機能的ゲノムスクリーニング用のCRISPRライブラリ

CRISPRスクリーニングを利用することにより、関連する遺伝子セットやカスタムコレクションを対象とする焦点を絞った機能喪失分析や、バイアスのないゲノムワイドなCRISPRスクリーニングを、自信を持って行なうことができます


CRISPRスクリーニングのためのLentiArrayおよびLentiPool gRNAライブラリ

レンチウイルスgRNAライブラリは、CRISPRスクリーニングの能力を拡張します。レンチウイルスライブラリを利用することで、数百の遺伝子に対するCRISPRゲノム編集を一度に簡便に行なうことができます。受賞歴のあるInvitrogen LentiArrayおよびLentiPool CRISPRライブラリは、高度なgRNA設計を採用しており、特異性を犠牲にすることなくノックアウト効率を最大化することが可能です。

レンチウイルスライブラリのフォーマット

LentiArray CRISPR Library

ウェルごとに単一の遺伝子ターゲット(最大4種のgRNA)を有するアレイ形式のプレートフォーマットで提供されます。ハイスループットなスクリーニングプラットフォームに対応しています。

Two images showing difference in format between LentiArray CRISPR library and Lentipool CRISPR library

LentiPool CRISPR Library

gRNAレンチウイルスのコレクションが1本のチューブにプールされています。ハイスループット用のインフラを必要としないCRISPR-Cas9スクリーニングを強化することが可能です。

Two images showing difference in format between LentiArray CRISPR library and Lentipool CRISPR library

CRISPRライブラリは、最新の研究と当社の豊富な経験を取り入れた独自のgRNA設計アルゴリズムを使用して構築しています。gRNAのデザインは、特異性を損なうことなく最大のノックアウト効率を得られるように選択されています。レンチウイルスライブラリでは、広範な細胞タイプにおいて標的遺伝子の高効率なノックアウトを実現するため、遺伝子ターゲットごとに最大4種類の高品質gRNAが含まれています。

ハイスループットなアレイ式CRISPRスクリーニング用のLentiArray CRISPRライブラリ

LentiArray CRISPRライブラリは、96ウェルプレートのアレイフォーマットで提供されており、ハイスループットなスクリーニングプラットフォームに対応しています。これらのレンチウイルスライブラリは、機能ゲノミクスアッセイのデザインや研究目標に制限を与えない柔軟なシステムとして提供されています。

データ:LentiArray CRISPR Libraryは、大部分のターゲット遺伝子で高いゲノム編集効率を実現

LentiArray CRISPR LibraryのgRNAで形質導入された細胞の編集効率の高さを示すグラフとウェスタンブロッティングの画像
図1.LentiArray CRISPR LibraryのgRNAは、多くのターゲット遺伝子に対してい高い編集効率を達成  (A)Cas9を安定的に発現するHT1080細胞に、LentiArray Human Cancer Biology CRISPR Libraryの遺伝子のサブセットに対するLentiArray gRNAレンチウイルス粒子を形質導入しました。 NGS分析の結果、ターゲット遺伝子の87%が50%以上の効率でノックアウトされ(赤線)、77%が70%以上の効率の効率でノックアウトされました(紫線)。(B)Cas9を安定的に発現するU87MGおよびA431細胞を、それぞれのレンチウイルスgRNAで形質導入し、その後、個々のターゲット遺伝子に対する特異抗体を用いたウェスタンブロット分析のために回収しました。検出可能なAKT、PIK3R1、EGFRタンパク質が存在しないことは、この方法による効率的なタンパク質ノックアウトを示しています。


手頃な価格帯でスクリーニングを可能にするLentiPool CRISPR Library

LentiPool CRISPRライブラリを用いることで、ハイスループット用のインフラを必要とせずにCRISPR-Cas9スクリーニングを強化することが可能です。高品質のレンチウイルスをプールしたこれらのライブラリでは、当社のLentiArray Libraryと同じ遺伝子ターゲットがカバーされており、高力価(>1 x 108 TU/mL)レンチウイルス粒子が即時利用可能な状態で提供され、遺伝子ノックアウトのスクリーニングで高い効果を発揮します。

LentiPool CRISPR Libraryには、ターゲット遺伝子ごとに最大4種類のgRNAをエンコードするレンチウイルスが含まれており、これらが1本のチューブにまとめてプールされています。すべての解析には、次世代シーケンス(NGS)を使用できます。当社のLentiPool LibraryはNGSによる品質管理が行われており、gRNAと遺伝子表現が確認されています。


プールされたCRISPRライブラリによるスクリーニングのワークフロー

Diagrammed steps of workflow for utilizing the LentiPool gRNA library for pooled CRISPR screening

Cas9発現細胞の生成:

  1. LentiArray Cas9レンチウイルス粒子を用いた細胞へのレンチウイルス形質導入
  2. ブラストサイジンによる選択
  3. 耐性細胞の増殖
Diagrammed steps of workflow for utilizing the LentiPool gRNA library for pooled CRISPR screening

プールされたsgRNA Libraryによる形質導入

  1. LentiPool sgRNA Libraryを用いたCas9発現細胞のレンチウイルス形質導入
  2. ピューロマイシンによる選択
  3. 耐性細胞の増殖
Diagrammed steps of workflow for utilizing the LentiPool gRNA library for pooled CRISPR screening

ポジティブまたはネガティブの選択による一次スクリーニング:

  1. ポジティブ選択(+):細胞の処理(薬物や化学摂動剤など)
  2. ネガティブ選択(-):細胞群を参照用と実験用サンプルに分割
  3. 選択圧をかけるか実験サンプルのみに対する処理を実施
Diagrammed steps of workflow for utilizing the LentiPool gRNA library for pooled CRISPR screening

NGSによるヒット特定

ゲノムDNA由来のsgRNAについて濃縮部(ポジティブ選択(+))または枯渇部(ネガティブ選択(–))のハイスループットシーケンス解析

図2.レンチウイルスプールスクリーニングのワークフロー。Cas9発現安定細胞株の生成にはLentiArray Lentiviral Cas9 Nucleaseを用い、ブラストサイジン耐性選択を使用しました。これらのCas9発現細胞の形質導入には、LentiPool sgRNA Libraryを適切なMOIにて使用し、ピューロマイシン耐性選択を実施しました。形質導入された集団に対し、選択圧を加えるか、薬物や化学摂動剤などで処理を行いました。ゲノムDNAを分離し、sgRNAインサートをPCRによって増幅しました。最後に、アンプリコンを配列決定し、処置に応じてどの遺伝子に濃縮/枯渇が生じたかを特定しました。



CRISPRスクリーニングにおけるポジティブ、ネガティブ、デリバリーコントロール

ハイスループットスクリーニングの開発と実施を成功させるには、高品質なコントロールが不可欠です。導入条件の最適化、ゲノム編集効率の最大化、ヒット選択基準の確立のため、コントロールの利用を忘れないでください。

LentiArray CRISPR Libraryに特化した、GFP発現コンストラクト有りまたは無しのネガティブコントロールおよびポジティブコントロールのオプションが用意されています。GFPマーカーは、リードアウトを視覚化することで、ウイルス導入条件の迅速な最適化を可能にします。


LentiArray CRISPR Library製品情報

これらのCRISPRライブラリは、遺伝子ターゲットごとに最大4種類の高品質gRNAが含まれており、ウェルごとに1つの遺伝子が含まれています。レンチウイルスライブラリは次の2種類のフォーマットが用意されています。

  • 平均力価1 x 108 TU/mL、遺伝子ターゲットあたり100 µL(2 x 50 µL)のすぐに使用できるレンチウイルス粒子。
  • gRNAあたり50 µLのグリセロールストック。これは独自のプールまたはアレイライブラリを作製するためのリポジトリとして使用できます。このフォーマットを使用するには、プラスミドの調製とレンチウイルスのパッケージングが必要ですのでご注意ください。

焦点を絞った遺伝子セットからゲノムワイドなライブラリまで、予め定義されたCRISPRライブラリとカスタムのCRISPRライブラリの両方が利用可能です。Druggable genome CRISPR libraryは、疾患の発症や進行に関与する潜在的な治療標的を特定するために設計されています。

各CRISPRライブラリ内の遺伝子ターゲットについては、NCBI RefSeqデータベースを含む最新のゲノムデータベースを用いて選択されており、遺伝子オントロジーコンソーシアム(GO)データベースやHUGOヒトゲノム命名法委員会(HGNC)との相互参照がされています。各ターゲットのgRNAは、サーモフィッシャーサイエンティフィックの科学者によって開発された独自のデザインアルゴリズムを使用して設計されています。


利用可能なCRISPR Cas9スクリーニングライブラリ

CRISPRライブラリ遺伝子数*gRNA 数*LentiArrayフォーマット
すぐに使用可能な粒子グリセロールストック
Whole Genome CRISPR Library
ゲノムワイドなCRISPRスクリーニング用に設計されており、病気の発症や生物学的経路での新規ターゲットの同定に利用可能です。
18,39273,568A42234A32167
Druggable Genome CRISPR Library
疾患の発症や進行に関与する潜在的な治療標的を特定するために設計されています。
10,13240,512お問い合わせA32184
Kinase CRISPR Library
キナーゼは、多くのシグナル伝達系とその調節異常による疾患の発症に関連しているため、薬物標的の重要なクラスの1つとされています。追加の遺伝子ターゲットは、KinBaseデータベースおよびその他のリソースから選択されています。
8223,288A42234A32167
GPCR CRISPR Library
多くの生理学的および疾患プロセスの調節因子であるGタンパク質共役型受容体(GPCR)は、最重要のドラッガブル遺伝子クラスの1つとして注目を浴びつつあり、FDA承認薬の30%近くがこれらを標的にしています。
4461,784A42282A32183
Cancer Biology CRISPR Library
がん発症に関与するもっとも一般的な遺伝子のいくつかを標的としています。追加の遺伝子ターゲットはThe Cancer Genome Atlas(TCGA)から選択されています。
5102,040A42268A32169
Epigenetics CRISPR Library
遺伝子発現のエピジェネティック調節は正常な発達において中心的な役割を果たしており、多くの疾患の発生に寄与する因子として認識されています。
3961,548A42269A32170
Ubiquitin CRISPR Library
ユビキチンシステムは、タンパク質の代謝回転を調節することによる細胞の恒常性維持に不可欠であり、その調節不全は、がん、ウイルス感染、神経変性疾患、筋骨格疾患、心血管疾患、代謝疾患に関与しています。
9433,722A42270A32171
Cell Cycle CRISPR Library
細胞周期調節因子は、正常な発達にとって重要であると同時に、がん、心血管疾患、炎症性疾患、神経変性疾患にも大きく関与しています。ターゲットとなるものには、細胞周期の進行に不可欠なサイクリン依存性キナーゼ(CDK)を始め、CIP/KIPファミリータンパク質やINK4細胞周期阻害剤などの細胞周期調節因子、網膜芽細胞腫のファミリータンパク質、細胞分裂周期タンパク質(CDC)などのDNA複製因子が含まれます。
1,4445,776A42271A32172
Membrane Trafficking CRISPR Library
膜輸送タンパク質は、神経伝達物質や内分泌の放出、食作用、エンドサイトーシス、オートファジー、およびその他のプロセスに関与しています。
141564A42272A32173
Transcription Factor CRISPR Library
転写因子は、遺伝子発現での重要な調節因子です。
1,8177,724A42273A32174
Nuclear Hormone Receptors CRISPR Library
核ホルモン受容体は、ステロイド ホルモン、甲状腺ホルモン、ビタミンD、レチノイン酸などの脂溶性リガンドによって活性化される転写因子のファミリーであり、代謝、発生、増殖、生殖、およびその他の生物学的プロセスの調節に関与しています。
47188A42274A32175
Apoptosis CRISPR Library
アポトーシスは、多細胞生物の恒常性維持に不可欠な厳密に制御されたプロセスです。アポトーシスの阻害は、がん、自己免疫疾患、炎症性疾患、ウイルス感染を引き起こす可能性があります。一方、過剰な活性化は、萎縮、組織損傷、神経変性疾患を引き起こす可能性があります。
9043,616A42275A32176
Drug Transporter CRISPR Library
トランスポータータンパク質は薬理学において重要な役割を果たし、分子が細胞膜をどのように通過するかに影響を与えます。
98392A42276A32177
Ion Channel CRISPR Library
イオンチャネルは、静止膜電位と活動電位の形成の両方につながる電気化学的勾配を確立する膜タンパク質です。イオンチャネルは、神経伝導、心臓や筋肉の収縮、膵臓のインスリン放出、T細胞の活性化、およびその他のプロセスにとって重要です。
3281,312A42277A32178
Cell Surface Protein CRISPR Library
細胞が環境から何らかの情報を受け取って反応をするという機構には、非常に多様な細胞表面タンパク質が関与しています。
778

3,112

A42278A32179
Protease CRISPR Library
タンパク質の分解に加えて、プロテアーゼはシグナル伝達分子として不可欠な存在であり、プロテアーゼシグナル伝達経路の調節不全は、心血管疾患、神経学的障害、がん、炎症性疾患に関与しています。
4751,900A42279A32180
Tumor Suppressor CRISPR Library
腫瘍抑制因子は、細胞周期進行に対する負の調節因子であり、腫瘍抑制遺伝子の喪失や変異は多くの場合がんに関与しています。追加のターゲットは、Tumor Suppressor Gene Database(TSGene)から選択されています。
7162,864A42280A32181
DNA Damage Response CRISPR Library
DNA surveillance proteinは、DNAの完全性を継続的に監視し、DNA損傷に応答して細胞周期チェックポイントとDNA修復経路を活性化します。
5612,244A42281A32182
Phosphatase CRISPR Library
可逆的リン酸化は、シグナル伝達経路の調節において中心的役割を果たしています。ホスファターゼは、標的タンパク質の脱リン酸化を行っており、シグナル伝達経路の調節に不可欠であり、潜在的な治療標的です。
2881,152A42267A32168
Custom CRISPR LibraryCustomCustomお問い合わせお問い合わせ

*遺伝子数およびgRNA数は変更される場合があります

For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.