showcase

コンピテントセルは、周囲の外来DNAをより高効率に拾い上げるために設計されており、クローニングされたDNAをプラスミド中で増殖、維持させるため、分子クローニングにおいて日常的に使用されるものです。通常のクローニング実験を行うにあたってコンピテントセルを選択するために一般的に考慮すべきことについては、前セクションでご紹介しています。このセクションでは、以下の分子生物学実験の成功に向けたコンピテントセルの選択について、基本的な内容をご説明します。

細菌内でのクローニングタンパク質の発現

大腸菌は迅速かつ効率的に増殖するため、クローニングタンパク質の過剰発現を行う際のもっとも一般的な宿主の1つです。クローニングタンパク質の発現においてもっとも広く使用される E. coli 株は BL21 とその派生株です。これは主に、BL21 株が細胞質プロテアーゼ Lon と外膜プロテアーゼ OmpT を欠損しているためです。この二つの変異(lon および ompT)により、精製中のタンパク質分解を最小限に抑えながら異種タンパク質(宿主と異なる種、または宿主と異なる細胞タイプに由来するタンパク質)を高速で細胞内に蓄積することができます[1]。

宿主細胞の内因性 RNA ポリメラーゼは、lactac といったプロモーターによって駆動されるクローニング遺伝子を含め、形質転換されたプラスミド上にある遺伝子を発現させます。しかし、こうしたプロモーターは比較的弱く、クローニング遺伝子の高発現に理想的なものではありません。したがって、BL21 株をバクテリオファージ T7 プロモーターのプロモーターによって改変すればクローニングした組換えタンパク質の発現を増強することができます [2]。

T7 発現システムの BL21 株は、lac プロモーターの変異である lacUV5 の制御下で T7 RNA ポリメラーゼを発現するよう λDE3 ライソジェンを利用して作製されたものです。lacUV5 プロモーターは、IPTG による正の制御を受けます。IPTG とは、細胞内の T7 RNA ポリメラーゼによる転写を誘導するため一般的に使用されるものです。こうして、発現遺伝子は、ベクター上にある T7 RNA ポリメラーゼプロモーター下流にクローニングされ、IPTG を介して DE3 から誘導されます(図 1A)。この改変 BL21 株は、BL21(DE3) としてよく知られているものです。

図 1.T7発現システム用に改変されたBL21株。

T7 プロモーターからの強力なRNA発現を増強するには、BL21(DE3)株を遺伝的に改変し mRNA の安定性を向上させます。必須エンドヌクレアーゼである RNase E をコードする rne 遺伝子の変異がその一例です。RNase E はデグラドソームタンパク質複合体の構成要素として、rRNA の成熟や mRNA の分解に関与します。rne131 変異は RNase E の欠失、すなわち、mRNA の分解に必要な C 末端ドメインを欠くことにつながります [3-5]。したがって、rne131 を持つ BL21(DE3)株は mRNA の転写安定性を向上させ、その結果、タンパク質の発現が増加します(図 1B、2)。

Protein expression from T7 expression vectors in BL21 strains with or without the rne131 mutation
Figure 2. Protein expression from T7 expression vectors in BL21 strains with or without the rne131 mutation. (U = uninduced, I = induced with IPTG)

BL21(DE3)株の T7 プロモーターシステムを使用することで、異種遺伝子の基礎発現レベルは元の BL21 株の場合より向上します。このことは、クローニングタンパク質が宿主細胞にとって有害な場合は問題となります。lacUV5 のような制御型プロモーターを使用すれば、クローニングした遺伝子の発現を誘導する前に細胞を適切な濃度で培養することが可能です。しかし、このプロモーターが「漏出性」を示す場合、誘導なしでもある程度のレベルで遺伝子が発現する可能性があります。この基礎発現レベルを抑制するため、BL21(D3)株の中には T7 リゾチームを発現する pLys プラスミド(一般的に pLysS または pLysE表 1)を持つよう設計されているものがあります。T7 リゾチームは T7 RNA ポリメラーゼ活性を阻害するため、ベクターからの有害遺伝子の基礎発現レベルが低下します(図 1C)[6、7]。T7リゾチームによる阻害は IPTG による誘導で止めることができます。厳密なタンパク質発現を制御する場合は、lacIq を持つ BL21 株を使用できます。lacIq 株は lac リプレッサーを過剰生産するため、特異的に誘導されない限り遺伝子を発現しないようにすることが可能です(lac オペロンについては図 3 を参照)。

表 1.T7 リゾチーム、宿主細胞、およびクローニング遺伝子の発現に対する pLysS と pLysE の主な作用。

特長pLysSpLysE
T7 リゾチームの発現中程度
宿主細胞の増殖ほとんど影響なし、または影響なし低下する可能性あり
クローニング遺伝子発現のための誘導時間比較的短い比較的長い
クローニングタンパク質の誘導レベルほとんど影響なし、または影響なし低下する可能性あり
クローニングタンパク質の基礎発現量低下する
The lac operon
Figure 3. The lac operon. When the endogenous level of lactose is low, the lac repressor (expressed by lacI) is able to bind to the lacO sequence and inhibit transcription of the lac genes (lacZ, lacY, and lacA) from the lac promoter (lacP). If lactose (more precisely, a metabolite called allolactose) or its analog IPTG is present, these bind to the lac repressor and change its conformation. This prevents the lac repressor binding to lacO, thereby derepressing expression of the operon.

いくつかの株はゲノム中に、lacIq の代わりとして T7 RNA ポリメラーゼをコードする遺伝子の上流にアラビノース誘導型プロモーターである araBAD を持ってます。araBAD プロモーターは、T7 発現システムで利用可能なもっとも厳密な調節機構の一つを利用し、最大量のタンパク質発現を実現します。このため有害タンパク質を高レベルで発現する場合に適しています(図 4、5)。

T7 RNA ポリメラーゼをコードする遺伝子が araBAD プロモーター制御下にある場合、組換えベクターからのタンパク質発現は L-アラビノースとグルコースによって制御することができます [9、10]。

  • クローニングタンパク質の発現を誘導するには、L-アラビノースを成長培地に添加し T7 RNA ポリメラーゼを発現させます。その後 T7 RNA ポリメラーゼが組換えベクターの T7 プロモーターに結合します(図 5A)。タンパク質の発現を調節するための L-アラビノースの濃度はさまざまです。ベクターにlacl 遺伝子が含まれている場合、誘導には IPTG も必要です。
  • araBAD プロモーターからの基礎発現を抑制するには成長培地にグルコースを添加しますが、一般的に、グルコース非存在下で基礎発現はすでに低い状態となっています。グルコースは cAMP レベルを低下させるため、cAMP 活性化タンパク質(CAP)の DNA への結合が抑制され、転写活性がさらに低下します(図 5B)。

したがって、L-アラビノースとグルコースの濃度をさまざまに変化させることで、クローニングタンパク質の発現を適切に調節することができます。

図 5.A)改変 BL21 株。araB 遺伝子座では、T7 RNA ポリメラーゼ(T7 RNAP)が含まれるカセットが染色体に挿入されており、araBAD プロモーターからの T7 RNA ポリメラーゼの発現を制御できる。(BAraC は、L-アラビノースとともに複合体を形成する転写制御因子。L-アラビノース非存在下では、AraC 二量体の C 末端ドメインはaraO2araI1 領域に結合している。転写活性化が起こる際は、L-アラビノースがAraC 二量体の N 末端ドメインを認識し、AraC の結合を araO2 から araI2 へ切り替える。これにより転写が開始する。グルコース濃度が低い場合、AraC と araI1 および araI2 領域との接触は、cAMP 活性化タンパク質(CAP)-cAMP 複合体が DNA に結合することによっても刺激される [9、10]。


非メチル化 DNA およびメチル化 DNA のクローニング

非メチル化 DNA および hsdRMS 遺伝子マーカー

多くの実験室の E. Coli コンピテントセルは野生株の K-12 株と B 株由来のもので、それぞれ EcoKI と EcoBI の制限修飾システムを有しています。EcoKI は 5’ AAC(N)6GTGC 3′ 配列を認識し、EcoBI は 5′ TGA(N)8TGCT 3′ 配列を認識します [10、11]。こうしたタイプ I 制限修飾システムは hsdR、hsdM、およびhsdS 遺伝子にコードされており、制限、修飾、および特異的活性を持つマルチユニットの酵素を形成します(このことから略語で RMS と表記されます) [12]。これらの認識領域が全く修飾を受けていない場合(非メチル化状態の場合)、酵素による配列の開裂が生じます(「制限される」)。認識配列の 1 本鎖のみがメチル化されている場合(ヘミメチル化状態の場合)は、酵素は非修飾鎖をメチル化し制限を防ぎます。

したがって、PCR インサートのような EcoKI や EcoBI 領域を含む非メチル化(外来)DNA を増殖させる場合は、コンピテントセルの hsdRMSの ジェノタイプを考慮する必要があります。

  • 宿主の hsdR 変異体(表現型:r、m+)は DNA を修飾することができますが、制限することはできません。
  • 影響を受けた遺伝子産物が DNA を修飾する複合体を形成するため、宿主の hsdM や hsdS の両方、または一方に変異がある場合(表現型:r、m)は DNA の修飾と制限の両方に欠陥があります。
  • 宿主 hsdRMS 変異体(表現型:r、m)由来のプラスミドは EcoKI と EcoBI 領域でメチル化を受けません。野生型 hsdRMS 株へと形質転換された場合、これらのプラスミドは開裂を受けます。プラスミドの開裂を防ぐには、まず hsdR 宿主中でプラスミドを増殖させプラスミドをメチル化する必要があります。

非メチル化 DNA および dam/dcm 遺伝子

制限酵素の中には、メチル化感受性であることが知られているものもあります。これらはメチル化 DNA 配列を開裂することができません。dam および dcm 遺伝子は、E. coli に見られるもっとも一般的な二つのメチラーゼである DNA adenine methylase(アデニンメチラーゼ)および DNA cytosine methylase(シトシンメチラーゼ)をそれぞれコードしています。DNA をメチル化させないでおくため一般的に行われる方法は、一つは形質転換に damdcm を欠失させたコンピテントセルを使用することです。dam メチラーゼは 5′ GATC 3′ 配列のアデニンを修飾しますが [13]、dcm メチラーゼは 5′ CC(A/T)GG 3′ 配列の 2 番目のシトシンをメチル化します [14]。したがって、dam および dcm シーケンスを含む制限領域のある DNA は、dam/ dcmで増殖させる必要があります。dam/dcm株は開裂を制御するためのユニークな戦略ですが、通常の形質転換に使用してはいけません。これは、増殖させた DNA に望ましくない変異が導入される可能性があるためです。

メチル化された DNA と、mcrA、 mcrBC、および mrr遺伝子

真核生物のゲノム DNA をクローニングするには、形質転換にメチル化依存性制限システム(methylation-dependent restriction systems:MDRS)を持つコンピテントセル株を選択する必要があります。動物、植物、および下等真核生物に由来するゲノム DNA は、多くの細胞プロセスでエピジェネティックな遺伝子発現制御に関わるメチル化シトシンを持っています[15、16]。こうしたメチル化シトシンを含む DNA 配列は、E. coli の McrA、 McrBC、Mrr 制限システムの一部であるメチル化依存性エンドヌクレアーゼの標的となります(表 2)。

表 2.MDRS システムおよび主要要素。

システム定義遺伝子認識配列標的参考文献
McrAModified cytosine restriction(修飾されたシトシンの切断)mcrA5′-Cm5CGG-3′5-ヒドロキシメチルシトシンまたは 5-メチルシトシン17、18
McrBC

Modified cytosine restriction(修飾されたシトシンの切断)

mcrB、
mcrC
(隣接)
5′-(G/A)C-3′
約 55 ~ 103 bp 間隔
5-ヒドロキシメチルシトシン、N4-メチルシトシンまたは 5-メチルシトシン19、20
MrrMethyladenine recognition and restriction(メチルアデニンの認識と制限)mrrコンセンサス配列が不明。修飾されたアデニンまたはシトシンが必要。N6-メチルアデニンと 5-メチルシトシン両方を持つ DNA21、22

したがって、mcrA、mcrBC、および mrrに変異がある E. coli 株は、メチル化シトシンやメチル化アデニンを持つ真核生物由来の DNA の増殖に不可欠です。また、真核生物由来のゲノムライブラリを構築する際の良好な表現にもなります。


反復配列を持つ DNA コンストラクトの増殖

DNA コンストラクトの中には DNA の組換えが生じやすいものがあるため、こうしたコンストラクトは形質転換後の細菌の細胞内で不安定です。このようなプラスミドコンストラクトの例としては、長い末端反復配列(long terminal repeats:LTRs)、逆方向反復配列、タンデムリピート配列を含むレトロウイルスやレンチウイルスベクターがあります。

recA1 や recA13 に変異があるコンピテントセルは、レトロウイルスやレンチウイルスベクターをバックボーンに持つ形質転換コンストラクトを安定的に増殖させるため広く使用されています。宿主 recA 遺伝子に変異があると DNA 修復に関わる酵素が不活性化されるため、組換えが減少し不安定なコンストラクトが保持されることになります。また、recA の変異は宿主染色体とベクター配列間の相同組換えも妨げます。しかし、recA 欠損のみでは反復配列を持つ DNA の欠失や組換えを十分に防ぐことができないため、DNA 反復配列の安定性を目的として特別に作製されたコンピテントセルを検討する必要があります(図 6)[23-26]。

Stability of a plasmid with direct repeat sequences
Figure 6. Stability of a plasmid with direct repeat sequences. (A) Three strains of chemically competent cells were transformed with pH30, a 7.3 kb plasmid that contains ~100 repeats of a 32-bp sequence. Plasmid DNA recovered from randomly selected colonies of the three strains was analyzed for stability by agarose gel electrophoresis. (B) pH30, electroporated into Invitrogen Stbl4 cells and isolated from 5 separate transformations, was analyzed for stability by agarose gel electrophoresis.

DNA コンストラクトの安定性は、以下の方法でさらに向上させることができます。

  • 形質転換後、細胞を回復させるため細胞を 30 °C で 90 分間培養します。
  • LB 寒天プレート上に細胞を撒き、30 °C でコロニーを成長させます。
  • 形質転換後、4日を越えていないプレートから得た形質転換体コロニーを使用します。
  • スターター、プラスミド単離のための大量培養用とするため、形質転換体コロニーを 30 °C の Terrific Broth(TB 培地)に接種します。
  • DNA を単離するため、細胞増殖の初期定常期またはその前に培養物を回収します。

大型プラスミドのクローニング

形質転換効率はプラスミドサイズが増加するにつれ低下する傾向があるため [28、29]、大型プラスミド(> 10 kb)は細菌の形質転換を行う際に問題が生じることが知られています。図 7 に、大型プラスミドの形質転換成功率を改善するための推奨事項を示しています。

  1. 10 ~ 30 kb のプラスミドを用いた形質転換を行うには、形質転換効率の高い(>1 x 109 CFU/μg)コンピテントセルを選択してください。
  2. 形質転換効率を高めるには、ヒートショックの代わりにエレクトロポレーションによる形質転換を検討してください。
  3. > 30 kb の DNA コンストラクト(コスミドなど)の場合は、こうしたサイズを取り扱うために特別に試験されたコンピテントセルを選択してください。
  4. 大型 DNA コンストラクトの維持を改善すると報告されている deoR 変異を持つコンピテントセルを検討してください [30、31]。
Stability of a plasmid with direct repeat sequences
Figure 7. Transformation efficiencies with large plasmids up to 200 kb. (A) Chemically competent (C) or electrocompetent (E) cells of different transformation efficiencies were transformed with plasmids ranging from 8 kb to 28 kb, and efficiencies of DNA uptake were measured (n = 4). (B) Large plasmids of 60 kb, 100 kb, and 200 kb were transformed into two strains of electrocompetent cells with high transformation efficiencies, and efficiencies of DNA uptake were measured (n = 4). (C) Large plasmids of 60–200 kb were transformed into three strains of electrocompetent cells at with transformation efficiency of 1 x 1010 CFU/μg for determination of DNA uptake (n = 6).

ccdB 致死遺伝子を持つベクターの増殖

インサートを含む目的のプラスミドを持ったコロニーをスクリーニングする方法の一つがポジティブセレクションです。この方法では、ベクターがマルチクローニングサイト(MCS)内に致死遺伝子を保持しています。ベクターへのインサートのクローニングが成功すると、致死遺伝子の発現が妨げられコロニー形成が可能になります。

F′ エピソーム由来の ccdB 遺伝子はポジティブセレクションに利用される致死遺伝子の一つで、多くのクローニングベクターで選択マーカーとして機能します [32, 33]。CcdB タンパク質は DNA ジャイレースの再結合ステップを阻害する有害タンパク質で、宿主染色体を断片化し細胞増殖を阻害します。活性のある ccdB 遺伝子を持つクローニングベクターを増殖させるには、宿主細胞は CcdB の毒性に対し耐性を持っていなければなりません。

大部分のCcdB 耐性株は、CcdB タンパク質によって媒介される二本鎖 DNA の切断を抑制する DNA ジャイレースの変異、gyrA462 を持っています [34]。ただし F’ エピソームを有する細菌株は ccdA 遺伝子を持っており、ccdB を抑制的に制御します [35]。それでも、短命である CcdA タンパク質の内因性の発現で CcdB の致死性を消すことはできないため、F′ コンピテントセルを ccdB ベクターの増殖に使用することはお勧めしません。逆に、ccdB ベクターをポジティブセレクションに用いる場合は、ccdA の発現を回避しクローニング DNA を持たないコロニーの生存を妨げるため、形質転換には F 株を使用すべきです。 


R6Kγ ori を用いたプラスミドのクローニング

プラスミドの中には R6Kγ と呼ばれる特定の複製起点を持つものがあります。こうしたプラスミドを細菌内で複製するには、コンピテントセルがpi(π)タンパク質を発現して R6Kγ 配列に結合し、プラスミドの複製を開始する必要があります。π タンパク質は pir 遺伝子にコードされるタンパク質です。

一般的には、pir 遺伝子を持つ 2 種類のコンピテントセルが使われています。pir+(野生型)とpir-116(変異体)です [36]。

  • pir+ 細胞は R6Kγ プラスミドを細胞当たり約 15 コピー保持しており、形質転換コンストラクトの維持、有害なクローニング遺伝子を発現する場合に適しています。
  • pir-116 細胞は R6Kγ プラスミドを細胞当たり約 250 コピー保持しており、クローニングや形質転換コンストラクトを精製する場合に適しています。

Univector システム(図 8) [37] のような特定の R6Kγ プラスミドクローニングシステムでは、Cre-lox 領域特異的な組換えを利用しています。Cre 組換え酵素タンパク質は、添加されると Univector 上の loxP 領域に結合します。これによりドナープラスミドとアクセプタープラスミドの組換えが起こり、目的遺伝子を持つ組換え体が作られます [38]。 

Stability of a plasmid with direct repeat sequences
Figure 8. The Univector cloning system. The loxP sites on the donor and acceptor plasmids recombine in the presence of Cre recombinase to produce a recombinant plasmid.

クローニングによる一本鎖 DNA の作製

一本鎖 DNA(ssDNA)は、ジデオキシ DNA シーケンシング、鎖特異的プローブの調製、in vitro 変異導入、および cDNA サブトラクションライブラリの構築に有用です。ssDNA 作製にクローニングを利用する一般的な方法では、繊維状バクテリオファージ M13 の複製サイクルを利用します(図 9) [39-45]。バクテリオファージ M13 が細菌の細胞に付着し侵入するには、E. coli 株が遺伝子マーカー F′ または F+ で表される F 線毛を発現している必要があります。

Stability of a plasmid with direct repeat sequences
Figure 9. M13 phage life cycle. (1) The M13 phage infects the bacterial cell via attachment to the F pilus, and injects its circular ssDNA genome. (2) The host’s cellular machinery uses the ssDNA (the + strand) as a template to synthesize a complementary strand, resulting in a dsDNA circle called the replicative form, or RF, which then multiplies. (3) The (+) strand of RF is nicked and extended using the (–) strand as a template, in a process called rolling cycle replication. (4) After one round of extension, the (+) strand is nicked again and recircularized to form the ssDNA genome of the progeny phage. (5) The progeny genome is packaged into a phage particle after a series of processes and is released from the host.

ssDNA を作製するには、目的の二本鎖 DNA(dsDNA)を(1)M13 ベクター、または(2)ファージミドにサブクローニングします(図 10、11)。

  1. M13 ベクターは M13 バクテリオファージゲノム(replicative form(複製型)または RF として知られています)の二本鎖型を元にしており、目的遺伝子を挿入させるためベクターのマルチクローニングサイト(MCS)で改変されています [46、47]。細胞を形質転換した後、M13 ベクターはファージ中間体として増殖し、最終的に ssDNA を形成します。M13 複製サイクルで見られるのと同じように、ssDNA は M13 ファージ粒子の中にパッケージングされます。したがって、dsDNA は細胞内に保持されたままの状態となりますが、ssDNA は培養培地のファージ粒子から精製することができます。しかし、> 2 kb の DNA インサートを M13 ベクターにクローニングする場合は不安定になり、問題が生じる傾向があります。
  2. 大型 DNA 配列の増殖には、ファージミドを代替法として使用することができます。ファージミドは MCS に伴うプラスミドの配列と複製起点(rep)から構成されていますが、繊維状バクテリオファージの複製起点(f1 ori)も有しています(図 11A)。形質転換後、F′ コンピテントセルは増殖し、クローニング DNA をプラスミドとして持つファージミドを保持します。ヘルパーファージは M13 のパッケージングに必要な遺伝子を持っているため、コンピテントセルはヘルパーファージ(M13KO7 など)を感染させたときのみファージミドから ssDNA ファージ粒子を作ります。ヘルパーファージのf1 oriはプラスミド複製起点(p15A ori図 11B など)に置換されているため、ヘルパーファージ自身でセルフパッケージングを行うことはできません [48]。
Stability of a plasmid with direct repeat sequences
Figure 10. M13 vector. Genes I–X are of bacteriophage M13 origin.
Stability of a plasmid with direct repeat sequences
Figure 11. Phagemid and the helper phage M13KO7.

このようにして、F’ エピソームを持つ E. coli 株は M13 複製経路を介した ssDNA の作製に利用することができます。しかし、細菌、二本鎖プラスミドDNA、ファージミドDNAの混入は、こうした株からの高品質 ssDNA の調製を妨げます。したがって、ssDNA 精製中に dsDNA を除去するには(F’ に加えて)endA+ を持つ株を使用することが望ましいです(図 12)。

Stability of a plasmid with direct repeat sequences
Figure 12. Single-stranded DNA purified from strainscontainingthe F´ episome. Clones carrying cDNA inserts of 0.3, 0.6, 0.9, 1.5, 2 kb, and no insert were analyzed on an agarose gel. Strain 1, which expresses wild type endA, shows the least dsDNA contamination.

昆虫細胞中で遺伝子発現を行うための組換えバクミドの作製

昆虫細胞中でのタンパク質の発現には、哺乳類の細胞とよく似た翻訳後修飾、スケールアップの容易さなどの利点があります。昆虫細胞に組換え遺伝子を導入する方法の 1 つは、昆虫細胞に感染するバキュロウイルスを利用する方法です [49]。バキュロウイルスを作製する方法には、目的遺伝子を有する E. coli と昆虫細胞のシャトルプラスミドであるバクミドを使い、昆虫細胞にトランスフェクションする方法があります [50]。組換え体バクミドは、ヘルパートランスポゾンプラスミドと 親バクミドを持つコンピテントセルを、目的遺伝子を運ぶよう特別に設計されたドナープラスミドで形質転換することで E. coli 内に構築されます(図 13)。 


遺伝子組換えを行うための植物 DNA のクローニング

組換え体 DNA は通常、Agrobacterium を介在させるプロセスにより容易かつ簡便に植物細胞へと導入されます [51]。この方法では、植物細胞へ遺伝子を導入するために改変された腫瘍誘導プラスミドまたは Ti プラスミドにクローニングされた植物 DNA を使用し、Agrobacterium tumefaciens 細胞を形質転換します [52]。

安全化した Ti プラスミドを持つエレクトロコンピテントな A. tumefaciens に植物 DNA コンストラクトを形質転換する方法にはいくつか利点があります。

  • vir ヘルパープラスミドとしても知られる安全化した Ti プラスミドは、DNA 転移のための必須成分のみを有しています [53]。T-DNA は植物細胞へ転移される領域ですが、野生型 Ti プラスミドのほとんどの T-DNA は比較的大きく(約 25 kb)、クローニングに有用な制限領域を持っていません。また、遺伝子の転移に必須ではないことが知られています(図 14A)。T-DNA 領域は除去され、操作しやすい安全化したTiプラスミドを作製するため必須配列(virori、LB、RBなど)のみが保持されます(図14 B)。一般的に使用される Ti プラスミドは pAL4404 です。
  • 目的の配列は、A. tumefaciensE. coli の両方で複製する pBI121 のようなバイナリベクターにクローニングすることができます [54]。バイナリベクターには、クローニング領域や選択マーカーとともに、ボーダー配列の LB と RB を持つサイズを小さくした T-DNA が含まれています(図 14C)。目的遺伝子はバイナリベクターの LB と RB の間にクローニングし、E. coli 内で増殖させることができます。また、最終的な遺伝子転移のために A. tumefaciens を安全化した Ti プラスミドによって形質転換します。
  • A. tumefaciensエレクトロポレーションを利用することで、E. coli の混入リスクを最小限に抑えながら、より少ない手順、時間で形質転換高率を高めることができます [55]。
Creation of a recombinant bacmid
Figure 14. Ti plasmid and the binary vector system.

A. tumefaciens LBA4404 細胞を最も効率的に形質転換するには、形質転換後の回復YM(酵母-マンニトール)培地を使用する必要があります(表 3)[56]。

表 3.Agrobacterium tumefaciens LBA4404 の形質転換効率に対する発現培地の影響。エレクトロポレーションした細胞を、回復のために異なる発現培地で30 °C、3 時間培養し、YM または LB プレートに撒きます。

発現培地コロニー形成(x 106 CFU/μg)
YM プレートLB プレート
YM 培地106.3
SOC 培地7.13.9
LB 培地0.960.25
EMC 培地5.33.2
M9 培地0.360.38
*2%トリプトン、1%酵母エキス、10 mM NaCl、2.5 mM KCl、1.5%コハク酸(pH 7.0)

DNA ライブラリの構築

さまざまな種類、サイズの遺伝子をカバーする代表的な DNA ライブラリを構築するには、形質転換効率宿主のジェノタイプが特に重要になります。ライブラリの調製では、ベクターにライゲーションした飽和量の DNA インサート(gDNA または cDNA 断片)プールを使用し、コンピテントセルを形質転換します。飽和量の DNA を使うことで、最小限の回数の形質転換反応から、代表的な DNA を持った最大サイズのライブラリを得ることができますが、細胞による DNA の取り込み効率は低下します。したがって、ライブラリ構築のためにコンピテントセルを選択する場合、1 回の形質転換で最大数の形質転換体を得るには、利用可能な最高の形質転換効率のもの、かつエレクトロコンピテントなものを使用することをお勧めします。

ライブラリ構築:形質転換効率はどの程度重要か

微量 mRNA 配列から調整した cDNA をクローニングする場合、ある量の二本鎖 cDNA から生成されるクローン数を最大化することでライブラリ中に目的のクローンが含まれる確立が高まります。

次の Clarke-Carbon 式で、ある配列が 99%の確立で cDNA ライブラリ中に出現するために必要なコロニーの数を計算することができます [60]。

N = ln (1 – P) / ln (1 – 1/n):P = 確率、N = 必要なコロニー数、1/n = 単一 mRNA 種に対する全 mRNA 集団の割合

典型的な真核生物細胞には約 11,000 の微量 mRNA 種が含まれており、mRNA 集団の約 30%を占めます [61]。この典型的な微量メッセージに対する全 mRNA 集団の割合、すなわち 1/n は、11,000/0.30 に 1 つ、つまり約 37,000 に 1 つということです。

したがって、N = ln (1 – 0.99) / ln (1 – 1/37,000) = 170,000 であり、これは、微量 mRNA から得たクローンが mRNA 集団に含まれるために必要なコロニー数ということになります。

この推定値は、1 細胞当たりの各転写物中に約 14 分子が存在していることに基づいています。しかし、1 細胞当たりに存在しうる微量 mRNA は 1 分子です [62、63]。したがって、単離した cDNA クローンがこうした転写産物を代表するには、利用可能な最も形質転換効率の高いコンピテントセルを使用し、数百万の独立したクローンを作製、スクリーニングする必要があります。

形質転換効率に加え、選択したコンピテントセルのジェノタイプもライブラリ調製にとっては重要な側面です。以下の遺伝子マーカーをご参照ください(表 4)。

表 4.ライブラリ構築用コンピテントセル中の関連遺伝子マーカー

遺伝子マーカー利点
deoR巨大インサートを保持し全長 cDNA 配列がクローニングされる機会を改善する
F+ および endA+ssDNA 作製用)繊維状バクテリオファージを感染させ dsDNA を除去する
mcrA、mcrBC、および mrrメチル化 DNA のクローニングを可能にする
recA不安定な配列が存在する場合に、ライブラリの代表性を高める
supE(glnV とも言う)λ ファージを増殖させファージディスプレイ法が利用できる [57-59]
tonAT1 および T5 バクテリオファージによる溶菌からクローンを保護する

ライブラリ構築:形質転換、プレーティング、および細胞増殖

ライブラリ構築のために化学的な形質転換を行う場合は、少量で複数回の反応を行う代わりに形質転換量を 100 μL より増量して行うことができます。増量する場合、DNA のインプット量を比例的にスケールアップし(例:細胞 100 μL 使用ごとに DNA を 15 ng)、それに応じてヒートショック時間を延長します(表 5) [64]。

表 5.大容量の形質転換。100 μL の細胞当たり15 ng の cDNA をライゲーションし、50 mL ポリプロピレンチューブ内で細胞の形質転換を行った。コロニー回収総量は、4回 の形質転換の平均として記載した。

反応当たりの細胞量ヒートショック時間プレーティング前の総量反応当たりの収量
100 μL60 秒1 mL4.6 x 105 CFU
250 μL90 秒2.5 mL1.0 x 106 CFU
500 μL90 秒5 mL1.8 x 106 CFU
1,000 μL120 秒10 mL3.4 x 106 CFU

ライブラリのクローンを増幅するため、コロニーの増殖は選択寒天プレートまたはボトル入りの半固体寒天で行うことをお勧めします。液体培養を行うと、個々のクローンの成長特性が異なるために、クローンの状態が不均一になることがしばしばあります。発現ベクターを含むライブラリは、E. coli 宿主に対して有害となり得る遺伝子産物の発現を防ぐため、誘導を行わずに(つまり、ラクトースや IPTG を使用せずに)培養しなければなりません。

要約すると、分子クローニング実験には形質転換を行うための特定の特徴を有するコンピテントセルが必要です。時間と労力を節約するには、目的の実験を行うため適切に設計されたコンピテントセルを選択することが必要不可欠です。

参考文献

  1. Samuelson JC (2011) Recent developments in difficult protein expression: a guide to E. coli strains, promoters, and relevant host mutations.Methods Mol Biol 705:195–209.
  2. Studier FW, Rosenberg AH, Dunn JJ (1990) Use of T7 RNA polymerase to direct expression of cloned genes.Methods Enzymol 185:60–89.
  3. Kido M, Yamanaka K, Mitani T et al.(1996) RNase E polypeptides lacking a carboxyl-terminal half suppress a mukB mutation in Escherichia coli.J Bacteriol 178(3):3917–3925.
  4. Grunberg-Manago, M (1999) Messenger RNA stability and its role in control of gene expression in bacteria and phages.Annu Rev Genet 33:193–227.
  5. Lopez PJ, Marchand I, Joyce SA et al.(1999) The C-terminal half of RNase E, which organizes the Escherichia coli degradosome, participates in mRNA degradation but not rRNA processing in vivo.Mol Microbiol 33(1):188–199.
  6. Moffatt BA, Studier FW (1987) T7 lysozyme inhibits transcription by T7 RNA polymerase.Cell 49(2):221–227.
  7. Studier FW (1991) Use of bacteriophage T7 lysozyme to improve an inducible T7 expression system.J Mol Biol 219(1):37–44.
  8. Miyada CG, Stoltzfus L, Wilcox G (1984) Regulation of the araC gene of Escherichia coli: catabolite repression, autoregulation, and effect on araBAD expression.Proc Natl Acad Sci U S A 81(13):4120–4124.
  9. Lee N, Francklyn C, Hamilton EP (1987) Arabinose-induced binding of AraC protein to araI2 activates the araBAD operon promoter.Proc Natl Acad Sci U S A 84(24):8814-8818.
  10. Lautenberger JA, Kan NC, Lackey D (1978) Recognition site of Escherichia coli B restriction enzyme on phi XsB1 and simian virus 40 DNAs: an interrupted sequence.Proc Natl Acad Sci U S A 75(5):2271-2275.
  11. Kan NC, Lautenberger JA, Edgell MH (1979) The nucleotide sequence recognized by the Escherichia coli K12 restriction and modification enzymes.J Mol Biol 130(2):191-209.
  12. Murray NE (2000) Type I restriction systems: sophisticated molecular machines (a legacy of Bertani and Weigle).Microbiol Mol Biol Rev 64(2):412–434.
  13. Geier GE, Modrich P (1979) Recognition sequence of the dam methylase of Escherichia coli K12 and mode of cleavage of Dpn I endonuclease.J Biol Chem 254(4):1408-1413.
  14. Buryanov YI, Bogdarina IG, Bayev AA (1978) Site specificity and chromatographic properties of E. coli K12 and EcoRIIDNA-cytosine methylases.FEBS Lett 88(2):251–254.
  15. Costello JF, Plass C (2001) Methylation matters.J Med Genet 38(5):285–303.
  16. Adams RL (1995) Eukaryotic DNA methyltransferases--structure and function.Bioessays 17:139–145.
  17. Raleigh EA, Wilson G (1986) Escherichia coli K-12 restricts DNA containing 5-methylcytosine.Proc Natl Acad Sci U S A 83(23):9070-9074.
  18. Raleigh EA, Benner J, Bloom F et al.(1991) Nomenclature relating to restriction of modified DNA in Escherichia coli.J Bacteriol 173(8):2707–2709.
  19. Dila D, Sutherland E, Moran L (1990) Genetic and sequence organization of the mcrBC locus of Escherichia coli K-12.J Bacteriol 172(9):4888-4900.
  20. Stewart FJ, Raleigh EA (1998) Dependence of McrBC cleavage on distance between recognition elements.Biol Chem 379(4–5):611–616.
  21. Kelleher JE, Raleigh EA (1991) A novel activity in Escherichia coli K-12 that directs restriction of DNA modified at CG dinucleotides.J Bacteriol 173(16):5220-5223.
  22. Waite-Rees PA, Keating CJ, Moran LS et al.(1991) Characterization and expression of the Escherichia coli Mrr restriction system.J Bacteriol 173(16):5207-5219.
  23. Lovett ST, Drapkin PT, Sutera VA Jr (1993) A sister-strand exchange mechanism for recA-independent deletion of repeated DNA sequences in Escherichia coli.Genetics 135(3):631–642.
  24. Trinh T, Jessee J, Bloom FR et al.(1994) Stbl2: An Escherichia coli strain for the stable propagation of retroviral clones and direct repeat sequences.Focus 16(3):78–80.
  25. Bi X, Liu LF (1996) A replicational model for DNA recombination between direct repeats.J Mol Biol 256(5):849-958.
  26. Schmidt BJ, Bloom FR.(1999) ElectroMAX Stbl4 cells for stable maintenance of repeat sequences.Focus 21(2):52-53.
  27. Leonardo ED, Sedivy JM (1990) A new vector for cloning large eukaryotic DNA segments in Escherichia coli.Biotechnology (N Y) 8(9):841–844.
  28. Leonardo ED, Sedivy JM (1990) A new vector for cloning large eukaryotic DNA segments in Escherichia coli.Biotechnology (N Y) 8(9):841–844.
  29. Siguret V, Ribba AS, Chérel G (1994) Effect of plasmid size on transformation efficiency by electroporation of Escherichia coli DH5 alpha.Biotechniques 16(3):422–426.
  30. Hanahan D (1989) US Patent 4,851,348.
  31. Durfee T, Nelson R, Baldwin S et al.(2008) The complete genome sequence of Escherichia coli DH10B: insights into the biology of a laboratory workhorse.J Bacteriol 190(7):2597-2606.
  32. Bernard P, Gabant P, Bahassi EM et al.(1994) Positive-selection vectors using the F plasmid ccdB killer gene.Gene 148(1):71–74.
  33. Bernard P (1996) Positive selection of recombinant DNA by CcdB.Biotechniques 21(2):320–323.
  34. Bernard P, Couturier M (1992) Cell killing by the F plasmid CcdB protein involves poisoning of DNA-topoisomerase II complexes.J Mol Biol 226(3):735-745.
  35. Bernard P, Kézdy KE, Van Melderen L et al.(1993) The F plasmid CcdB protein induces efficient ATP-dependent DNA cleavage by gyrase.J Mol Biol 234(3):534-541.
  36. Metcalf WW, Jiang W, Wanner BL (1994) Use of the rep technique for allele replacement to construct new Escherichia coli hosts for maintenance of R6K gamma origin plasmids at different copy numbers.Gene 138(1-2):1-7.
  37. Marsischky G, LaBaer J (2004) Many paths to many clones: a comparative look at high-throughput cloning methods.Genome Res (10B):2020–2028.
  38. Liu Q, Li MZ, Liu D, Elledge SJ (2000) Rapid construction of recombinant DNA by the univector plasmid-fusion system.Methods Enzymol 328:530-549.
  39. Zagursky RJ, Berman ML (1984) Cloning vectors that yield high levels of single-stranded DNA for rapid DNA sequencing.Gene 27(2):183–191.
  40. Nakagami S, Matsunaga H, Miyoshi K et al.(1991) Nonradioactive detection of nucleic acid by the universal probe system.Anal Biochem 192(1):11-16.
  41. Carter P (1987) Improved oligonucleotide-directed mutagenesis using M13 vectors Methods Enzymol 154:382–403.
  42. McClary JA, Witney F, Geisselsoder J (1989) Efficient site-directed in vitro mutagenesis using phagemid vectors.Biotechniques 7(3):282-289.
  43. Duguid JR, Rohwer RG, Seed B (1988) Isolation of cDNAs of scrapie-modulated RNAs by subtractive hybridization of a cDNA library.Proc Natl Acad Sci U S A 85(15):5738-5742.
  44. Rubenstein JL, Brice AE, Ciaranell RD et al.(1990) Subtractive hybridization system using single-stranded phagemids with directional inserts.Nucleic Acids Res 18(16):4833–4842.
  45. Klickstein LB (2001) Production of a subtracted cDNA library.Curr Protoc Mol Biol Chapter 25: Unit 25B.1.
  46. Yanisch-Perron C, Vieira J, Messing J (1985) Improved M13 phage cloning vectors and host strains: nucleotide sequences of the M13mp18 and pUC19 vectors.Gene 33(1):103-119.
  47. Messing J (1991) Cloning in M13 phage or how to use biology at its best.Gene 100:3–12.
  48. Vieira J, Messing J (1987) Production of single-stranded plasmid DNA.Methods Enzymol 153:3-11.
  49. Kost TA, Condreay JP, Jarvis DL (2005) Baculovirus as versatile vectors for protein expression in insect and mammalian cells.Nat Biotechnol 23(5):567–575.
  50. Luckow VA, Lee SC, Barry GF (1993) Efficient generation of infectious recombinant baculoviruses by site-specific transposon-mediated insertion of foreign genes into a baculovirus genome propagated in Escherichia coli.J Virol 67(8):4566-79.
  51. Hoekema A, Roelvink PW, Hooykaas PJ et al.(1984) Delivery of T-DNA from the Agrobacterium tumefaciens chromosome into plant cells.EMBO J 3(11):2485–2490.
  52. Lee LY, Gelvin SB (2008) T-DNA binary vectors and systems.Plant Physiol 146(2):325–332.
  53. Hoekema A, van Haaren MJ, Fellinger AJ (1985) Non-oncogenic plant vectors for use in the agrobacterium binary system.Plant Mol Biol 5(2):85–89.
  54. Bevan M (1984) Binary Agrobacterium vectors for plant transformation.Nucleic Acids Res 12(22):8711-8721.
  55. Shen WJ, Forde BG (1989) Efficient transformation of Agrobacterium spp. by high voltage electroporation.Nucleic Acids Res 17(20):8385.
  56. Lin JJ (1994) Optimization of the transformation efficiency of Agrobacterium tumefaciens cells using electroporation.Plant Sci 101(1):11–15.
  57. Jespers LS, Messens JH, De Keyser A (1995) Surface expression and ligand-based selection of cDNAs fused to filamentous phage gene VI.Biotechnology (N Y) 13(4):378-382.
  58. Laird-Offringa IA, Belasco JG (1996) In vitro genetic analysis of RNA-binding proteins using phage display libraries.Methods Enzymol 267:149-68.
  59. Oh MY, Joo HY, Hur BU (2007) Enhancing phage display of antibody fragments using gIII-amber suppression.Gene 386(1-2):81–89.
  60. Clarke L, Carbon J (1976) A colony bank containing synthetic Col El hybrid plasmids representative of the entire E. coli genome.Cell 9(1):91-99.
  61. William JG (1981) The Preparation and Screening of a cDNA Clone Bank.In: Williamson R (editor), Genetic Engineering.New York: Academic Press. p 6.
  62. Toole JJ, Knopf JL, Wozney JM (1984) Molecular cloning of a cDNA encoding human antihaemophilic factor.Nature 312(5992):342–347.
  63. Wood WI, Capon DJ, Simonsen CC et al.(1984) Expression of active human factor VIII from recombinant DNA clones.Nature 312(5992):330-337.
  64. Donahue RA., Bloom FR (1998) Large-volume transformation with high-efficiency chemically competent cells.Focus 20(2):54–56.
  65. Hanahan D, Jessee J, Bloom FR (1991) Plasmid transformation of Escherichia coli and other bacteria.Methods Enzymol 204:63-113.
Share
 

For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.