exploris 480 質量分析計は、実証済みの技術、高度な性能、コンパクトな設置面積、インテリジェンス主導型分析フレームワークにより、研究者が質量分析計をより広範囲に活用して、精密かつ高いスループットのタンパク質同定および定量を行えるようにします。Orbitrap Exploris MS は、SureQuant 定量ワークフローと連携して、内部標準を活用してスキャンパラメーターを動的に調整し、ターゲットプロテオーム解析のデータ品質を自動的に最大化するデータ認識型定量スキャンモードをリアルタイムで提供します。

一つのシステムで最大の知見を得て、今以上の発見を

Orbitrap Eclipse トライブリッド質量分析計を使用すれば、優れた柔軟性をもたらす革新的テクノロジーにより実験範囲が広がり、また、ビルトインインテリジェンスにより最高レベルのデータ品質と信頼性が確保されるため、従来の LC-MS における制約を乗り越えられます。一つのシステムで最大限の知見が得られるため、生産性が上がり今以上の発見ができます。SureQuant 定量ワークフローにより、標的が複数あることと感度や選択性の間の避けられないトレードオフを低減し、標的タンパク質パネルのサイズを拡大し、保持時間枠を使用することなく検出限界(LOD)と定量精度を顕著に向上させます。


SureQuant ワークフローにより従来の制約をどのように乗り超えるか

タンパク質は細胞の生化学的機能のほとんどを担っており、多くの医薬品のターゲットになっています。個々のタンパク質の機能や、複雑な生物系におけるそれらの位置付けを理解するには、その系におけるタンパク質存在量の変化を測定する必要があります。高感度質量分析技術の登場により、サンプルと生物系の間のプロテオームワイドなタンパク質比較定量実験が行えるようになりました。

しかしながら、タンパク質測定の根幹にある課題は残っています。

  • 発現のダイナミックレンジはマトリックスの種類によって異なり、組織中では 6 ~ 7 桁、血漿や血清などの体液中では約 12 桁の幅があります。
  • pre-RNA の選択的スプライシングで生じるプロテオフォームについても考慮する必要があります。
  • 翻訳後修飾(PTM)がプロテオフォームのバリエーションを増やします。
     

プロテオームの複雑さ

Complexity of the proteome
細胞は外部因子から常に刺激を受けるため、ダイナミクスや特性を変化させ、内部のタンパク質に影響を与えます。タンパク質発現は細胞タイプにより異なるため、取り扱う細胞によりタンパク質は異なり、考慮すべきプロテオフォームが多くあります。遺伝子変異や選択的スプライシングによる複数の RNA 転写物、および翻訳後修飾(posttranslational modification;PTM)の結果、同じ遺伝子由来の複数のタンパク質があります。タンパク質発現量もまた、サンプルまたは細胞タイプにより異なる場合があります。タンパク質の空間分布はタンパク質活性に影響を与えます。外部因子はタンパク質の発現量や空間分布に影響を与え、大部分のタンパク質は生理活性のために相互作用します。
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タンパク質の変化が相対定量実験または仮説に基づく方法により認められる場合は、そのタンパク質をより大きなサンプル集団で検証する必要があります。これらの標的タンパク質の測定は相対的または絶対的なレベルで実施され、この方法をターゲット定量(標的定量)と呼びます。

従来の標的タンパク質定量におけるバリデーションの課題

従来の標的タンパク質定量アッセイは ELISA、ウェスタンブロッティング、免疫組織化学染色といったアフィニティー試薬を用いる方法で行われます。これらの方法にはダイナミックレンジ、特異性、感度に関する制約、そして検出・定量可能な標的数が少ないといった制約がありました。

質量分析を用いた標的タンパク質定量で信頼できる結果を大量に取得

質量分析を用いた標的タンパク質定量は上述の制約を乗り越えるのに非常に適した方法です。従来、トリプル四重極質量分析計を用いた選択反応モニタリング(SRM)-MS がターゲット定量実験のもっとも標準的な方法でした。ただし、これは標的タンパク質が複雑なマトリックス中になく、標的の数が少ない(20 ~ 100 ペプチド)場合に限られます。

HRAM Orbitrap MS を用いた SureQuant IS 標的タンパク質定量ワークフローにより、高感度マルチプレックス定量を多数の標的について他に類を見ない信頼性で実施できます。これにより、生命科学者は高感度の質量分析を用いてユニークかつインテリジェントなリアルタイムモニタリングを行い、タンパク質定量ができます。標識された内部標準ペプチドを活用して内在性ペプチドをリアルタイムで取得することにより、サンプルを損なうことがなく、簡単なメソッド設定で、数百のターゲットの信頼性の高い定量が実現します。

SureQuant IS 標的タンパク質定量の全体的なワークフローにはニつのステップがあります。

  1. リ内部標準(IS)の検出可能性を調べる Survey Run
  2. 内因性/標的ペプチドの発現および定量をモニタリングする SureQuant メソッド

ステップ 1:内部標準の強度を測定する Survey Run

Survey Run 分析では代表サンプルマトリックスに添加された内部標準の検出について評価します。研究開始時にユーザーが選んだ LC-MS 構成で 1 回のみ実施すればよく、その後の調整は必要ありません。この分析で、各 IS の最適なプリカーサーイオンを検証し、最適な関連フラグメントイオンが検出されることを確認します。IS のシグナル強度およびそれによって誘発される強度も Survey Run で測定します。データ処理は Skyline で実施します。Skyline がこれらの情報をエクスポートし、その情報は単純なコピー&ペーストで SureQuant メソッドに転送されます。SureQuant メソッドに必要な情報がインポートされ、この一度きりの調整が完了すると、IS が添加されたサンプルのルーチン標的分析ができるようになります。


ステップ 2:モニタリング、検出、定量を行う SureQuant メソッド

Thermo Scientific SureQuant メソッドは、質量分析計がサンプル中の参照 IS を短い注入時間と低い分解能でモニタリングするようプログラムし、検出時にこれらのパラメーターを大幅に増大させることで内因性ペプチドのデータ品質を高めるという MS データ取得方法です。データ取得時間をリアルタイムでモニタリングすることにより、分析物の定量にあてる時間を最大化し、より多くの標的を高い信頼性で検出・定量して、標的プロテオミクス実験を行うことができます。内蔵された positive IS control により、サンプル中のタンパク質の有無の LOD を明確に測定でき、多くの生物学実験で必要なタンパク質のコピー数(発現量)の評価を実施できます。


SureQuant 内蔵の検証済み機器メソッドテンプレートで時間を節約

Survey Run および SureQuant メソッド分析用の検証済み機器メソッドテンプレートが提供され、AKT/mTOR 経路キットなどの SureQuant 標的 MS アッセイキット向けにあらかじめ設定されています。こうしたテンプレートでは、ペプチドプリカーサーや参照フラグメントイオン、機器パラメーターが最適化され、あらかじめ設定されているので、アッセイを確立するための時間は必要ありません。内部標準を添加し、データを収集するだけです。カスタムタンパク質パネルアッセイの確立を容易にする Generic SureQuant メソッドも使用可能です。


SureQuant IS 標的タンパク質定量ワークフロー関連製品

下記ワークフローの各ステップは簡便性および再現性の面で最適化されており、単一サンプル中に含まれる数百の標的タンパク質が正確かつ高精度で定量できるよう設計されています。

標的タンパク質の濃縮と定量を同時に行うためのマルチプレックス免疫沈降から質量分析(mIP-MS)までを行えます。各マルチプレックスパネルはニつのモジュールで構成されています。1)AKT/mTOR 経路タンパク質の免疫濃縮および溶液内での MS サンプル調製に必要な全試薬からなる IP および MS サンプル調製モジュールおよび 2)システム適合性標準液および AQUA UltiMate Heavy および/または Light ペプチド混合液からなる絶対または比較定量モジュールのニつです。

Thermo Scientific EASY-Spray LC カラムは、安定したナノキャピラリーフロー LC-MS を実現します。カラムとエミッターの一体型デザインにより、デッドボリュームがなくなると同時に温度管理も行われるため、信頼性と性能が最大限に引き出されます。厳しい検査によって最高品質が保証されたこれらのカラムは、非常にシンプルで使いやすい設計です。

標的タンパク質の濃縮と定量を同時に行うためのマルチプレックス免疫沈降から質量分析(mIP-MS)までを行えます。各マルチプレックスパネルはニつのモジュールで構成されています。1)AKT/mTOR 経路タンパク質の免疫濃縮および溶液内での MS サンプル調製に必要な全試薬からなる IP および MS サンプル調製モジュールおよび 2)システム適合性標準液および AQUA UltiMate Heavy および/または Light ペプチド混合液からなる絶対または比較定量モジュールのニつです。

Thermo Scientific EASY-Spray LC カラムは、安定したナノキャピラリーフロー LC-MS を実現します。カラムとエミッターの一体型デザインにより、デッドボリュームがなくなると同時に温度管理も行われるため、信頼性と性能が最大限に引き出されます。厳しい検査によって最高品質が保証されたこれらのカラムは、非常にシンプルで使いやすい設計です。

SureQuant 定量メソッドに関するポスター