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ポリプロピレンは、ポリエチレンと同様にポリオレフィンに分類される高分子量炭化水素です。ポリプロピレンの化学構造はポリエチレンの化学構造と類似していますが、ポリマー鎖の各ユニットにメチル基が結合しています。すべてのポリオレフィン類と同様に、ポリプロピレンは無毒性および非汚染性であり、水よりも軽い比重です。
PP は、従来は乳白色で半透明ですが、着色剤を添加することにより、不透明およびさまざまな色の物質を製造することができます。PP はオートクレーブ可能であり、室温では既知の溶出物は存在しません。
PP は、強酸化剤に対してポリエチレンよりもわずかに高い感受性を示します。ポリオレフィン類の中では最も優れた応力亀裂耐性があります。ポリプロピレン製品は 0 °C では脆弱で、ベンチトップから落とすと亀裂が生じる、または破損する可能性があります。PP は紫外線の長期曝露により損傷する可能性があります。
ポリプロピレンはホモポリマー体として、強度、オートクレーブ可能性および応力亀裂耐性が必要とされる、カーボネート、オートクレーブバスケットおよび真空フラスコなどの製品を製造するために使用されます。Nalgene ボトルのキャップのほとんどは、ボトル本体の材質に関わらずポリプロピレン製です。その理由は PP のもつ応力亀裂耐性が必要とされると同時に、異なる材質のキャップとボトル本体を組み合わせることで理想的な密封が得られるためです。
温度 | 物理特性 | 浸透性 | 滅菌[4] | 規制 |
HDT[1]: 107℃ 使用最高温度[2]: 130 ℃ 脆弱性[12]: 0 ℃ | 紫外線:良好な耐性 硬質 半透明 マイクロ波: 可 比重:0.90 | cc.-mil/ 100in2-24hr.-atm cc.-mm/ m2-24 hr.-Bar | オートクレーブ:可 EtO:可 乾式加熱:不可 照射:安定化されていない限り変色および脆化無 消毒剤:可 | 細胞無毒性[6]:可 食品および飲料使用適合性[7]:可 21 CFR: 177.1520 |
下表には、20 °Cにおける一般的な使用曝露評定が記載されています。化学的侵襲および損傷に対するプラスチック素材の耐性は、温度、化学物質への曝露時間および遠心分離などのさまざまなストレスにも影響されます。Nalgene 製品のさらに詳しい化学耐性評定に関しては、本ページの最後に記載されているリソースを参照してください。
クラス | 一般評定 |
酸(希酸または弱酸) | E |
酸*、強酸および濃酸 | G |
アルコール(脂肪族) | E |
アルデヒド | G |
塩基/アルカリ | E |
エステル | G |
炭化水素(脂肪族) | G |
炭化水素(芳香族) | N |
炭化水素(ハロゲン化物) | N |
ケトン(芳香族) | N |
酸化剤(強) | F |
*酸化性酸以外;酸化性酸に関しては、「酸化剤、強酸化剤」を参照してください。
E | 30 日間の継続的な曝露において損傷を認められません。プラスチックは長年にわたる使用に耐性を示す場合もあります。 |
G | 試薬への 30 日間の継続的な曝露においてほとんどまたは全く損傷を認められません。 |
F | 試薬への 7 日間の継続的な曝露後にある程度の影響が生じます。プラスチックにより、ひび割れ、亀裂、強度低下または変色を生じる可能性があります。 |
N | 継続的な使用は推奨されません。深いひび割れ、亀裂、強度低下、変色、変形、溶解または透過性損失を含む瞬間的に損傷が生じる可能性があります。 |
ホモポリマー?共重合体?
Nalgene 製品では、ボトル、ビーカー、シリンダー、その他の Nalgene ラボウェアの製造に使用される材質として、従来から「ポリプロピレン」という用語を一般的に、ホモポリマー体(PP)と共重合体(PPCO )のいずれか使用してきました。多くの製品には材質コードが成形されていますが、製品に材質コード「PP」が成形されている場合に、ホモポリマー体の PP か PPCO を正確に識別することはできません。いずれの素材の可能性も否定できません。多くのポリプロピレン共重合体製品には「PP」という樹脂コードが成形されています。製品が PP であるか PPCO であるかを同定するための最良の方法は、これらのプラスチック素材に関する製品リンクをフォローすることですが、極めて重要なアプリケーションの場合には Nalgene technical support までご連絡ください。
オートクレーブ
ポリプロピレン容器はオートクレーブ可能です。空の容器に推奨されるオートクレーブサイクルは、121 °C において15 psi で 20 分間です。オートクレーブサイクル中、特に通気および冷却段階中は容器のフタなどで密閉せず、容器本体に空気循環が阻害されないように注意してください。容器の通気が正しく行われないと、容器の崩壊または内破(融解と間違われる場合もあります)が生じる可能性があります。ボトルおよびカーボーイをオートクレーブする場合には、キャップを完全に緩めるか、容器の開口部にキャップを締めずにやや斜めに設置し、キャップが締まることがないようにします。容器が完全に冷却されたら、無菌的にキャップを正しい位置に設置して締めることができます。
プラスチックの経時劣化
PP ラボウェアは時間経過と共に劣化します。ラボウェアが恒久的に変色(黄色、茶色、桃色など)したり、亀裂またはクモの巣状の「ひび割れ」が発生し始めたら、ラボウェアを交換すべき時期が来ていると考えてください。オートクレーブを繰り返すと経時劣化過程が加速されるため、より頻繁に容器を交換してください。使用している PP ラボウェアの経時劣化を遅延させ寿命を延長させるために、紫外線(天井の室内灯を含む)に直接曝露されないキャビネット内に保管し、適合性のある化学薬品のみを使用し、Nalgene L900 などの中性 pH の洗剤で洗浄してください。
再生利用可能性
PP製品はほとんどの自治体において再生利用可能です(再生利用コード 5)。ほとんどの Nalgene PP 製品は再使用が可能であり、一般的なラボ条件下で適切に使用すれば長持ちさせることができ、製品寿命に達した時にリサイクルに出すことが可能です。リサイクルに出す際は、十分洗浄し、安全に取り扱いできるようにしてください。
脚注:
[1].加熱たわみ温度は、66 psig(ASTM D648)の圧力下に置いた時に、射出成形バーが 0.1” たわむ温度です。ノンストレスアプリケーションでは材質を加熱たわみ温度以上で使用することも可能です;使用最高温度を参照してください。
[2].使用最高温度°C:この温度は、継続的使用最高温度、延化/脆化温度およびガラス転移温度に関係し、強度の損失がほとんどまたは全く発生しない状態で数分間から 2 時間、ポリマーを曝露することが可能な最高温度を表します。
[3].プラスチックがかなりの量の熱を吸収および保持するため、表面が予想外に熱くなる場合があります。
[4].滅菌:オートクレーブ(121 °C、15 psig で 20 分間)—オートクレーブ前に、製品を洗浄して蒸留水ですすぎます。(オートクレーブ前には常にキャップを十分緩めてください。)室温ではプラスチックに対して特に影響のない化学薬品であっても、オートクレーブ時の温度では劣化の原因となる場合があるため、事前に蒸留水によってこのような化学薬品の付着がないよう洗浄してください。
気体 EtO —エチレンオキシド:100% EtO、EtO:窒素混合物、EtO:HCFC 混合物
乾熱—ポリマーパーツにストレスまたは負荷がかからない状態で 160 °C に 120 分間曝露
消毒剤—塩化ベンザルコニウム、ホルマリン/ホルムアルデヒド、過酸化水素、エタノール、 など
照射—ガンマ線またはベータ線による 25 kGy(2.5 MRad)での非安定化プラスチックの照射。
[6].「可」は、WI38 ヒト二倍体肺細胞株に対し MEM 溶出法を使用する、USP および ASTM 生体適合性標準試験に基づいて、細胞無毒性であると同定された樹脂を示します。
[7].樹脂は、FDA、連邦食品・医薬品法の食品添加物改正法 CFR21 セクションの要件を満たしています。使用者は、特定のアプリケーションにおいて使用される特定の容器に関して適合性検証を行う責任を負います。
[12].脆化温度とは、その樹脂の製品が落下した際に壊れる、または亀裂が生じる温度です。十分に注意して使用/取り扱いするかぎり、脆化温度は最低使用可能温度ではありません。
[13].空のラボウェアの、600 ワットでの 5 分間の照射に基づく評定。注意:使用最高温度を超えた使用、または加熱によりプラスチックを侵襲したり急速に吸収される化学薬品へのラボウェアの曝露は回避してください。
お客様のアプリケーションに最適な製品の選択に関しては、Nalgene Technical Support Representative チーム(+1-585-586-8800 または米国トールフリー番号 1-800-625-4327)までお電話いただく、または電子メールで technicalsupport@thermofisher.com までお問い合わせください。
オーストラリア、フランス、ドイツ、アイルランド、スイスおよび英国からは、テクニカルサポート(+800-1234-9696(トールフリー)または +49-6184-90-6321)までお電話いただく、または電子メールで techsupport.labproducts.eu@thermofisher.com までお問い合わせください。
規制サポート:製品の規制文書または材質表示に関しては、Nalgene Regulatory Support 宛に RocRegSupport@thermofisher.com までご連絡ください。
化合物、温度および曝露時間による化学的適合性評定に関しては、 Nalgene General Labware Chemical Compatibility Guide を参照ください。
遠心分離容器の化学的適合性評定に関しては、
Centrifuge Ware Chemical Resistance 表 のみを使用してください。