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ポリスチレンは硬質で無毒性であり、優れた寸法安定性があります。水溶液への化学薬品耐性は良好ですが、溶媒への耐性は限られています。ガラス様の透明性を有するこの材質は、ディスポーザブルなラボ製品用に広く使用されています。

ポリスチレン製の製品は室温では脆弱で、ベンチの高さから落とすと亀裂が生じる、または破損する可能性があります。ポリスチレンは、オートクレーブはできませんが、気体エチレンオキシド滅菌またはガンマ線照射により滅菌することが可能で、多くの場合、いずれかによる滅菌済み製品として販売されています。

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ポリスチレンは炭化水素鎖に芳香環が結合した構造を有する極めて直線状の分子であり、表面処理が容易に行えます。 

  • エネルギー処理
    エネルギー的表面酸化により、ポリスチレン表面の親水性が向上し、水酸基およびカルボキシル基の官能基が形成されます。これらの親水性基は、細胞の細胞接着のために必要なタンパク質のアンフォールディングを促進します。培養ディッシュ上の接着細胞増殖には、この工程を使用して Thermo Scientific Nunclon Delta の組織培養表面の処理が行われます。

  • ポリマーグラフト
    ポリスチレンへのポリマーの共有結合により、細胞培養表面への特別な機能が付加できます(たとえば、超親水性のポリマーにより Low Cell Binding および HydroCell 表面への細胞の接着を防ぐことができます。また、熱応答性のポリマーにより外部培養温度を低下させて、細胞を酵素フリーで分離することが可能となります)。
  • 未処理のポリスチレン表面 は疎水性であり、細胞接着を防ぎます。未処理表面は、非接着細胞培養、ろ過用フィルターユニットや、分子または細胞の接着が不必要または望ましくないアプリケーションに有用です。
  • ポリスチレン表面は、受動的吸着、共有結合、または診断アプリケーション用の免疫表面作成のためのアフィニティーキャプチャー用に修飾することも可能です。

無毒性で透明な PS は、ろ過ユニットおよび96ウェルプレートなどのディスポーザブルなラボ製品で一般的に使用されています。添加剤が極めて少ないため、PS は組織培養アプリケーションのための高純度製品として優れた選択肢となります。PSの表面は、免疫学および分子生物学におけるさまざまなアプリケーションならびに培養細胞増殖のために修飾することが可能です。  

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物性Nalgene PS

温度

物性

透過性

滅菌[4]

規制

HDT[1]:82 ~ 96 ℃

最高使用温度[2]:90 ℃

脆弱性[12]:20 ℃

硬質

紫外線:耐性不良

透過性:無色透明

比重:1.05

マイクロ波[13]:不可

cc.-mil/ 100in2-24hr.-atm
N2:20~25
O2:300~400
CO2:1000 ~ 1500

cc.-mm/ m2-24 hr.-Bar
N2:7.8~9.7
O2:116~155
CO2:388~582

オートクレーブ:不可

EtO: 可

乾式加熱:不可

照射:可

消毒剤:種類により使用可能

非細胞毒性[6]:可

食品および飲料使用適合性[7]:可

21 CFR:177.1640


化学的適合性

下表には、20 °C における一般的な使用曝露評定が記載されています。化学的侵襲および損傷に対するプラスチック素材の耐性は、温度、化学物質への曝露時間および遠心分離などのさまざまなストレスにも影響されます。Nalgene 製品のさらに詳しい化学薬品耐性評定に関しては、本ページの最後に記載されているリソースを参照してください。

クラス一般評定
酸(希酸または弱酸)E
酸*(強酸、濃酸) F
アルコール(脂肪族)G
アルデヒドF
塩基/アルカリE
エステルN
炭化水素(脂肪族)F
炭化水素(芳香族)N
炭化水素(ハロゲン化物)N
ケトン(芳香族)N
酸化剤(強)G

*酸化性酸以外;酸化性酸に関しては、 「酸化剤、強酸化剤」を参照してください。

 E  30 日間の継続的な曝露において損傷を認められません。プラスチックは長年にわたる使用に耐性を示す場合もあります。
  試薬への 30 日間の継続的な曝露においてほとんどまたは、まったく損傷を認められません。
  試薬への 7 日間の継続的な曝露後にある程度の影響が生じます。プラスチックにより、ひび割れ、亀裂、強度低下または変色を生じる可能性があります。
 N  継続的な使用は推奨されません。深いひび割れ、亀裂、強度低下、変色、変形、溶解または透過性損失を含む瞬間的な損傷が生じる可能性があります。

ポリスチレン(PS)製品


Nalgene PS 製品アプリケーションのヒント

ポリスチレン製のラボウェアは室温では脆弱であり、衝撃を受けると亀裂を生じたり破損したりする可能性があります。他の多くのラボウェアポリマーとは異なり、PS ラボウェアは注意深く取り扱い、研究物質の損傷や損失を防ぐことが必要です。

ポリスチレンはリサイクル可能です。PS 製のラボウェアは、汚染性物質が付着していなければリサイクルすることが可能です。

ポリスチレンはオートクレーブ不可で、製品はオートクレーブ内で融解してしまいます。但し、PS 製培養容器を生物学的廃棄物として処分する前に、生物学的汚染物質を中和させると同時にプラスチック廃棄物の容量を低減させる目的でオートクレーブを使用することは可能です。

脚注:
[1].加熱たわみ温度は 66 psig (ASTM D648) の圧力下に置いた時に射出成形バーが 0.1” たわむ温度です。ノンストレスアプリケーションでは材質を加熱たわみ温度以上で使用することも可能です;使用最高温度を参照してください。
[2].最高使用温度°C:この温度は、継続的使用最高温度、延化/脆化温度およびガラス転移温度に関係し、強度の損失がほとんどまたは、まったく発生しない状態で数分間から 2 時間、ポリマーを曝露することが可能な最高温度を表します。
[4].滅菌:オートクレーブ(121 °C、15 psig で 20 分間)—オートクレーブ前に製品を洗浄して蒸留水ですすぎます。(オートクレーブ前には常にキャップを十分に緩めてください。)室温では樹脂に対して特に影響のない化学薬品であっても、オートクレーブ時の温度では劣化の原因となる場合があるため、事前に蒸留水によってこのような化学薬品の付着がないよう洗浄してください。
     気体 EtO —エチレンオキシド:100% EtO、EtO:窒素混合物、EtO:HCFC 混合物
     乾熱—ポリマー部分にストレスまたは負荷がかからない状態で 160 °C に 120 分間曝露
     消毒剤—塩化ベンザルコニウム、ホルマリン/ホルムアルデヒド、過酸化水素、エタノール、など
     照射—ガンマ線またはベータ線による 25 kGy(2.5 MRad)での非安定化プラスチックの照射
[6]。「可」は、WI38 ヒト二倍体肺細胞株に MEM 溶出法を使用する USP および ASTM 生体適合性試験スタンダードに基づいて、非細胞毒性であると同定された樹脂を示します。
[7].樹脂は、FDA、連邦食品・医薬品法の食品添加物改正法のセクション CFR21 の要件を満たしています。使用者は特定のアプリケーションにおいて使用される特定の容器に関して適合性検証を行う責任を負います。 
[12].脆化温度とは、その樹脂製の製品が落下した際に壊れる、または亀裂が生じる温度です。十分に注意して使用/取り扱いするかぎり、脆化温度は最低使用可能温度ではありません。
[13].空のラボウェアを 600 ワットで 5 分間照射する条件における評定。注意:使用最高温度を超える温度では使用しないでください。また、加熱によりプラスチックを損傷させるまたはプラスチックに急激に吸収される化学薬品にラボウェアを曝露させないでください。

 

テクニカルサポート

お客様のアプリケーションに最適な製品の選択に関しては、Nalgene テクニカルサポートチーム(+1-585-586-8800 または米国トールフリー番号 1-800-625-4327)までお電話いただくか、または電子メール で echnicalsupport@thermofisher.com までお問い合わせください。

オーストラリア、フランス、ドイツ、アイルランド、スイスおよび英国からは、テクニカルサポート(+800-1234-9696(トールフリー)または +49-6184-90-6321)までお電話いただくか、または電子メールで techsupport.labproducts.eu@thermofisher.com までお問い合わせください。

規制サポート:製品の規制文書または材質表示に関しては、Nalgene 規制サポート 宛に RocRegSupport@thermofisher.com までご連絡ください。