食品包装および接触材料の情報

食品医薬品局が連邦法（CFR - 21、CFR 174 - 21、CFR 190）で包装および食品接触材料（FCS）コードを規定している米国内、EU 内、および化学物質の製品への溶出の許容レベルを規定している、ドイツ連邦リスク評価研究所（BfR）、カナダ、オーストラリア、日本などの各国々に数多くの規制があります。このような化学物質の濃度や化合物の組成は、ガスクロマトグラフィー質量分析（GC-MS）を用いて測定する必要があります。

溶出

溶出は、食品接触材料自体から食品や飲料へ浸出する化学物質の移行です。これらは、単量体または高分子添加物である可能性があります。プラスチックに関する欧州委員会規則（EU）No. 10/2011 のリストには、食品接触材料への使用が認められている 1,000 種類を超える化合物が指定されており、食品接触材料から食品に直接溶出する物質には総移行限度（OML、overall migrationlimit）が使用されます。また、製品は特定移行限度 (SML) の規制対象であり、これらの物質は分析法を用いて同定されます。

残念ながら、完全に不活性な包装材料は存在しません。ガラス、紙、プラスチック、セラミックスはすべて、化学物質を食品や飲料にかなりの濃度で浸出させる可能性があります。たとえば、ガラス瓶やボトルの蓋はプラスチックを含有する可能性があり、フタル酸エステルの製品への浸出を生じさせます。

また、食品や飲料に溶出する化合物の速度や種類に影響を与える重要な要因に、温度、時間、食品の種類 (脂肪、油、乾燥食品)、および包装自体のサイズなどが挙げられます。

さまざまな包装材料の細孔サイズによって、対象となる分析物は本質的に揮発性または半揮発性（1,000 Da 未満）のいずれかです。それ故、クロマトグラフィーの分解能、再現性、ピークキャパシティに加えて、同定に役立つ広範なスペクトルライブラリの利点を有する、GC／MS による分析に適しています。

非意図的添加物質（NIAS）は、不純物、反応中間体、ポリマー/添加剤の分解産物、およびリサイクルからの汚染物質などの化合物です。それらは、プラスチックなどの食品包装からの不用意な溶出により、食品や飲料中に見られます。意図的添加物質（IAS）は既知の物質であり、（EC）規制番号 1935／2004 にリストされている食品や飲料製品中に含まれる、添加が許可された物質で、厳密に管理されています。

プラスチックに関する EU 規制 10／2011 の条件として、NIAS 化合物を測定する必要があります。ただし、食品や飲料中の NIAS を調べる際に、関係する化学物質の可能性がある物質の情報がほとんどないため、分析は困難であると考えられます。 

したがって、NIAS では、定量と定性の両方の最大限の情報を測定するために、また可能な限り既知物質と未承認物質（検出されるもの、同定されないもの、単に検出されずに食物連鎖に入るもの）を同定するために、可能な限り非選択的でなければなりません。

ターゲット化合物およびノンターゲット化合物に対する NIAS の検出に適した、さまざまな効果的な分析技術があります。

• 揮発性物質用のヘッドスペース（HS）またはパージトラップサンプリングを用いた GC-MS
• 溶媒抽出とそれに続く半揮発性物質用の GC-MS
• 極性および非揮発性物質用の LC-MS
• 微量元素用の誘導結合プラズマ（ICP）-MS

既知および未知の NIAS 化合物を両方検出するには、ターゲットおよびノンターゲット化合物分析において、類似物、包装または食料品を検査するために、より堅牢な技術を採用する必要があります。 

このような場合は、フルスキャンの高分解能精密質量（HRAM）と組み合わせた質量分析三重四重極（QQQ）などの検出器が必要であり、自動データ処理や拡大を続ける化合物データベースで補完されます。これらの技術は、揮発性物質分析や非揮発性物質分析に使用できます。

• GC-MS HRAM および LC-MS HRAM の詳細を見る。

このホワイトペーパーで、包装材料から食品に溶出する化学物質の問題、溶出するこれらの化学物質の安全性を評価する必要性、高分解能質量分析が関連分析で果たす役割の詳細をご覧ください。

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