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ポリスルホン(PSF)はポリカーボネートと同様に透明で強度が高く、無毒性で極めて頑丈です。PSF は PC よりもオートクレーブ中に加水分解されにくく、外観は淡黄色です。PSF は、酸、塩基、水溶液、脂肪族炭化水素およびアルコールに耐性を示します。
PSF は、フェニレンユニットがイソプロピリデン、エーテルおよびスルホンという異なる 3 種類の化学基により連結した構造をしています。これら 3 種類の連結がそれぞれ、化学薬品耐性、温度抵抗性および衝撃強度など異なる特性をポリマーに提供しています。ポリスルホンには、モノマーの基本構造の性質から、微量のビスフェノール A(BPA)が含まれます。
ポリスルホンは、機械強度、オートクレーブ可能、化学薬品耐性および透明度が性能発揮のための必須条件である場合に、遠沈管、再使用可能ろ過ユニットおよび希釈用ボトルなどの製品を製造するために使用されています。
温度 | 物性 | 透過性 | 滅菌[4] | 規制 |
HDT[1]:174 ℃ 最高使用温度[2]:141 ~ 165 ℃ 脆弱性[12]: –100 ℃ | 硬質 紫外線:耐性不良 透明度:淡黄色透明 比重:1.24 マイクロ波[13]:可 | cc.-mil/ 100in2-24hr.-atm cc.-mm/ m2-24 hr.-Bar | オートクレーブ:可 EtO:可 乾式加熱:可 照射:不可 消毒剤:可 | 細胞無毒性[6]:可 食品および飲料使用適合性[7]:可 21 CFR:177.1655 |
下表には、20 °C における一般的な使用曝露評定が記載されています。化学的侵襲および損傷に対するプラスチック素材の耐性は、温度、化学物質への曝露時間および遠心分離などのさまざまなストレスにも影響されます。Nalgene 製品のさらに詳しい化学薬品耐性評定に関しては、本ページの最後に記載されているリソースを参照してください。
クラス | 一般評定 |
酸(希酸または弱酸) | E |
酸*(強酸、濃酸) | G |
アルコール(脂肪族) | G |
アルデヒド | F |
塩基/アルカリ | E |
エステル | N |
炭化水素(脂肪族) | G |
炭化水素(芳香族) | N |
炭化水素(ハロゲン化物) | N |
ケトン(芳香族) | N |
酸化剤(強) | G |
*酸化性酸以外;酸化性酸に関しては、「酸化剤、強酸化剤」を参照してください。
E | 30 日間の継続的な曝露において損傷を認められません。プラスチックは長年にわたる使用に耐性を示す場合もあります。 |
G | 試薬への 30 日間の継続的な曝露においてほとんどまたは、まったく損傷を認められません。 |
F | 試薬への 7 日間の継続的な曝露後にある程度の影響が生じます。プラスチックにより、ひび割れ、亀裂、強度低下または変色を生じる可能性があります。 |
N | 継続的な使用は推奨されません。深いひび割れ、亀裂、強度低下、変色、変形、溶解または透過性損失を含む瞬間的な損傷が生じる可能性があります。 |
特に限られた Nalgene 製品のみがポリスルホンから製造されています。
PSF 製の再使用可能ろ過用製品は、その透明淡黄色の外観から識別することができます。ポリスチレンのろ過用製品は無色であり、それに対してポリプロピレンのろ過用製品は乳白色です。
PSF 製のオークリッジ遠沈管も、その淡黄色で透明な外観によって他の材質と判別することができます。スクリューキャップ付きの 30 mL および 50 mL オークリッジ遠沈管のみが PSF 製です。一方、ポリカーボネート製の遠沈管は無色透明で、より幅広い種類の形状およびサイズの製品を入手することが可能です。
PSF 製の Nalgene ボトルは、角型希釈用ボトル(容量約 200 mL)のみです。ここでも、PSF 製品はその透明で淡黄色の外観により、乳白色の Nalgene ポリプロピレン共重合体(PPCO)製の希釈用ボトルと識別することが可能です。
使用法、取り扱い注意および洗浄
PSF 製ラボウェアは研磨剤に暴露されると傷がつきます。 ブラシではなく、柔らかいスポンジタイプの洗浄器具のみを使用してください。PSF製ラボウェアに食器洗浄機を使用する場合には、すべての硬質金属製のスピンドルを柔軟性のある管で覆い、ラボウェアを傷つけないようにします。
オートクレーブ
PSF 製ラボウェアはオートクレーブ可能です。空の容器の推奨オートクレーブサイクルは、121 °C において 15 psi で 20 分間です。オートクレーブサイクル中、特に通気および冷却段階中は容器のフタなどで密閉せず、容器本体に空気循環が阻害されないように注意してください。容器の通気が正しく行われないと、容器の崩壊または内破(融解と間違われる場合もあります)が生じる可能性があります。
キャップ付きのボトルをオートクレーブする場合には、キャップを完全に緩めるか、容器の開口部にキャップを締めずにやや斜めに設置し、キャップが締まることがないようにします。容器が完全に冷却されたら、キャップを正しく設置して無菌的に締めることができます。
遠心分離
PSF 製オークリッジ遠沈管は、標準的なスクリューキャップを装着した場合、最高 10,000 x g までの高速遠心分離に使用できるようにデザインされています。シーリングキャップを使用すると、最高 50,000 x g まで液漏れしません。いずれの場合も、良好な性能を得るために遠沈管は全容量の 80%以上に充填して使用することが必要です。冷却および非冷却のいずれの遠心分離にも使用できます。
脚注:
[1].加熱たわみ温度は、66 psig(ASTM D648)の圧力下に置いた時に、射出成形バーが 0.1” たわむ温度です。ノンストレスアプリケーションでは材質を加熱たわみ温度以上で使用することも可能です;使用最高温度を参照してください。
[2].最高使用温度°C:この温度は、継続的使用最高温度、延化/脆化温度およびガラス転移温度に関係し、強度の損失がほとんどまたは、まったく発生しない状態で数分間から 2 時間、ポリマーを曝露することが可能な最高温度を表します。
[4].滅菌:オートクレーブ(121 °C、15 psigで 20 分間)—オートクレーブ前に製品を洗浄して蒸留水ですすぎます。(オートクレーブ前に常にキャップを十分に緩めてください。)室温ではプラスチックに対して特に影響のない化学薬品であっても、オートクレーブ時の温度では劣化の原因となる場合があるため、事前に蒸留水によってこのような化学薬品の付着がないよう洗浄してください。
気体 EtO —エチレンオキシド:100% EtO、EtO:窒素混合物、EtO:HCFC 混合物
乾熱—ポリマー部分にストレスまたは負荷がかからない状態で 160 °C に 120 分間曝露
消毒剤—塩化ベンザルコニウム、ホルマリン/ホルムアルデヒド、過酸化水素、エタノール、など
照射—ガンマ線またはベータ線による 25 kGy(2.5 MRad)での非安定化プラスチックの照射
[6]。「可」は、WI38 ヒト二倍体肺細胞株に MEM 溶出法を使用する USP および ASTM 生体適合性試験スタンダードに基づいて、細胞無毒性であると同定された樹脂を示します。
[7].樹脂は、FDA、連邦食品・医薬品法の食品添加物改正法のセクション CFR21 の要件を満たしています。使用者は特定のアプリケーションにおいて使用される特定の容器に関して適合性検証を行う責任を負います。
[12].脆化温度とは、その樹脂製の製品が落下した際に壊れる、または亀裂が生じる温度です。十分に注意して使用/取り扱いするかぎり、脆化温度は最低使用可能温度ではありません。
[13].空のラボウェアを 600 ワットで 5 分間照射する条件における評定。注意:使用最高温度を超える温度では使用しないでください。また、加熱によりプラスチックを損傷させるまたはプラスチックに急激に吸収される化学薬品にラボウェアを曝露させないでください。
お客様のアプリケーションに最適な製品の選択に関しては、Nalgene Technical Support Representative チーム(+1-585-586-8800 または米国トールフリー番号 1-800-625-4327)までお電話いただく、または電子メールで technicalsupport@thermofisher.com までお問い合わせください。
オーストラリア、フランス、ドイツ、アイルランド、スイスおよび英国からは、テクニカルサポート(+800-1234-9696(トールフリー)または +49-6184-90-6321)までお電話いただくか、または電子メールで techsupport.labproducts.eu@thermofisher.com までお問い合わせください。
規制サポート:製品の規制文書または材質表示に関しては、Nalgene 規制サポート 宛に RocRegSupport@thermofisher.com までご連絡ください
化合物、温度および曝露時間による化学適合性評定に関しては、 Nalgene General Labware Chemical Compatibility Guide を参照ください。
遠心分離容器の化学適合性評定に関しては、Centrifuge Ware Chemical Resistance 表のみを使用してください。