インタクトタンパク質分析

タンパク質測定の科学

インタクトタンパク質分析は、トップダウン分析における分子量測定、翻訳後修飾(PTM)(例:モノクローナル抗体のグリコシル化)といったさまざまな目的で実施されます。インタクトタンパク質の詳細な特性評価は濃縮または精製したタンパク質を用いて行います。エレクトロスプレーイオン化(ESI)と直接注入、あるいは液体クロマトグラフィー(LC)を組み合わせて、これらのタンパク質を質量分析計(MS)に導入します。

直接注入することの主な利点はシグナルの平均化に、より多くの時間を割けるということです。しかしながら、多くのインタクトタンパク質混合液は MS への導入前に分離が必要です。これはプリカーサーイオンスペクトルの複雑さを低減し、イオンサプレッションを最小化する目的で実施します。分離はオフライン LC でもオンライン LC でも実施できます。高分解能精密質量(HRAM)分析もインタクトタンパク質分析では非常に重要です。

担当者へのお問い合わせ


インタクトタンパク質分析ソリューション
タンパク質の複雑さを最小化して同定

MS によるインタクトタンパク質分析を成功させるにはサンプルの複雑さを最小化する必要があります。インタクトタンパク質検出の閾値が低くなることをできる限り避けるため、タンパク質は他のタンパク質やさまざまなプロテオフォームと十分に分離させる必要があります。Thermo Scientific ProSwift RP-4H LC カラムは MS 分析前のインタクトタンパク質の分離に最適です。また、ミリリットルからマイクロリットルレベルの流量で使用可能です。

超高分離度を実現

Thermo Scientific ProFlow 技術を採用した Thermo Scientific UltiMate 3000 RSLCnano システムなどの Thermo Scientific UltiMate 3000 Rapid Separation システムは、インタクトタンパク質の超高分解能での分離を実現するため、ミリリットルからナノリットルレベルの流量で分離が可能であり、質量分析計との統合も容易です。インタクトタンパク質アプリケーションにおける最高レベルの分解能、感度、選択性を提供します。

最高レベルの分解能を体験

Thermo Scientific Orbitrap Fusion Lumos トライブリッド質量分析計の超高分解能精密質量(ultra HRAM)性能により、インタクトタンパク質分析が実施できます。このシステムは Orbitrap ベースの全機器の中でもっとも高い分解能をもち(m/z200 で最大 500,000)、独自の高度な真空技術のおかげで、イオン透過率およびインタクトタンパク質の質量スペクトルの品質が向上しています。こうした特長が個々の同重体タンパク質の濃縮とその後のトップダウン解析を効率化します。

高分子量インタクトタンパク質を分析

Thermo Scientific Q Exactive HF ハイブリッド四重極-Orbitrap 質量分析計はインタクトタンパク質モードが選択でき、このモードにより複合インタクトタンパク質の高分解能分析やより高分子量、高電荷のタンパク質(抗体全体やその軽鎖、重鎖など)の詳細な特性評価が可能です。Q Exactive HF MS の分解能が加われば、最大 50 kDa のタンパク質や生物学的製剤のルーチン分析をより詳細に行えます。

タンパク質特性評価を高速で実施

タンパク質の PTM 分析も可能なスタンドアローンプラットフォームである Thermo Scientific ProSightPC ソフトウェアにより、トップダウンおよびミドルダウンプロテオミクスデータの解析を高速化できます。ProsightPC ソフトウェアは高分解能/精密質量 MS および MS/MS データを用いてインタクトタンパク質やタンパク質消化物を同定するだけでなく、これらのデータを UniProt などのプロテオームリポジトリと照合できます。


インタクトタンパク質分析ワークフロー