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多くのタンパク質はアミノ酸残基に何らかの翻訳後修飾(PTM)を受けます。PTM はタンパク質、核酸、脂質、コファクター間の相互作用を制御します。PTM はタンパク質の「ライフサイクル」中いつでも起こる可能性があり、触媒作用、タンパク質間相互作用、分解などのプロセスで生物学的機能に影響を与えます。
プロテオームは複雑かつ動的なので、PTM は無数の外的刺激に影響されます。そのため、細胞活性の制御に利用されます。グリコシル化やリン酸化は、シグナル経路や活性化経路において非常に重要であり、質量分析(MS)やその他の技術によって解析することで病態に関する知見が得られます。そのため、これらの PTM は研究者の間で特に注目されています。
グリコシル化は細胞間認識や相互作用からタンパク質活性化の制御までさまざまな生化学的プロセスにおいて重要な役割を果たしています。グリカンの多くは疾患が原因で発現レベルが変化するため、その変化を検出し定量することで非常に重要な診断情報が得られます。MS は多様な生物や細胞系統由来の複合混合物を分析できる能力と感度を備えているため、グリコシル化を検出できる非常にパワフルなツールです。
標準的なグリコプロテオミクスのワークフローでは、MS 分析に先立ち、複雑さを最小化するためのサンプル濃縮が行われます。グリコシル化部位の特定、ペプチド配列の解明、グリカン組成の決定にはマルチプルフラグメンテーション法がよく用いられます。
リン酸化はセリン、スレオニン、チロシン残基で起こり、すべての PTM の中でもっとも重要なものの一つであるため、詳細に研究されています。リン酸化は細胞周期増殖やアポトーシスなど多くの細胞プロセスの制御において、中心的な役割を担っています。また、数多くのシグナル伝達経路においても重要な役割を果たします。リン酸化という化学状態は生物学的プロセスにおいて重要であるため、ヒトの疾患に関する領域ではリン酸化の解明が非常に重視されています。
タンパク質リン酸化の研究は、リン酸化プロテオミクスと呼ばれています。一般的なリン酸化プロテオミクスのワークフローでは、サンプル濃縮の後、CID、HCD、EThcD、ETD といった相補的フラグメンテーション技術を用いた MS が実施されます。