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ポリ塩化ビニル(PVC)はその構造がポリエチレンと類似していますが、各ユニットに塩素原子が含まれています。塩素原子により、いくつかの溶媒に影響されやすい性質を持ちますが、それ以上に多くのアプリケーションに対し高い化学薬品耐性を示します。PVC は油類に対する極めて良好な耐性を有し(精油を除く)、ほとんどの気体に対して非常に低い透過性を示します。
ポリ塩化ビニルは透明で、やや青みがかった色調です。可塑剤であるフタル酸エステルと混合すると、PVC は柔軟で成形可能となり、フレキシブルなチューブに押出成形することができます。可塑剤を添加しなければ、硬質の PVC パイプが得られます。医療アプリケーション用のチューブにおいては、使用されるフタル酸系可塑剤の健康への影響の可能性が懸念されるため、非フタル酸系の可塑剤を使用した新しい PVC 組成が入手可能となってきています。
しかし、Nalgene PVC チューブ製品は研究目的にのみ使用想定して製造されています。医療または医療機器アプリケーションには決して使用しないでください。
PVC はフレキシブルな研究用チューブ製造のために使用されます。
温度 | 物性 | 透過性 | 滅菌[4] | 規制 |
HDT[1]:–32 ℃ 最高使用温度[2]:71 ℃ 脆弱性[12]: –32 ℃ | 硬度[20]:Shore 55A 極めて優れた柔軟性 透明度:透明 比重:1.19 マイクロ波[13]:可[19] | cc.-mil/ 100in2-24hr.-atm cc.-mm/ m2-24 hr.-Bar | オートクレーブ:可[14] EtO:可 乾式加熱:不可 照射:不可 消毒剤:種類により使用可能 | 細胞無毒性[6]: データ入手不可能 食品および飲料使用適合性[7]:可[11] 21 CFR:176.180 および 175.300 |
温度 | 物性 | 透過性 | 滅菌[4] | 規制 |
HDT[1]:–32 ℃ 最高使用温度[2]:82 ℃ 脆弱性[12]: –21 ℃ | 硬度[20]:Shore 65A 極めて優れた柔軟性 透明度:透明、白色網目状モール付き 比重:1.2 マイクロ波[13]:不可 | cc.-mil/ 100in2-24hr.-atm cc.-mm/ m2-24 hr.-Bar | オートクレーブ:不可 EtO:可 乾式加熱:不可 照射:不可 消毒剤:種類により使用可能 | 細胞無毒性[6]:データ入手不可能 食品および飲料使用適合性[7]:可[11] 21 CFR:176.180 および 175.300 |
下表には、20oC における一般的な使用曝露評定が記載されています。化学的侵襲および損傷に対するプラスチック素材の耐性は、温度、化学物質への曝露時間および遠心分離などのさまざまなストレスにも影響されます。Nalgene 製品および材質のさらに詳しい化学薬品耐性評定に関しては、本ページの最後に記載されているリソースを参照してください。
クラス | 一般評定 |
酸(希酸または弱酸) | G |
酸*(強酸、濃酸) | F |
アルコール(脂肪族) | F |
アルデヒド | N |
塩基/アルカリ | F |
エステル | N |
炭化水素(脂肪族) | F |
炭化水素(芳香族) | N |
炭化水素(ハロゲン化物) | N |
ケトン(芳香族) | N |
酸化剤(強) | F |
*酸化性酸以外;酸化性酸に関しては、「酸化剤、強酸化剤」を参照してください。
E | 30 日間の継続的な曝露において損傷を認められません。プラスチックは長年にわたる使用に耐性を示す場合もあります。 |
G | 試薬への 30 日間の継続的な曝露においてほとんどまたは、まったく損傷を認められません。 |
F | 試薬への 7 日間の継続的な曝露後にある程度の影響が生じます。プラスチックにより、ひび割れ、亀裂、強度低下または変色を生じる可能性があります。 |
N | 継続的な使用は推奨されません。深いひび割れ、亀裂、強度低下、変色、変形、溶解または透過性損失を含む瞬間的な損傷が生じる可能性があります。 |
警告
Nalgene 180 および 980 PVC チューブは医療用または医療機器用に使用することはできません。一般的に使用される可塑剤である DEHP([ビス(2-エチルヘキシル)] フタル酸)が含まれます。カリフォルニア州環境保護庁によると、この化学物質はガンを誘発し、また生殖毒性を有することが知られています。
規制準拠
Nalgene PVC チューブの製造に使用される材質は食品グレードであり、 USP Class VI 規制に準拠しています。
オートクレーブ
Nalgene 180 PVC チューブはオートクレーブ可能ですが、エチレンオキシドまたは化学薬品による滅菌がより望ましい方法です。オートクレーブする場合は、次のガイドラインに従ってください。
脚注:
[1].加熱たわみ温度は 66 psig(ASTM D648)の圧力下に置いた時に射出成形バーが 0.1” たわむ温度です。ノンストレスアプリケーションでは材質を加熱たわみ温度以上で使用することも可能です。使用最高温度を参照してください。
[2].最高使用温度°C:この温度は、継続的使用最高温度、延化/脆化温度およびガラス転移温度に関係し、強度の損失がほとんどまたは、まったく発生しない状態で数分間から 2 時間、ポリマーを曝露することが可能な最高温度を表します。
[4].滅菌:オートクレーブ(121 °C、15 psig で 20 分間)—オートクレーブ前に製品を洗浄して蒸留水ですすぎます。(オートクレーブ前には常にキャップを十分緩めてください。)室温ではプラスチックに対して特に影響のない化学薬品であっても、オートクレーブ時の温度では劣化の原因となる場合があるため、事前に蒸留水によってこのような化学薬品の付着がないよう洗浄してください。
気体 EtO —エチレンオキシド:100% EtO、EtO:窒素混合物、EtO:HCFC混合物
乾熱—ポリマー部分にストレスまたは負荷がかからない状態で 160°C に120 分間曝露
消毒剤—塩化ベンザルコニウム、ホルマリン/ホルムアルデヒド、過酸化水素、エタノール、など
照射—ガンマ線またはベータ線による 25 kGy(2.5 MRad)での非安定化プラスチックの照射
[6]。「可」は、WI38 ヒト二倍体肺細胞株に MEM 溶出法を使用する USP および ASTM 生体適合性試験スタンダードに基づいて、細胞無毒性であると同定された樹脂を示します。
[7].樹脂は、FDA、連邦食品・医薬品法の食品添加物改正法のセクション CFR21 の要件を満たしています。使用者は特定のアプリケーションにおいて使用される特定の容器に関して適合性検証を行う責任を負います。
[11].水溶液、油類、乳製品、酸性およびアルコール性食品について、最高 71 °C/160 °F の温度まで使用できます。
[12].脆化温度とは、その樹脂製の製品が落下した際に壊れる、または亀裂が生じる温度です。十分に注意して使用/取り扱いするかぎり、脆化温度は最低使用可能温度ではありません。
[13].空のラボウェアを 600 ワットで 5 分間照射する条件における評定。注意:使用最高温度を超える温度では使用しないでください。また、加熱によりプラスチックを損傷させるまたはプラスチックに急激に吸収される化学薬品にラボウェアを曝露させないでください。
[14].チューブは水分を吸収すると不透明になります。PVC チューブのオートクレーブに関する情報は、本ページのアプリケーションのヒントの項を参照してください。
[19].水の存在下でマイクロ波を使用するとチューブが水分を吸収して不透明になります。詳細に関しては最新の Thermo Scientific カタログに記載されている PVC チューブのオートクレーブ情報を参照してください。
[20].硬度は圧入/圧縮に対する耐性の測定値です。複数の異なるスケールがあります。固くて硬度の高い材質には、通常 Rockwell が使用され、柔らかくてフレキシブルな材質には Shore が使用されます。
当社のサポートチーム(+1-585-586-8800 または米国トールフリー番号 1-800-625-4327)までお電話いただくか、または電子メールで technicalsupport@thermofisher.com までお問い合わせください。
オーストラリア、フランス、ドイツ、アイルランド、スイスおよび英国からは、テクニカルサポート(+800-1234-9696(トールフリー)または +49-6184-90-6321)までお電話いただくか、または電子メールで techsupport.labproducts.eu@thermofisher.com までお問い合わせください。
規制サポート:製品の規制文書または材質表示に関しては、Nalgene 規制サポート 宛に RocRegSupport@thermofisher.com までご連絡ください。
化合物、温度および曝露時間による化学的適合性評定に関しては、Nalgene General Labware Chemical Compatibility Guide を参照ください。
遠心分離容器の化学的適合性評定に関しては、 Centrifuge Ware Chemical Resistance 表 のみを使用してください。