本プロトコールでは、一次および二次抗体を用いて細胞を免疫染色するための一般的注意事項を述べています。免疫染色は、サンプル中の特異的な生体ターゲットを、抗体を使用して蛍光で標識する技術です。免疫染色は、ICC(免疫細胞化学)およびIHC(免疫組織化学)の両方、時には抗体染色とも呼ばれます。

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必要なもの

  • 固定・浸透処理およびブロッキングされた細胞(固定・浸透処理およびブロッキングのプロトコールを参照)
  • 一次抗体
  • 最適な蛍光色素に結合した二次抗体
  • リン酸緩生理食塩水(PBS)
  • 抗体染色溶液注:製造業者が推奨する場合、推奨されている溶液を用いて抗体を希釈します。 通常、抗体染色溶液はブロッキング溶液(PBSに溶かした1%ブロッキング溶液)、またはPBSのみを用いて調製します。
  • 蛍光体に合うフィルターセットを装備した蛍光顕微鏡


一次抗体染色溶液の調製

開始する前に、一次抗体染色溶液を調製する必要があります。購入した抗体には、通常、使用上の推奨事項が添えられていますが、そうでない場合は1 μg/mLで開始するとよいでしょう。一次抗体濃度が1 mg/mLであるなら、たいていはチューブの内容物を1:1,000で希釈します。染色溶液が1 mLの場合は、抗体1 μLをPBSまたはブロッキング溶液1 mLに添加してください。


希釈系列は、最適なシグナル:バックグラウンドの条件を確認するのに役立ちます。

初めて抗体を使用する場合、数種類の異なる濃度を試してみるに越したことはありません。これにより、ターゲットの最も高いシグナルと最も低いバックグラウンドが得られる濃度を見つけることができます。二次抗体濃度を一定に保ちながら、一次抗体の単純な希釈系列(1:100, 1:250, 1:500, 1:750および1:1,000)を試してみてください。最適濃度を速やかに見つけるために、96ウェルプレートを用いてこの実験を行います(容器の注意点を参照)。

ほとんどの二次抗体は、1~10 μg/mLで使用します。典型的な二次抗体の好ましい開始濃度は、先の濃度範囲でいうと、1:1,000希釈となります。染色が著しく明るい場合、またはバックグラウンド があまりにも高い場合は、さらに希釈(1:2,000~1:10,000)します。


コントロールを使用し、シグナルがアーチファクトでないことを確認します。

免疫染色を用いる実験では、可能なら陽性および陰性コントロールを使用するのというのは良い考えです。陽性コントロールとは、実験サンプルとは別に高レベルのターゲットを含む別のサンプルのことです。陽性コントロールにより、適切に免疫標識されたことを確認できます。陰性コントロールとは、(一次抗体のステップを省いて)サンプルが二次抗体のみとインキュベートされるコントロールのことです。これにより、二次抗体に由来するバックグラウンド蛍光レベル(非特異的な蛍光シグナル)を確認できます。


二次検出を用いた一般的な蛍光免疫染色プロトコール

1サンプルからブロッキング溶液を除去します。
2十分量の一次抗体染色溶液を、陰性コントロール以外のサンプルに添加して覆います。この陰性コントロールは一次抗体を含みませんが、抗体の希釈に使用したのと同じ緩衝液を用いてインキュベートします。
31時間室温、または一晩4℃でインキュベートします。注:このステップの終了後、溶液は冷蔵庫内で翌日まで保存します。
4サンプルから一次抗体染色溶液を除去します。
5PBSで3回洗浄します。
6十分量の二次抗体染色溶液をサンプルに添加して覆います。これには陰性コントロールも含まれます。
730分~1時間室温でインキュベートします。
8PBSで3回洗浄します。
9細胞を他のマーカーで染色したいけれども、まだ染色していない場合は、オプション蛍光染色に進んでください
10細胞を観察する。

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For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.