医療用タンパク質製造管理のための準拠したMulti Attribute Monitoring(MAM)

医療用タンパク質製造管理のための準拠した CQA モニタリング

モノクローナル抗体(mAb)や抗体薬物複合体(ADC)のような最新のバイオ医薬品は、生細胞内で産生される極めて複雑な分子です。化学、製造および品質管理(CMC)ならびに品質管理の工程でこれらの分子を特性評価、モニタリングすることは困難な課題となり得ますが、高分解能精密質量(HR/AM)質量分析はこれらの課題を克服するための強力な手段となります。

Orbitrap 質量分析の感度と選択性を兼ね備えた新次元の分離を用いると、従来の一連の特性評価法を組み合わせた場合と比べ、製品に関して詳しい知見が得られるため、これまでの多数のロット出荷試験が不要になります。 

重要な品質特性を個々のアミノ酸レベルで直接測定することにより、プロセス中または生産時の変化が医薬品に及ぼす影響を理解できます。このことが、「quality by design」アプローチの一端を担います。また、HR/AM 質量分析で得られた結果を用いると、より安全かつ強力な医薬品を製造できるようになり、研究とルーチンを結ぶ真に有効なワークフローが実現します。

QC ボトムアップワークフローにおける質量分析

Mass Spectrometry in Biopharma QC workflow

品質管理ワークフローにおける質量分析の採用については、こちらの Chemical & Engineering News 誌の記事で議論されています。質量分析の専門家が、パイロットプラントで従来の品質管理アッセイの一部を質量分析アッセイに置き換えることについて説明しています。質量分析は感度および選択性が高いため、バイオ医薬品におけるわずかな変化をも検出できます。「…これらの新たなピークを一貫して検出できる唯一の装置は Orbitrap です…」


HRAM 質量分析を用いることで個別の重要品質特性(CQA)の 評価をいかに削減するか?

出典:Rogers, R. et al.MS in QC: A Single Multi-attribute Method for Quality Control and Release Testing of Biologics.Presented at CASSS MS 2013, Boston, September 24 2013.

 Yes = YesNo = NoSometimes = Sometimes

QC で必要とされる多数の重要品質特性を適切に分析するために、一般的に複数の異なる分析法を実施します。これらの分析法の多くは長時間を要するにも関わらず、部分的な情報しか得られません。

(ペプチドマッピングによる)Multi-Attribute Method(MAM)分析では、バイオ医薬品について豊富な情報が得られるため、必要とされる分析法およびその実施数が少なくて済む一方、製品の品質は向上します。


バイオ医薬品の MAM のための有用かつ準拠したインフォマティクス

Thermo Scientific BioPharma Finder ソフトウェアにより重要な品質特性を同定して発見することから得られたタンパク質の特性評価データを、Thermo Scientific Chromeleon 7.2 クロマトグラフィーデータシステム(CDS)ソフトウェアの強力な MS データ処理機能により GMP 準拠したルーチンのモニタリングへとシームレスに導入します。複数の重要品質特性を順に、確実かつ高分解能でモニタリングすることによって、バイオ医薬品を適切に管理できます。

Chromeleon ソフトウェアは、クロマトグラフィーと質量分析の各分析ワークフローを一体化することで、LCMS データの取得、監査、処理、最終報告までを完全に統合します。その際、他社製 LC システムの管理も可能です。21 CFR Part 11 などの GxP 規制要件に準拠しつつ、エンタープライズ(クライアント/サーバー) 環境で分析を実施でき、さらに 1 つのアプリケーションで UV および MS データを迅速かつ簡単に処理してレポートを作成できます。

NIST mAb 標準物質由来ペプチドを含むイソアスパラギン酸の Chromeleon CDS ソフトウェアによる同定。

非標的ピークが同定されると、見逃しがないことを確認するために追加の解明が必要になる可能性があります。


堅牢かつ高感度の MAM ワークフローに不可欠なコンポーネント

バイオ医薬品タンパク質のペプチドマッピングで特に推奨

Thermo Scientific Accucore Vanquish C18+ UHPLC カラムが実現する優れた分離により、鋭いピークが得られます。Accucore Vanquish C18+ UHPLC カラムは金属含有量がきわめて低い超高純度シリカ担体を特長としているため、テーリングを最小限に抑え 、良好なピーク形状を実現すると同時に、粒子径 1.5 µm ゆえの卓越したピーク分離が実現します。

いつでも信頼性の高いペプチド分離を実現

Thermo Scientific Vanquish Flex バイナリ UHPLCVanquish Horizon UHPLC プラットフォームは、最先端の 2 液混合または 4 液混合ポンプオプションを搭載したバイオコンパチブルシステムです。ペプチドクロマトグラフィーにおいて、正確さ、精度、感度の新たな基準を提供します。非常に安定した保持時間により、創薬、開発および QC 環境で確信をもってすべてのペプチドを同定できます。

 

最高クラスの分解能、感度、精度

Q Exactive Plus 四重極/Orbitrap ハイブリッド質量分析計を用いると、正しい結果が厳しく求められる QC 環境において、要求を上回る結果が得られます。複雑なマトリクス中の微量ペプチドの同定であっても、Q Exactive Plus システムはシンプルな操作性で堅牢かつ信頼性の高い質量精度を実現します。


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