Cell Paintingとは

Cell Paintingには、細胞構造および成分の空間的な組織の可視化と解析に使用される蛍光試薬が1セット含まれます。このアッセイは、生細胞の染色タンパク質上の低分子や他の化合物のプロファイルを得るために、薬物スクリーニングでよく使用されます。細胞染色のパターンにより、低分子化合物で処理されたサンプルの形態的な違いが明らかになります。

Cell Paintingでは、下記に挙げるオルガネラ・小細胞ベースの複数の測定結果が評価されます。

  • 核小体
  • ER/ゴルジ
  • ミトコンドリア
  • アクチン細胞骨格
  • 細胞膜

Cell Paintingにより、下記の内容を研究可能です:

  • タンパク質の動的組織化
  • 細胞生存率
  • 細胞増殖および毒性
  • DNA損傷
App note cover

Cell Paintingで、より多くの形態学的プロファイリングパラメーターを活用

Cell Paintingハイコンテント実験では、サイズ、形状、テキスチャー、蛍光強度のそれぞれの変化に基づいて、各細胞から約1,500の測定結果を抽出できます。

Cell Paintingのアプリケーションノートをダウンロード

Cell Paintingのワークフロー

  1. 細胞の播種—希望の密度で、96/384ウェルプレートに細胞を播種します。
  2. 処理/刺激—化学的または遺伝子的手段により、目的の表現型を発現させます。
  3. 固定と染色—処理後、細胞を固定し、個々の試薬またはCell Paintingキットを使用して、透過処理し目的のマーカーで染色します。
  4. 画像取得—プレートを密封してHCSイメージングシステムにロードし、すべてのウェルの画像を取得します。画像取得時間は、サンプリング対象のウェルから取得する画像数、サンプルの明るさ、およびZ次元でのサンプリング範囲に応じて異なります。
  5. 解析—自動化ソフトウエアまたは以前に設計されたスクリプトにより、6チャンネルデータから特徴を抽出し異なる表現型を表示します。これらの特徴をクラスター解析(または同様の手法)によって解析し、表現型プロファイルを複数作成します。

Cell Paintingのワークフローとプロトコルの例は、このCell Paintingアプリケーションノートを参照してください。

HCSシステムによるCell Painting

Cell Paintingのデータは、一般的に、ハイコンテントスクリーニング(HCS)イメージングシステムを使用して取得されます。HCSシステムは従来の蛍光顕微鏡とは異なる蛍光イメージングを採用していますが、マルチウェル(一般的に96ウェルまたは384ウェル)プレートを最大速度でイメージングするように特別に設計されており、最高のデータスループットを実現します。多くの場合、従来の広視野と共焦点の蛍光機能を兼備します。後者は、オルガノイド/スフェロイドのような厚いサンプルや、最大限の輝度と感度がもっとも重要となる場合に不可欠です。

データの取得は出発点にすぎません。多くの場合、このような大規模データセットの処理は、実験中に処理速度の制約を受けるステップとなります。データ処理にはさまざまな演算方法を使用できますが、目標は、細胞集団間で有意差がある表現型特徴物を明らかにし、他とは異なる集団を同定することです。今やデータセットが数十テラバイトに達することもあるため、このレベルのデータ処理はようやく最近になって可能になりました。

図1.CellInsight CX7 LZR Proシステムで取得されたHCSデータセットから読み出された画像とデータの代表例。


Cell Paintingデータのサンプリング

3-panel fluorescence image showing diverging phenotypes between untreated, 10 µM staurosporine, and 1 µM Taxol cell populations

図2.未処理のU2OS細胞と、薬剤処理されたU2OS細胞の表現型の比較。96ウェルのイメージングプレートで、最終濃度1~100 μMの目的化合物で細胞を48時間処理。化合物で処理した後、Image-iT Cell Painting Kitで細胞を直ちに標識し、CellInsight CX7 LZR Pro装置で解析。
 

図3.試薬を調製し実施したCell Painting実験例。上記に示す、心筋細胞の作用機序の評価のように、試薬は特定の実験要件に合わせて調整可能。96ウェルプレートで、1ウェルあたり2000個のH9c2細胞を播種。播種の2時間後、リスト中の化合物で細胞を4時間または24時間、96時間処理した後に、Cellomics Compartmental Analysisアッセイテンプレートを使用して免疫蛍光標識を行い解析。


ご注文情報

Cell Painting Kitの注文情報

Image-iT Cell Painting Kitの特長:

ハイコンテントスクリーニング用に最適化されたフォーマット—2種類の量の試薬が用意されています。2枚または10枚のマルチプレートのウェルをすべて使用した実験で必要になる試薬量があらかじめ用意されているので、サンプルを容易に調製できます。

実証済みの性能—ブロード研究所[1]発のCell Paintingに関する初のNature Protocols論文で使用された試薬と主成分が同じで、定評のある明るいInvitrogen Alexa Fluor色素を含みます。

Cell Painting Kit product photo

試薬別のご注文情報

細胞構造UVバイオレット濃赤NIR
アクチンAlexa Fluor 350 Phalloidin (A22281)

AlexaFluor Plus 405 Phalloidin (A30104)

 

Alexa Fluor 488 Phalloidin (A12379)

Alexa Fluor Plus 555 Phalloidin (A30106)Alexa Fluor 594 Phalloidin (A12381)Alexa Fluor Plus 647 Phalloidin (A30107)Alexa Fluor Plus 750 Phalloidin (A30105)
CellMask Green Actin Tracking Stain (A57243)CellMask Orange Actin Tracking Stain (A57244)CellMask Deep Red Actin Tracking Stain (A57245)
細胞膜Wheat germ agglutinin, Alexa Fluor 350 conjugate (W11263)Wheat germ agglutinin, Alexa Fluor plus 405 Conjugate (W56132)

Wheat germ agglutinin, Alexa Fluor 488 conjugate (W11261)

Wheat germ agglutinin, Alexa Fluor 555 conjugate (W32464)Wheat germ agglutinin, Alexa Fluor 594 conjugate (W11262)Wheat germ agglutinin, Alexa Fluor 647 conjugate (W32466)Wheat germ agglutinin, Alexa Fluor plus 770 Conjugate (W56134)
CellMask Green Plasma Membrane Stain (C37608)Wheat germ agglutinin, Alexa Fluor Plus 568 Conjugate (W56133)CellMask Deep Red Plasma Membrane Stain (C10046)CellMask NIR Plasma Membrane Stain (C56129)
CellMask Orange Plasma Membrane Stain (C10045)
ミトコンドリア   MitoTracker Orange CMTMRos (M7510)MitoTracker Red CM-H2XRos (M7513)MitoTracker Deep Red FM (M22426) 
ERConcanavalin A, Alexa Fluor 350 (C11254)Concanavalin A, Alexa Fluor Plus 405 (C56126)Concanavalin A, Alexa Fluor 488 (C11252) Concanavalin A, Alexa Fluor 594 (C11253)Concanavalin A, Alexa Fluor 647 (C21421)Concanavalin A, Alexa Fluor Plus 750 (C56127)
HCS NuclearMask Blue (H10325)Hoechst 34580 (H21486)SYTO 9 Green Fluorescent Nucleic Acid Stain (S34854) SYTO 82 Orange Fluorescent Nucleic Acid Stain (S11363)HCS NuclearMask Red (H10326)HCS NuclearMask Deep Red (H10294) 
Hoechst 33342 (H3570)SYTO 59 Red Nucleic Acid Stain (S11341)SYTO Deep Red (S34901)
核小体  SYTO 14 Green Fluorescent Nucleic Acid Stain (S7576)    
調製済みのCell Painting 実験用の固定可能な機能マーカー
アポトーシス/カスパーゼ  CellEvent Caspase-3/7 Green Detection Reagent (lyophilized) (C10432) CellEvent Caspase-3/7 Red Detection Reagent (lyophilized) (C10430)  
酸化ストレス  CellROX Green Reagent, for oxidative stress detection (C10444)  CellROX Deep Red Reagent, for oxidative stress detection (C10422) 
オートファジー  Premo Autophagy Tandem Sensor RFP-GFP-LC3B Kit (P36239)Premo Autophagy Tandem Sensor RFP-GFP-LC3B Kit (P36239)Premo Autophagy Tandem Sensor RFP-GFP-LC3B Kit (P36239)  
Premo Autophagy Sensor GFP-p62 Kit (P36240)Premo Autophagy Sensor RFP-p62 Kit (P36241)
Premo Autophagy Sensor LC3B-GFP (BacMam 2.0) (P36235)Premo Autophagy Sensor LC3B-RFP (BacMam 2.0) (P36236)

Cell Painting関連出版物

Bray et al.(下記)は、Cell Painting技術の原理を記した出版物です。これは「Cell Painting」という用語が最初に使用された文献で、標準的なプロトコルと見なされています。

  1. Bray, MA., Singh, S., Han, H. et al.Cell Painting, a high-content image-based assay for morphological profiling using multiplexed fluorescent dyes.Nat Protoc 11, 1757–1774 (2016).PMID: 27560178 

Schiff et al.(下記)に、神経ネットワークを使用した機械学習をどのように活用して、患者の培養線維芽細胞でパーキンソン病の表現型を健常者の対照群と比較して発見したかが書かれています。著者らは、この方法は、散発的で健康な状態とLRRK2/遺伝子駆動型の疾患状態を確実に区別するのに十分正確であると報告しています。

  1. Schiff, L., Migliori, B., Chen, Y. et al.Integrating deep learning and unbiased automated high-content screening to identify complex disease signatures in human fibroblasts.Nat Commun 13, 1590 (2022).PMID: 35338121
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For Research Use Only. Not for use in diagnostic procedures.